一昨日、テレビで「誘拐報道」が放送されまして、拙ブログでこの映画についての記事を掲載しているためにアクセスも多くなりました。そのテレビ放送があったこととこの記事執筆が同時期になったのは単なる偶然ですが、今回はそれと関連する記事を。
千葉でのベトナム国籍の女の子の殺害事件は、いろいろな点で非常に悪い展開になりましたね。
>保護者会長の男逮捕 千葉県警、死体遺棄容疑で 殺害にも関与か 我孫子女児殺害
2017年4月15日 12:19
我孫子市北新田の排水路脇で、ベトナム国籍の松戸市立六実第二小学校3年、レェ・ティ・ニャット・リンさん(9)が遺体で見つかった殺人・死体遺棄事件で、我孫子・松戸東署合同捜査本部は14日、死体遺棄容疑で、近くに住む自称不動産賃貸業、渋谷恭正容疑者(46)を逮捕した。渋谷容疑者はリンさんが通っていた小学校の保護者会の会長を務めていた。捜査本部によると、渋谷容疑者は黙秘しているという。捜査本部は渋谷容疑者の事件当時の足取りや動機を捜査するとともに、殺人容疑についても慎重に調べる。
逮捕容疑は3月24日午前8時5分ごろから同月26日午前6時45分ごろまでの間、我孫子市北新田の利根排水機場付近の排水路の橋の下に、リンさんの遺体を遺棄した疑い。
捜査本部は遺体が遺棄されていた場所や、リンさんのランドセルなどが見つかった茨城県側の利根川河川敷などの現場資料の分析などを進め、渋谷容疑者を割り出した。捜査本部は渋谷容疑者が所有する車2台を押収。犯行には車が使用されたとみて、殺人容疑も視野に動機などを追及する。
渋谷容疑者の自宅は東武野田線六実駅前のアパートで、リンさん宅からは約300メートル。捜査本部によると、渋谷容疑者は独身。近隣住民によると、渋谷容疑者はこのアパートのオーナーで、中国人女性と小学生の子ども2人の4人暮らし。保護者会の会長で、リンさんの通学路で見守り活動をしていた。事件後も活動を続けていたという。
捜査本部によると、リンさんは修了式だった3月24日午前8時ごろ、松戸市六実5丁目の自宅を出て、直線距離で約600メートル離れた小学校に向かったが登校せず行方不明に。学校は同8時40分ごろ、リンさんが登校していないと父親に連絡。父親は同11時半ごろ、近くの交番を通じて松戸東署に捜索願を出した。県警はすぐにリンさんの行方を捜索したが見つからず、リンさんは26日午前6時45分ごろ、我孫子市北新田の排水路脇の草むらで死亡しているのが見つかった。自宅と遺棄現場は約10キロ離れていた。
リンさんのランドセルと本人のものとみられる衣服などは、遺棄現場から約20キロ離れた茨城県坂東市の利根川河川敷で見つかった。自宅の防犯カメラに家を出る様子が写っていた以外、通学路周辺のカメラに姿は写っていなかった。
リンさんはベトナム国籍の両親と弟の4人暮らし。2015年12月に川崎市から松戸市に転居してきた。
捜査本部は14日、ベトナムにいるリンさんの父、レェ・アイン・ハオさんに国際電話で渋谷容疑者の逮捕を伝えた。ハオさんは声を震わせながら「ありがとう」と答えたという。
◆我孫子女児殺害事件の経過
3月24日午前8時ごろ レェ・ティ・ニャット・リンさんが登校のため松戸市の自宅を出る
8時40分ごろ 小学校が「登校していない」と父親に連絡
11時半ごろ 父親が松戸東署に捜索願
26日午後6時45分ごろ 我孫子市の排水路脇で遺体発見
午後 千葉県警が殺人事件と断定、捜査本部設置
27日 死因は窒息死の可能性と判明
茨城県坂東市の利根川河川敷でランドセル発見
4月5日 リンさんの通った小学校で始業式
14日 死体遺棄容疑で近所に住む松戸市の渋谷恭正容疑者(46)を逮捕
現段階この人物が犯人かどうかは、当人の供述とかが得られていないようですので断言はできませんが、DNA鑑定や防犯カメラなどある程度絞られているようですので、ここでは彼が被害者を殺害したという前提で記事を書きます。そういうことでなくなったらまたあらためて対応します。
今回報じられているところでは、この人物は学校の父母会の会長であり、彼の子どもも(当然ながら)同じ学校に通っているということです。それでそんなに親しいということはないのかもですが、被害者とも顔見知りらしい。となると、これは私がこのブログで取り上げた2つの事件と共通するものがありますね。
なぜかDVD(あるいはBD)化されない映画(1)(『誘拐報道』) 最悪の誘拐殺人事件「誘拐報道」の事件は、被害者と犯人の子どもが同級生だったし(なお映画では犯人の子どもは女児ですが、事実は男児だったとのこと)、福山の事件は、犯人と被害者の子どもはかなり親しい関係にあっただけでなく、親とも人間関係がありました。誘拐事件と性犯罪では事件は違いますが、殺人が絡むと非常に重い刑が科せられるという共通点があります。
今回の事件では、被害者と逮捕された人物とではそこまで親密な人間関係はなかったのかもですが、それにしてもまずいですね。逮捕された人物の子どもはとても学校には通い続けられないし、近隣住民、学校の怒りとショックは大きい。被害者の家族のそれはいうまでもない。裁判でも、求刑は死刑あるいは無期懲役でしょう。判決もどちらかになる可能性が高い。
で、今回の場合、私が関心があるのが、逮捕された人物が幼児の性犯罪の前科があるかどうかです。「興味があった」みたいな報道はされていますが、興味があるということと性犯罪を実行するというのはまったく次元が違う話です。たとえばこれも死刑が執行されましたが、奈良で小学生を殺害した小林薫は幼児性犯罪の前歴がありました。40代半ばという逮捕された人物の年齢からして、前歴がなければ突然突発的な衝動でも起きたのかどうなのか。このあたりは求刑・判決にも大いに影響すると思われますので、かなり重大な問題です。
それでこれはまた違う問題ですが、このような事件は防ぐということはできませんね。逮捕は防犯カメラなどの設置でしやすくなっているのかもですが、「防ぐ」というのはまったく次元の違うことです。犯罪者は、逮捕されることによっての刑罰や自分の身の破滅などよりはるかにその瞬間の行動を優先させているのですからお話になりません。今回の事件の犯人が(今回逮捕された人物かどうかというのは別問題)どのような過程で犯罪をしようと考えたかは不明だし、衝動的、瞬間的なものなのかもですが、いずれにせよどうやったってそれを防ぐというのも難しいですね。犯罪の悪質さの次元は違いますが、福岡ソフトバンクスホークスの捕手だった堂上隼人という人物が、性犯罪を複数行い逮捕、球団を解雇、実刑判決を受けたことがありました。私も複数回記事を書いています。一部をご紹介。
某野球選手の不祥事で思ったこと 某元野球選手の不祥事で思ったこと、また内柴某の裁判についての簡単な感想(ほか、関係ない話) あるスポーツ選手による性犯罪事件の判決について彼は社会人野球時代に性犯罪をしてそれで会社を追い出され(解雇か形式的には自主退社かは知りません)、ドラフト会議でも忌避され、興味を持ってくれた米国球団にもこの前歴がたたってしまいオファーがなくなりました。その後独立リーグで努力して更生したと認められてNPBに入れたのに、まさに自分の人生をぶち壊し家族や他人にも甚大な迷惑をかける犯罪をしてしまいました。彼に「なんでそんな犯罪した?」と聞いてもたぶんまともな答えはないでしょうね。犯罪をする間は、理性とか常識とかが完全に遮断されるのでしょう。つまりは病気だということです。今回の逮捕された人物が、この堂上のような性関係の衝動を抑えられないなどの何らかの病気かどうかは詳らかでありませんが、こういった犯罪をする人間は人口の一定の割合で存在するし、その犠牲者も必ず出てきます。そして今回の逮捕された人物がこの事件の犯人だとするなら、不動産賃貸業でそれなりの収入を得ているとか、学校の父母会の会長をしていてそれなりの社会的責任がある、といったことも彼の犯罪を抑制することにはならなかったわけです。殺人とかの最悪の事態になることは多くはないでしょうが、それにしてもです。
本当に、このような人間の闇の部分がまともに出てくる事件は万人が怒り不快になるし、どんな重罰が課せられても遺族その他にとってはしょせんどうにもならないし、本当に救いがないですね。性犯罪は同情の余地がない。ましてや子どもへの性犯罪では、悪質、論外、絶対許せないだし、殺人だと最悪にもほどがあります。そして今回の事件はその最悪のものになってしまいました。
お亡くなりになったベトナム国籍の少女のご冥福を祈ってこの記事を終えます。