またやるんですか、で、フィギュアスケートの団体戦です。
浅田真央がソチで、SPで失敗したのは、その一因は明らかに団体戦に出場してアルメニアで再調整してまたソチに戻るという強行日程がわざわいしたことだし、そもそも団体戦というのは、原則個人戦が終わった後にやるものです。
陸上や水泳のリレーも卓球も、個人種目が終わってから行われます。体操はそうでもないみたいですが、ほかのスポーツはそうでないと、団体では本気を出さないからです。あたりまえですが、誰だって個人種目で勝ちたいのです。個人種目でその選手のピーキングを持って行って、それでその余波で団体をやるのが当然です。
しかるにフィギュアスケートでは、そういう常識が通用しないわけです。なぜそうなのかと考えてみると、つまり大会の盛り上がりという点で、冬季五輪の華であるフィギュアスケートは大会最終盤にしたい、しかるに団体戦もしたい、となると、団体戦を先にしようということなんですかね。それ以外に理由は考えにくいのですが、でもちょっと無理が大きいですね。
まずフィギュアスケートって、完全な個人競技だしね。前にも同じことを書きましたように、本来国籍の同じ者同士でペアを組む必然性も別にない。浅田真央は、ロシア人コーチのもと、ロシアでも練習をしていた時期があったし、羽生結弦はカナダ人コーチのもと、カナダを練習拠点にしています。彼(女)らが日本国籍の保持者であっても、実際にはインターナショナルに活動しているわけです。国籍に固執する意味がない。
そしてもう1つ、現実問題として、男女のシングル、ペア、アイスダンスに全部それなりのレベルの選手を調達できる国って、あんまりないしね。日本だって男女シングルは選手が余っていますが、ペアとアイスダンスはほとんど選手がいないわけです。もうずいぶん以前ですが、ペアでカナダ国籍のマーヴィン・トランに日本国籍を取得させて日本代表にしようという動きがありましたが、これはかないませんでした。これは特例でなんて虫のいいことをスケート連盟がほざいていたわけで、失敗すべくして失敗したものでした。
さらにフィギュアスケートって、二重国籍にしたり他国から国籍を変えて出場する選手が多いなど、基本選手の数もその国籍も大変限られていますからね。ロシアですら、日本国籍だった川口悠子がロシア国籍を取得して出場したことがあるくらいで、極めて限られた人たちが行うスポーツです。ますます団体戦の開催は無理ですね。団体戦というのは、それなりに選手の数が確保されている種目で行われるものでしょう。
けっきょくフィギュアスケートとは、テニスやゴルフと同様の個人種目であって、団体としてのスポーツじゃないのです。国籍でなく最初に個人があるスポーツだし、実力があればどんどんいろいろな国をまたにかけて活躍するのも当然の話。そのようなスポーツで団体戦をするというのが無理なのです。しかも陸上とか水泳のように基本的に同じことをやる種目でなく(水泳のメドレーは、違う種目の選手の混合ですが)、男子と女子とペアとアイスダンスを一緒くたにして、それで国籍の同じ選手の点数を足し上げるってのは、やっぱり次元の違うことをやっているようにしか思えませんね。
それにしても昨今のオリンピックは、どうも団体戦というのを増やす傾向にありますね。それでフィギュアスケートがその対象になったわけですが、きわめて無理が多いですね。前回のソチでは、開催国のロシアが優勝したので現地ではそれなりに盛り上がったみたいですが、日本ですらろくに関心がもたれなかったんじゃないんですかね。1回スタートしたものをやめるというのはあまり見込みがなさそうですが、実に人気がなく今後も推移するのじゃないのかなと思います。アイディア倒れというより、無理筋を無理やりやっているだけです。JASRACの金集めの手法みたいなものです。