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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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ほんまかいなの話(ぜひいろいろ詳細を知りたい)

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旅行関係の書籍をおもに出版する出版者旅行人を経営して、自分でも旅の本を出版している蔵前仁一氏の新著『テキトーだって旅に出られる! (わたしの旅ブックス)』が地元の図書館にあったので、さっそく借りて読んでみました。この本全体の感想は今日は書きませんが(書くとしても後日ということで乞うご容赦)、読んでいて「えー!?」と思ったことがあったので、ちょっと記事にしてみます。

>僕の知っている旅行者で、初めての海外旅行でエジプトのカイロにやってきて、一軒の安宿から一四年間動かなかった人がいる。カイロから一歩も出なかったのだ。彼は日本にいたときから、いわゆる引きこもりだったそうだが、これではいけないと一大決心して海外旅行に出たという。それでカイロまでやってきたのだが、今度はそこで引きこもってしまったのである。当然のことながら、さすがにこういう人はきわめて珍しく、彼はその超長期滞在のあと、どこにも行かないまま帰国したそうだ。(p.20)

これ・・・ほんとなんですかね、って言ったら蔵前さんにすごく失礼ですが、しかし私には、これはかなりすごい話だと思うので、もうすこし細かいところを知りたく思います。

ところで高野秀行氏のツイッターに、

>蔵前仁一さんから『テキトーだって旅に出られる』(産業編集センター)という新刊を頂いたが、冒頭で「初めての海外旅行でエジプトのカイロへ行き、そこの安宿(しかも同じ宿)で14年暮らしてカイロから一歩も出ずにそのまま日本に帰った人がいる」という話で思わず吹き出した。

23:57 - 2018年4月17日
とありまして、そのリツイートで、
 4月19日

おお、サファリのkさん、通称住人のことがかかれてるなら読まねば。

とありますので、この人は一部ではそれなりに名前が知られている人なんですかね。

まあそもそも論として、

>カイロから一歩も出なかったのだ。

っていうのは確認できないじゃんという気はしますが(14年間、四六時中この人の動向が確認されていたわけでもないだろうし)、そういう細かいことはこの際ぬきにしてちょっと考察してみたいと思います。たぶんこの人の様子からして、とてもカイロから外に出ているようには思えなかったということでしょう。

で、以下私が「?」と思ったところを。

この人は、14年間の間に10年もののパスポートなら最低1回、5年ものなら最低2回の更新を必要とします。そういう際は、ちゃんと大使館(領事部)に行けたんですね? それなら精神の健全さは、ある程度のレベルは維持できていたのかもです。

それで、この人がどういうビザを更新して滞在していたかというのが非常に興味があります。エジプトのビザ事情なんかに詳しくないし、どっちみち滞在時期ですらはっきりしないのですからそんなの分かりっこないですが、よく14年間大禍なくビザが更新されつづけましたよね。このあたり、少なくとも当時のエジプトは、日本人に対するビザ発給とかはかなり鷹揚だったのかもですが。

おまけに14年間この人に資金援助をし続けた(んでしょうねえ、たぶん。自分の貯金だけで14年間滞在し続けたわけではないでしょう)親、あるいは親族ほか(たぶん結婚はしていないでしょうし、お子さんもいないでしょう)も、なんとも浮世離れしていますよね。私が親なら、1年くらいたったら『リプリー』(『太陽がいっぱい』)じゃないですが、自分あるいは絶対の信頼のおける人物(つまり、トム(マット・デイモンあるいはアラン・ドロン)みたいな人間ではだめです)によって、日本に連れて帰りますけどね。まあこれも、あるいは現地に信頼できる代理人がいる、もしくは日本で暮らすより(現在よりずっと物価が安い)エジプトで遊ばしているほうが安上がりだという結論だったのかもです。

ほかにも14年暮らしていたってことは、服とかも定期的に買い替えていたのかなあとか、なじみの食堂も、たぶん複数あるんだろうなあとか(つまり日本の一般の引きこもりと違って、そういう自分の身の回りの世話は、ある程度自分でできたのでしょう)、いろいろ考えますが、ただそういう人がいること自体は変ではないかもしれません。先日記事にしたように、7回エベレスト登頂に失敗して、指まで失ったのに、懲りずに8回目にチャレンジして遭難死する人もいるくらいですから、14年間カイロに何もしないで(?)滞在し続ける人がいても不可解ではないでしょう。もっとも登山家の人は、大企業なども支援していましたが、この引きこもり(?)の人は、たぶん親など家族しか支援してくれる人はいないはずで、難易度は登山家より高いかもです。

いや、それともこの人を世話してくれる人が、継続的にいたんですかね? そんなことはさすがにないと思いますが、実のところどうなのか。ただこの人は、もし蔵前さんの話が事実なら、早急に帰国させて精神病院に入院とまではいわずとも通院させたほうがよかったのではと個人的には思います。14年間カイロでそんなことをしていたら、精神状態も悪くはなっても改善はしないでしょう。

個人的な意見では、他はともかく、ビザの更新についてはぜひ詳細な事情を知りたいですね。スムーズに発給、更新ができたのか。それはどのようなビザなのか。まさか昔のテレビ番組みたいに、現地で就労していたわけでもないでしょうから、観光ビザの更新、更新だったのか。

そう考えると、この話が事実なら、ぜひこの人について詳細に紹介してほしいですね。1冊の本とまではいわずとも、蔵前さんの単行本の一つの章くらいは十分埋まる内容になるんじゃないんですかね。個人情報なんか書かなくていいんだから、ぜひそれを詳細に紹介した記事を書いて下さることを期待して、この記事を終えます。


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