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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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社会主義やマルクス(エンゲルス)などが世界的に復権しているようだし、極右への反発も生じている(しかし日本は?)

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もう何か月か前ですが、次のような記事を書きました。

映画字幕翻訳家、翻訳家、ミュージシャンの寺尾次郎氏が亡くなる

その記事の中で映画『マルクス・エンゲルス』の字幕を、彼が作成したことを報道した記事を引用しました。その後、この映画を観ることができました。

上の記事を書いた時は特にそんなことを考えたりもしませんでしたが、考えてみれば、この映画が2016年にフランスで制作されて、2018年に日本で公開されたというのもそれなりには意味があるのでしょう。つまり世界中で、このような映画が製作されたり鑑賞される社会情勢になってきたということです。

 おそらくマルクス(エンゲルス)と社会主義の評判は、1989年の東欧民主化時に文字通り地に落ちたと思います。あるいはマルクス経済学も。もっともそういうことを考えれば、マルクス=レーニン主義なるものとマルクスはどれくらい関係があるのかとか、スターリンほかの不始末をマルクスの責任にはできないとか、いろいろ問題はありますが、ともかく1989年からしばらくは、マルクスとエンゲルスの人生をストレートに描いた映画は制作されなかったし、また日本で公開されるのも難しかったでしょう。

実際、昨今、必ずしも社会主義やマルクスに好意的とも思えない出版社から、マルクスや『資本論』の解説書が出版されているように思えます。

マルクス 資本論 シリーズ世界の思想 (角川選書)

もちろんこれを、そんなに大げさに解釈してはいけませんが、しかし世間がそれなりにマルクスや社会主義に興味を持ち始めなければ、たぶんこの本は違う出版社から出ているのではないかと思います。あるいは出版されないでしょう。

それで私が驚いたのがこの記事です。

トランプ時代の合衆国 怒れる若者、社会主義旋風(その1) 米政権の右傾化嫌い
毎日新聞2018年8月23日 東京朝刊

 【イリノイ州シカゴで國枝すみれ】資本主義の盟主である米国で、社会主義者を自任する若者が増えている。右傾化するトランプ政権。それを止めることができない野党・民主党。怒れる若者らが事態解決の「答え」を社会主義に求めようとしているのだ。

 「資本主義という野蛮な制度の代替を探すことが激烈に求められている」。幹部の主張に、Tシャツ姿の若者たちは拳をふりあげて応えた。「社会主義は可能だ」。米中西部シカゴのホテルで7月5~8日、マルクスの革命理論や組織化のノウハウを学ぶ勉強会「社会主義2018」が開かれた。主催団体の国際社会主義機構(ISO)によれば、全米から約1700人が参加。これまでで最大規模という。

トランプ時代の合衆国 怒れる若者、社会主義旋風(その2止) 将来不安、急進化
毎日新聞2018年8月23日 東京朝刊

 米国での社会主義旋風を支えるのは、2016年大統領選の民主党候補選びでバーニー・サンダース上院議員に現状打破を期待した若者たちだ。国民皆保険や公教育の無償化を訴えた民主社会主義者のサンダースさんはヒラリー・クリントン元国務長官に敗れ、彼らの夢は砕かれた。あれから2年。若者たちはより急進左派的な思想に傾いていた。【アラバマ州モービルで國枝すみれ】

これらの記事は有料会員限定記事ですので、その主たる部分はネットでは限定公開されているのみですが、inti-solさんの記事によると、

>資本主義の総本山たる米国で、若者に社会主義への支持が急激に拡大している、と言うのです。いや、初耳、というわけではありません。昨年、大統領選の民主党予備選で、社会主義者であるバーニー・サンダースが大善戦したことからも、米国における社会主義勢力の拡大傾向は見て取れます。

上記記事のグラフによると、ギャラップ社2016年の世論調査では、「社会主義を好ましいと考える人の年代別割合」が、65歳以上では25%前後に過ぎないのに対して、50-64歳では3割弱、30-49歳では4割弱、そして18-29歳ではなんと5割を超えています。あの米国で、20代の若者の過半数は社会主義を好ましいと考えている、これは大きな驚きです。
ただし、65歳以上でも1/4前後が社会主義を好ましいと考えている、私の目には、これ自体も予想外に高い数字だと思います。だって、米国で社会主義なんて、ごく少数の支持者しかいない、泡沫思想のようなもの-のように扱われてきました。実際、米国には国会に議席を持つ社会主義政党はほとんどありません。
しかし、実は米国で社会主義政党の議席がないのは、小選挙区制と二大政党制によって、民主党共和党以外の政党がほとんど国政から排除されていることが原因であって、比例代表制や大選挙区制なら当選者を出せる程度の素地はあるのかもしれません。

ここで私が注目したいのが、ギャラップ社の世論調査です。

>「社会主義を好ましいと考える人の年代別割合」が、65歳以上では25%前後に過ぎないのに対して、50-64歳では3割弱、30-49歳では4割弱、そして18-29歳ではなんと5割を超えています。

それでこの部分について私は、inti-solさんの記事に、

>2016年で65歳以上というと、1951年以前の生まれということになりますから、仮に85歳の人が生まれた1931年あたりから考えますと、ほぼ青春時代や人格形成期が冷戦時代だったわけで、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争などがあったと考えると、たしかに1/4が社会主義に好意的というのは意外ですね。

とコメントしました。冷戦が終わってからだいたい30年くらいと考えれば、冷戦思考というのもまた変わってきているのでしょうが、だいぶ社会が変わってきているというのも確かなのでしょう。

そしてその私のコメントの返しでinti-solさんは、

>はい、ひょっとしたら、日本で同種の調査を行った場合より、社会主義への支持率は高いのではないか、という気がします。いや、ひょっとしたら、ではなく、20代の社会主義が好ましいと思う割合5割というのは、まず間違いなく日本より高いでしょう。
ことによると、残念ながら今や日本は世界でもっとも保守的(右派的)な国になってしまったのかもしれません。

と返してくださいました。また本文でも

>それにしても、日本では若者の保守化が言われて久しいですが、資本主義の総本山たる米国では若者が左派に流れる、果たして、この差はどこから出ているのでしょうか。

とお書きになっています。明日の自民党総裁選挙で、安倍晋三は(私にとっては大変残念ながら)自民党総裁3選となりますが、これもやはり、若者に限らず日本社会の保守的な現状が大きな原因となっているのでしょう。そうなると、これまた私がいつも使う言葉を持ち出すと「どうもなあ」ですよね。自民党は現在ほぼ完全な極右政党になっていると私は思います。それが自民党の生きる道として決してお利口さんとは思いませんが、しかし現状ともかく極右政党です。そういった部分を、私のような非自民党支持者もふくめてどうやって対抗していけばいいのかいろいろ考えます。ともかく、安倍晋三がトップ3選になる政党というのは、やはりまともではないと考えるので。私は今年の夏までには、さすがに安倍は首相を辞任するのではないかと考えていたのですが、どうも安倍も自民党も、私の想像以上にまともな人間でも政党でもありませんでした。

もちろん上の部分でも指摘しておりますように、日本でもある程度マルクスや社会主義は見直されている部分もあるとは思いますが、それにしてもです。

本日の記事は、inti-solさんの記事に全面的に依拠しました。感謝を申し上げます。


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