昨今、京都アニメーションの放火、吉本のトラブル、参議院選挙などいろいろありましたが、やはり京都アニメーションの放火は私にとってショックでした。
このような建物が
こうなってしまったのですから、まさに絶句ものです。なお上の写真は2枚とも京都アニメーションのWikipediaからいただきました。
それで消火活動を行った消防隊の指揮隊長、副指揮隊長が報道陣の取材に応じていて、
>噴き出す炎、建物入れず=消防の指揮隊長ら-京アニ放火
2019年07月26日17時27分
アニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、現場で消火活動に携わった市消防局の指揮隊長(57)らが26日、報道陣の取材に応じた。炎と黒煙が窓から噴き出し、「何とか(建物の中に)入ろうとしたができなかった」と言葉を詰まらせた。
取材に応じた指揮隊長と副指揮隊長(46)によると、現場に向かう途中から黒煙が激しく立ち上るのが見えた。最初に現場に到着したが、全ての窓から炎と黒煙が噴き出しており、指揮隊長は「昼間に3階建ての事業所があれほど燃えているのは初めての経験だった」と振り返った。
建物内に突入することができず、中に残された人数すらつかめなかった。すぐに応援を要請する一方、負傷者の治療の優先順位を決めるトリアージを行い、医師と連携して病院に搬送した。
指揮隊長は涙を浮かべながら、「1人でも多く命を救おうと懸命に活動したが、結果的に34人が亡くなり大変残念」と語った。
消防への通報は18日午前10時35分にあり、指揮隊長らは5分後に到着した。市消防局では救急隊を含め約190人が出動。過酷な現場で隊員も精神的ショックを受けた可能性があり、心のケアに努めるという。
とのことです。おそらくこれだけの規模の火災は防火対策その他が整った現在ではそうそうあるものではないわけで、まさに空前の経験だったわけです。そして心理的なケアも必要になっています。前に、相模原の障碍者施設での殺人の際、救急搬送に駆け付けた消防隊の人が、現場のあまりの凄惨さに腰を抜かしてしまいそうだったというようなことを述べていましたが、火災と殺人事件現場ではまた違うにしても、たぶん(それこそ戦争とかでもないと)一生に2度遭遇はしそうにないひどい状況だったのでしょう。
なお上の写真は、引用した記事に掲載していたものをいただいております。
で、どうも報じられているところによると、ガソリンをまかれてそれに放火されたら、ほぼどうしようもないようですね。このビルにはスプリンクラーは設置されていなかったようだし、あってもどうしようもなかったようです。これについてはガソリンを、携行容器での購入の際には身分証明書の提示を求めるとか総量を規制するとかの措置になるとも言いますが、どうですかねえ。この犯人はガソリンを購入後まもなく犯行を実施したのだし、セルフのガソリンスタンドですかさず給油することもできるし、ほかにもいろいろできるんじゃないんですかね? 一般人に対する規制としてなら意味があるでしょうが、今回の事件のようなことを起こす人物(組織)には、大して影響はないでしょうね。
そしてこの犯人の男は、自分の書いた小説を盗作されたという趣旨のことを身柄拘束時に語ったようですが、京都アニメーション側はそのような事実はないといいます。実際のところはわかりませんが、たとえば犯人側も主観的には嘘をついているわけではない可能性もあります。つまり勝手に妄想を爆発させた可能性があり、たぶんそうだと思いますが、そうなるとこれどうしようもないですね。川崎での通り魔事件でも、再発をどう防ぐかという議論がありましたが、たぶん今回の事件はまったく再発防止不能ですね。
それでこの人物は生活保護受給者と報じられています。NHKの報道より。
>関係者によりますと生活保護を受けていて、精神的な疾患があるため訪問看護を受けることもあったということです。
今回の事件で京都アニメーションが標的になったのも、たぶんまったく何かの偶然でしょう。たまたまこの人の頭の中に引っかかって、それが動機になったのでしょう。ジブリだったり、役所(生活保護受給者なのですから、地元の市役所が標的になる可能性も十分でした)、学校、保育所、金融機関、映画館などの劇場、駅、電車の中、その他さまざまな公共施設や民間の建物ほかが狙われなかったのは、たんなる偶然でしかありません。それで学校をねらった大規模殺人事件が、大阪教育大学付属池田小学校の事件です。私もずいぶん以前ですが、この事件での精神鑑定を記録した本を拙ブログでご紹介したことがあります。これも、かつて犯人はこの学校を受験したかったとか伝えられていますが、つまりは犯人の頭のスイッチが入ってこの事件が起きたのでしょう。
興味深い本が出版される京都アニメーションの事件についてのいろいろな報道を読んで正直私は、池田小学校の事件でガソリンが使われなくて良かったと思いました。この事件では、児童8名(1年生1名、2年生7名)が殺害され、児童13名・教諭2名が負傷するという惨事でしたが、ガソリンを教室などに大量にまかれて火をつけられたらこれ以上の被害が出た可能性がある。教室の生徒のいる状況次第ですが、その可能性が高かったのではないか。たぶんですが、現在入院中の今回の京都アニメーションの事件の犯人が、取り調べを可能とするほどに回復したとして、まともな動機が語られるとは思えませんね。動機の解明は、まず難しいんじゃないんですかね。たぶん池田小学校の犯人のようなめちゃくちゃなことしか言わないでしょう。
それで、こういうことを書くと、生活保護受給者全体がそうだなどと誤解されてもしょうがないのですが、一部の生活保護受給者のなかには、異常に悪質な人間がいるというのも事実です(池田小学校の犯人は、生活保護受給者ではありません)。読者の皆さまもご存じのこちらの事件はどうでしょうか。
>何度も暴行し交際相手殺害容疑、男再逮捕 京都女性遺棄
2019年7月9日18時55分
京都府向日(むこう)市のアパートの駐車場に女性の遺体を置いたとして、生活保護世帯の窓口だった同市職員と受給者の男が逮捕された死体遺棄事件で、京都府警は9日、このアパートに住む受給者の橋本貴彦容疑者(55)=死体遺棄罪で起訴=を殺人容疑で再逮捕し、発表した。「身に覚えがない」と否認しているという。
遺棄事件「受給者怖くて従った」 ケースワーカーの苦悩
捜査1課によると、橋本容疑者は5月31日から6月1日の間に自室で、同居していた交際相手の小林美雪さん(当時43)=大阪市住吉区=に何度も暴行して殺害した疑いがある。死因は外傷性ショックだった。2人は5月中旬から同居していたという。
司法解剖の結果、小林さんの遺体には複数の骨折とあざが見つかった。橋本容疑者が小林さんを日常的に殴っていたという目撃情報があるという。小林さんが深刻な状態なのに放置したとして、同課は殺意が問えると判断した。
この事件では、向日市地域福祉課主査で橋本容疑者の担当だった余根田渉(よねだわたる)容疑者(29)=京都市西京区=と、無職の図越(ずごし)幸夫容疑者(52)=同市右京区=の2人も死体遺棄の疑いで逮捕され、同罪で起訴されている。
事件の性質はいろいろ違いますが、こういった異常人格者が生活保護受給者になりやすいのは確かなのかもしれません。
この事件の場合、どういう事情で被害者がこんな人物と交際していたのかわかりませんが、担当ケースワーカーが死体遺棄を手伝うというなんとも無残なことになってしまいました。だいたいこの事件の犯人は、殺人でなく傷害致死という扱いのようですが、過去に2人も人を殺しているくらいの人物です。こちらの記事より引用します。
>橋本は過去に複数回、女性を死なせているいわくつきの人物です。まず傷害致死で服役。1995年に出所後も女性への傷害などで数度服役。そして2006年、女性を殴り殺し傷害致死で11年の実刑。シャバに出ると女性に暴行しては刑務所に入ることを繰り返してきた男です。前科10犯は下らない
人を2人も殺しておいて、それでさらに3人目も殺すというのは、ちょっとやそっとの悪人じゃありませんね。まさに異常人格者、サイコパスです。おそらくくだらんことですぐ激高してそれで暴力をふるって死に至らしめるのでしょうか。まったくどうしようもない。それで、こういう実例を見ると、これも昨今話題の、父親の虐待で、なぜ母親は逃げ出したり警察ほかに訴えないのかというような話も、そのいったんを垣間見ることはできそうですね。担当しているケースワーカーにどこの馬鹿が死体遺棄を頼むと思いますが、犯人はこいつなら逆らわないと考えてそれを命じ、そして市役所職員もそれを聞いて逃げ出せなかったわけです。常識的にはその場をすぐ逃げて110番通報すればいいだけですが、そういうことができなかったのでしょう。これでは、母親が逃げ出せないのも、それと似たような心理があるのだろうなという気がします。
ともかく今回のような放火について、模倣犯が出ないことを祈るばかりです。やろうと思えばこういう事件はできます。ただしないだけです。しかしたがが外れた人はします。そしてその際の被害者は、池田小学校の生徒だったり京都アニメーションの従業員だったり、何の落ち度も関係もない人たちなのです。あなたや私が被害者にならない保証はもちろんない。
なお今回の記事は、inti-solさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。