過日このような記事を発表しました。
これも、大金を稼いだ人がくだらん散財で財産を失う典型だと思う(複数の追記あり)
つまり1980年代後半ごろに大の人気予備校講師として2億円の年収があったという佐藤忠志氏が、生活保護受給者になりそして孤独死したという記事に驚いて書いたのですが、その後死のちょっと前に撮影された佐藤氏の写真を見た際には、正直本気で驚愕しました。昨年の夏は、まだ昔の体格を維持していたのですが、とても約1年でここまでひどくなったとは信じられない姿でした。
それで先日、次のような記事を読み、さらに「どうもなあ」と思ってしまいました。
「金ピカ先生」は、なぜ絶望の中ひとりで逝かねばならなかったのか
68歳の孤独死…「全部オレが悪い」
私が、佐藤氏の死の報道を読んで疑問に思った、不審に感じた点が、たぶんこの事態に陥った最終的な要因と考えられる1億円の車の購入と、生活保護受給者になったという点です。氏が生活保護を受給者になったのは、今年の5月とのことですが、ってことは氏の居住している住宅は、貸家か賃貸かと考え、また2年前にはどうやって1億円もの現金を用意できたのかというのがどうも不可解だったわけです。生活保護を受給する際には、基本的に持ち家不可、車の所有不可のはず。もっとも1億円の車がそう容易に転売できるということもないでしょうが。
そうしたら、次のような状況だったようですね。
>(前略)
佐藤さんは、'90年代前半にはすでに講師を引退。その後は、知名度を活かしてタレントとして生活していたが、ブームはあっという間に過ぎ去り、収入は講師時代の100分の1以下に。
それでも、かつては毎日のように高級ホテルで食事をし、地方への移動も常にファーストクラスだった佐藤さんの放蕩ぶりは一向に収まらなかった。
「貯金はあっという間に減っていきましたが、決定打になったのは、なけなしのおカネを元手に出馬した'01年の参議院選挙でした。自民党から出馬したものの、落選してしまった」(佐藤さんの友人)
穴埋めのため、予備校講師時代に建てた「豪邸」も売り払った佐藤さんが、中野区内にある実家に妻と共に越してきたのは、いまから5年ほど前のことだった。
(中略)
先生(引用者注・佐藤氏のこと)はおカネの管理がまったくできない人なので、カネ回りの世話は奥さんがぜんぶやってあげていました。誰かとご飯を食べるときはいつも先生の奢りなので、奥さんの鞄には100万円の束が入っていた。
先生が、講師を辞めてあまりおカネがなくなってからも、奥さんが先生のもとを離れることはありませんでした。10年ほど前に先生が脳梗塞で倒れた直後も、奥様は献身的に世話をして、きっちり断酒を成功させていました」(前出・佐藤さんの友人)
仕事以外のことはまるで何もできない夫と、半歩後ろを歩きながら身の回りを甲斐甲斐しく世話する妻。
典型的な「昭和のおしどり夫婦」の関係に亀裂が走ったのは、実家に移ってから2年ほどが経ち、夫婦の生活が本格的に困窮してからのことだった。
相変わらず近所の飲食店に行くにもタクシーを利用するような佐藤さんの暮らしぶりに妻は呆れ果て、二人の間には喧嘩が絶えなくなった。
ついには「死ぬまで住み続けていい」という条件のもと、知人に自宅を売り払い、そのカネで高級外車を買おうとした佐藤さんに妻の怒りは限界に達した。'17年のある日、突然家を出ていってしまう。
私正直
>「死ぬまで住み続けていい」という条件のもと、知人に自宅を売り払い、そのカネで高級外車を買おうとした佐藤さん
というのには、けっこう本気でおったまげました。もちろん、正直それくらいしか金をひねり出す方法はないというのはそうでしょうし、またそうであれば私が不審に感じた様々なことが説明がつくわけですが、それにしてもあまりにひどすぎるとしか言いようがない。
>死ぬまで住み続けていい
というのは、いわゆるリバースモーゲージ(Wikipediaでは、リバースモーゲッジ)みたいなものでしょうか、しかしそれで得た金である1億円で車を買うか、です。
私車を持っていないので(運転免許は持っています)、当然趣味として車を買うなんてことには何の興味もないですが、たぶん自宅を買ってくれた知人の人だって、おそらく佐藤氏を支援するつもりで買ったのだろうし、それはまさか1億円の車を買うための援助のつもりではなかったのでしょうが、それで奥さんは激怒、何回もキャンセルしてそれで佐藤氏が強引に買った後逃げちゃったわけです。
経済観念がないとか、馬鹿だとか、非常識にもほどがあるとか、いろいろ悪罵をぶつけられても仕方ないですが、その結果が前にもご紹介した
こちらの姿ですからねえ(写真は再掲)。こういう言い方をしてはよくないでしょうが、正直「孤独死するにしても、もう少しましな孤独死があるだろう」という気がしました。
ネット版の記事には省略されていますが、「週刊現代」の記事によると、今年の春ごろ(たぶん氏が外に出ることができた最後の時期)に、近所を回って大要食費もないので100円貸してくれと頼み歩いたとか(なお取材に応じた人が語るところによると、貸してあげた100円は、返済はされたといいます)。しかしそれ、食事代でなく酒代、煙草代に消えたのかもしれません。
いわゆる知的障害者の末路であって、佐藤氏とはまた事情が違うことは確かですが、こちらの拙記事を思い出してしまいました。
行政その他の支援がなかったことが非常に悪い事態をもたらした大きな要因と思われる強盗殺人事件の実例佐藤氏の場合、支援がなかったからこうなったというわけではありませんが、非常識な行動にストップがかからなかったのは、上の記事でご紹介した死刑囚と同じようなものではないかと考えます。inti-solさんは、拙コメントに対する返しでつぎのようにご指摘になっています。
>なんというか、救いがないというか暗澹たるというか、まさしく「破滅的」としか言いようがない状況ですね。よくあるゴミ屋敷騒動などとほぼ同じようなパターンかなと思います。
こうなってしまった人を助ける、というのはもうほぼ不可能かなと思わざるを得ません。もうとっくに居宅生活なんかできない状態だったのでしょうけど、どう考えても入所施設でおとなしく生活できるとは思えないので、どうにもならない、この結末を避けることはできそうにないという状態ですね。
なお、佐藤氏に限らず大金を得た人間が馬鹿な散財をして無一文になることについて解析した記事を参考までにリンクしておきます。また、私が発表した記事などでもお分かりのように、米国のスポーツ選手のバスケットボールやアメリカンフットボールの選手なども、実に多くの人間が経済的に破産しているとのことです。
「金ピカ先生」年収2億でも「老後破綻」してしまったワケ
誰にとっても他人事じゃない