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スウェーデンの王室の決定について、日本人も日本の皇室と対比して考えてもいいかもしれない

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明日が、皇室がらみのイベントがある日で国民の祝日ということで、ちょっとそれに関係する記事を発表したいと思います。

今月、スウェーデン王室が興味深いことを発表しました。記事を。

>スウェーデン王室、国王の孫5人を王族から除外

2019.10.08 Tue posted at 12:23 JST

(CNN) スウェーデン王室は7日、カール・グスタフ国王の孫のうち5人について、殿下や妃殿下の称号を使わないことになったと発表した。これにより、国民の税金を受け取る王族一家の人数は縮小する。

対象となる5人については今後も王子や王女、公爵や公爵夫人などの称号は維持するが、王族としての公務を行うことは期待しないとしている。

カール・グスタフ国王夫妻の子どもは、長女のビクトリア皇太子と長男のカール・フィリップ王子、二女のマデレーン王女の3人。

このうち王族に残る国王の孫は、ビクトリア皇太子の2人の子ども、エステル王女と弟のオスカル王子のみとなる。

一方、カール・フィリップ王子夫妻の2人の子どもと、マデレーン王女夫妻の3人の子どもは王族から外れる。

マデレーン王女は7日、インスタグラムへの投稿で今回の措置を歓迎し、自身の子どもたちにとっては「一個人として自らの人生を築くチャンスが広がる」と書き込んだ。

兄のカール・フィリップ王子も、2人の息子にとって「人生の選択がもっと自由になる」と歓迎を表明している。

スウェーデン王室は1980年にいち早く王位継承に関する規定を改訂し、性別を問わず、国王夫妻に誕生した第1子を王位継承者と定めた。

もう1つ。こちらは、BBCです。

>スウェーデン国王、孫5人を王室から除名 「増え過ぎ」の声うけ

2019年10月8日
スウェーデンのカール16世グスタフ国王が、5人の孫を正式な王室から除名すると決めた。7日に発表した。王位継承順位の高い孫2人はそのまま残る。

5人の孫には殿下の称号が与えられない。一方で、王室の家族に義務付けられている行為をする必要もなくなる。

王室の一員ではあり続ける。公爵(女性公爵)の称号は持ち続けるという。

スウェーデンでは、王室の人数が多く公務に費用がかかり過ぎとの見方が広がっており、それを受けた措置とみられる。

誰が抜ける?
王室の発表によると、カール・フィリップ王子の息子2人と、マデレーン王女の子ども3人が、王室から外れる。

5人は現在1~5歳。今後、税金を財源とした1年ごとの王室の手当を受け取れなくなる。

王室に詳しいロジャー・ラングレン氏は、同国で王室の人数の増加に厳しい目が向けられていることが関係しているとみる。

「議会は数年前、王室の基本原則を見直すと表明していた。見直し対象の1つが王室の規模だった」

ラングレン氏によると、グスタフ国王は自らの考えで今回の決断をした。イギリスのチャールズ皇太子が「王室を整理」したいと考えているとされることも意識したと思われるという。

また、5人の孫について、独自のキャリアを追求している英王室のベアトリス、ユージェニーの両王女になぞらえた。

過去100年で最多
スウェーデンの歴史家ディック・ハリソン氏によると、同国の王室は過去100年で最も人数が多くなっている。王室を抜けることで、5人は「ふつうの生活を送る」ことが可能になるという。

「5人は束縛から逃れられる。ふつうの人になれる一方で、王室の一員でもあり続けられる」

ハリソン氏はまた、5人は「理論上の王位継承権」は持ち続け、公的行事には今後も姿を見せる見込みだと説明する。

同氏によると、スウェーデンでは王室の財源に関する議論が続いているが、幼い子どもたちについては検討されていなかった。「国王がそれを防いでいた」という。

ヨーロッパで王室を維持しているのは、スウェーデン、イギリス、ノルウェー、デンマーク、スペイン、オランダ、ベルギーの各国。王室の制度や人数は国によって異なる。

(英語記事 Swedish king drops grandchildren from royal house)

長い引用になりましたが、これも貴重な資料になるかと思いますので、乞うご容赦。

いろいろ興味深い記事です。まず、

>「増え過ぎ」の声うけ

というのがすごいですよね。スウェーデン国民が「そのようなことに金を使うより、もっと違うことに使え」「関係予算が高すぎる」(という趣旨でしょう)と主張したら、それに王室がそれなりにこたえて対応したというのも、やはりスウェーデンの王室は日本の皇室よりいろいろな点で民主化が進んでいると思います。もちろん王室というのは、民主主義にとってはパラドックスであり、存在自体が「どうよ」というものではありますが、スウェーデンやデンマーク、ノルウェーといった北欧諸国は、昨今いろいろな調査でも「住みやすい」「国民の権利が尊重されている」など様々な点で世界的にも高評価です。そういった国々では、王室も、いろいろと現代にそぐう形で対応していく必要があるということでしょう。

だいたいいまの日本では、皇室予算はどうあるべきかという議論も、ろくにされていないんじゃないんですかね。されているのかもしれませんが、表立って、しかもいろいろな意見が交わされているということもないでしょう。国会でそのような論戦が与野党で行われているということもなさそうです。もちろん皇室予算にしてもさまざまな祭祀にしても、政教分離の件とかあって一筋縄ではいきませんが、このあたりは国民一般もよりいろいろ考える必要があるでしょう。以上の拙意見は、もし私の誤解、錯誤でしたら訂正しますので、ご指摘がございましたら論拠をそえてご教示ください。

それで、私がさらに興味を持ったのはこちら。

>マデレーン王女は7日、インスタグラムへの投稿で今回の措置を歓迎し、自身の子どもたちにとっては「一個人として自らの人生を築くチャンスが広がる」と書き込んだ。

兄のカール・フィリップ王子も、2人の息子にとって「人生の選択がもっと自由になる」と歓迎を表明している。

>「5人は束縛から逃れられる。ふつうの人になれる一方で、王室の一員でもあり続けられる」

もちろんこんなことは誰でもわかっている話ですが、それはなかなか言い難いことでもあります。たとえば「ローマの休日」なんて映画も、この件が1つの大きなテーマであることは言うまでもないでしょう。映画では、オードリー・ヘプバーンは役目に戻りますが、彼女は王位継承者という設定でしたっけ? そうなると王位継承の可能性が低い人たちとはまた話は違いますが、しかし王室のメンバーがずばり、王室のメンバーには人生の選択肢がない、束縛が強いと公言しちゃうのもなかなかです。日本の場合、故三笠宮寛仁が皇籍を離脱したいという趣旨のことを述べたことがありますが、ほかにはいますかね? あんまり皇室とかのことに詳しくないのでよくわかりませんが、たぶんそんなにはいないはず。皇室なんて息苦しくていやだ、一般人になりたいと考えていても(多くの皇室構成員がそういうことを考えなかったといったら うそでしょう)、公言はしないでしょうが、皇室として生まれた女性は結婚すれば皇室を出るわけですが、男性はそうもいきません。そしてあらたに皇室のメンバーになりたがる人というのもなかなかいないわけです。現天皇など、結婚する際は、候補となった女性がみんな結婚して逃げちゃいました。

それでマデレーン王女とカール・フィリップ王子が、それを歓迎する意見を公表しているのがやはり「王室の自由」なんでしょうね。政治とか経済政策、社会政策ほかに口は出さなくても、このようなことには自分の意見を言うということが、スウェーデン王室では可能なわけです。そういった発言も皇室はしないしできません。となると、前天皇(現上皇)の、米長某の愚劣な発言に対する苦言は、彼なりに可能な線で述べたのだなと改めて思います。

いずれにせよ、王室は自由でなく自分で人生を築くチャンスがない、人生の選択肢がない、ということを公言することが、日本では「言ってはいけないこと」であっても、スウェーデンでは大要「自分はいまさらそうはできないが、子どもはそうであってほしい」といえるわけです。そうなると、スウェーデンの王室のメンバーのほうが、日本の皇室より「開かれた」「自由だ」「いろいろな権利がある」というものなのでしょう。

そしてもう1つ、こちらはどうでしょうか。

>同国で王室の人数の増加

>同国の王室は過去100年で最も人数が多くなっている。

スウェーデン王室は、人数が増えているわけです。それで日本の皇室は、人数的にかなり厳しくなっています。ていうか今のままでは、将来がありませんね。女帝を導入しなければ遠からず天皇制は維持できなくなります。いや、私は別にそれでかまいませんけど、天皇・皇室をやたら尊重したりありがたがっていると自称する連中が女性天皇絶対拒否という態度なのも、まったく拉致問題での拉致被害者家族同様、支離滅裂、合理性や妥当性のかけらもないというものです。欧州がそういう流れ、日本も昔は女帝がいた、男女平等なんていうこと以前の話じゃないですか。「不都合な真実」を無視するのにもほどがあるというものです。

なおこの記事は、最後の段落は、bogus-simotukareさんの記事 新刊紹介:「歴史評論」11月号に投稿したコメントを少し改変したものであることをお断りしておきます。紹介した記事は、『天皇代替わりの歴史学』で非常に興味深いので、ぜひお読みになってください。また、上の写真は、BBCの記事より。


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