Quantcast
Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

脱北者も、広義でいえば太陽政策を支持しているらしいというのは非常に興味深い

$
0
0

bogus-simotukareさんの記事で、興味深いデータを知りました。

脱北者の42%「人権という言葉すら聞いたことなかった」(高英起) - 個人 - Yahoo!ニュース

題名は、いかにもアンチ北朝鮮の筆者らしいというところですが、それはここでは無関係です。私が興味があるのが、次のくだりです。

>韓国の大韓弁護士協会は、2006年から隔年で北朝鮮人権白書を発行している。2020年版(先月発表)の編纂にあたっては、北朝鮮における人権侵害の調査を行っている韓国のNGO、北韓人権情報センターに依頼し、2017年1月1日以降に北朝鮮から脱北した50人を対象に意識調査を行った。

(中略)

国連が毎年、北朝鮮人権決議を採択していることについては54%が「知っている」と答えたが、そのような国際社会の動きが人権改善に役立つという問いに「そう思う」と答えた人は24%にとどまった。一方、北朝鮮当局の「韓国や米国や北朝鮮に不当な人権攻勢を展開しているというプロパガンダを聞いたことがある」と答えた人も60%で、当局の思想教育、宣伝活動が完全には行き届いていない実態が明らかになった。

開城(ケソン)工業団地、金剛山(クムガンサン)観光などの「南北交流事業が北朝鮮国民の人権改善に役立つか」という問いに「とても役立つ」「若干役立つ」と答えた人は56%にのぼったが、食糧支援などの人道支援については34%にとどまった。ただ、具体的な理由を問うと、前者、後者ともに「政権を助けるだけ」「国民のところには届かない」との否定的な意見が多かった。

50人と母数が少ないので、そのあたり問題であるといわれれば「ごもっとも」ですが、ほかにあまりデータもないようですから、いちおうこれを参考にします。この調査が捏造であるとかいうはなしになったら、この記事は訂正します。

当たり前ですが、脱北者というのは、程度の差はあれ北朝鮮の現体制に対して批判的でしょう。よって彼(女)らは、北朝鮮の現体制が崩壊してほしいと考えている人もいるでしょうし、そこまではいわないが、とも良い方向へ改革してほしいというくらいの考えでは最低あるだろうと思われます。それでそのような人たちからしても

>「南北交流事業が北朝鮮国民の人権改善に役立つか」という問いに「とても役立つ」「若干役立つ」と答えた人は56%にのぼったが、食糧支援などの人道支援については34%にとどまった。ただ、具体的な理由を問うと、前者、後者ともに「政権を助けるだけ」「国民のところには届かない」との否定的な意見が多かった。

というわけで、いろいろ否定的な部分も多いにしても、太陽政策のほうが人権改善に役立つという考えではあるようです。日本の反北朝鮮勢力が二言目にはいう「圧力」とか「経済制裁」が効果があるという考えではないようですね。

それで上にも書いたように、これは脱北者を対象とした調査です。つまり亡命者であるわけで、理由はともかく北朝鮮にとどまっている人たち、彼(女)らに、もちろん調査などできるわけはありませんが、「どんなもんでっかいな」と聞いてみれば、たぶん脱北者よりも「太陽政策」「南北交流事業」ウェルカムってことになるんじゃないんですかね。当たり前ですが、やっぱり地元の人たちからすれば、経済制裁とかをして北朝鮮指導部の考えや態度を改めさせる、なんてのは、実効性もないしまだるっこしいし日々の生活にも支障をきたして迷惑だということになろうかと思います。

拙ブログで繰り返し私は、北朝鮮が2002年に日本人拉致を認めて拉致被害者を日本に帰した背景には、日本側が国交樹立とそれに付随する経済援助を申し出たことがキーであると指摘しています。

米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる

同じことを何度でも繰り返しますと、北朝鮮が日本の圧力に屈して拉致被害者を返したなんて話には、何の論拠もありませんし、逆に日本からの経済援助ほかの配慮に北朝鮮が動いたなんてことは、実にいろいろと証拠があります。その一例は、上の記事で示しました。

が、拉致被害者家族会、巣食う会といった連中は、こういったことを絶対認めないのでしょうね。実際には、経済援助を取引材料にしたら実に早急に拉致を北朝鮮は認めたし、圧力だなんだなんてことをわめきちらしたって2020年の今日にいたるまで、なんら成果はないわけです。いいかげん「圧力」なんてものは、拉致問題に限らず対北朝鮮交渉に何の役にも立たないことを認めるべきではないか。それを認めることは、この連中は死ぬまでないのでしょうが、実に非生産的な光景です(呆れ)。脱北者ですら大して賛同をしていない圧力なんてものに固執し、明らかに効果があったし脱北者もそれなりに賛成している援助を絶対拒否して、いったい何をどうしたいというのか。

そもそも経済制裁で「はい参りました」なんて頭を下げる国家というのもあんまりないですよね。日本だって、太平洋戦争時には、米国から日米通商航海条約の破棄から始まり、石油輸出の全面禁止にまで至りましたが、やっぱりそれに屈しなかったわけだし(その後メタメタでした)、上でご紹介した拙記事でもふれましたように、キューバはやっぱり米国の経済制裁を耐えました。ほかにもベトナムとかもそうだし、またいわゆる経済制裁とはやや違う部分もありますが、イスラエルもオイルショックの際はいろいろ大変でしたが、現在ではすっかり先進国の仲間入り、非常に豊かな国です。中国が本気で経済制裁をすれば北朝鮮も大変困るでしょうが、日本ができる程度の制裁、圧力なんて、北朝鮮にとっては大して負担なものではない。

またこういったことは、中華人民共和国なども前例として考えられますね。よく右翼系の連中は、たとえば1989年の天安門事件の際、中国への制裁を日本が早急に解除した、世界は、中国の民主化のために経済援助をしたのに、中国は裏切り続けている(その1例が、先日の香港の件だ)みたいな主張をしていますが、これらは根本的におかしな意見ですね。

だいたい世界が中国に経済援助他をしたのは、中国の民主化なんてことよりも自分たちの金もうけのためだし(それを悪いなんてもちろん私は考えません。そんなことは当たり前の話)、そんな話は一種のお為ごかしです。が、そういった主観的な考えはともかく、現実には中国の経済成長は、中国の民主化に大いに役立っているんじゃないんですかね。マジ論すれば、いわゆる西側諸国の中国に対する援助、あるいは投資は、中国の民主化、言論の自由、国外出国の自由、国内移動の自由、労働条件の改善ほかに大いに役立っているでしょう。現実的な仮定ではないですが、中国が文革終了後も開放政策をとらずに閉じた国家のままでいたら、経済発展はもちろんたぶん現在ほどの民主化も実現していないでしょう。

いや、もちろん民主主義というのは、ストレートに発展するものではありませんから、いろいろ紆余曲折はありますよ。先日の香港の件もご同様。しかし全般的には、中国もいろいろ民主化が進んでいるのは確かでしょう。そしてこれは、韓国とかも同じじゃないですかね。1987年に韓国は、軍事政権を脱却しましたが、やはりこれは韓国の経済成長と不可分のはず。金大中氏らの地道な民主主義運動と、韓国の経済発展は、民主主義を韓国で根付かせる両輪だったはずです。ほかも同じようなものでしょう。日本だって、民主的な憲法の制定や法律の改廃などいろいろありましたが、やはり高度経済成長で日本が豊かになり、さらに次第次第に社会のいろいろなところでその豊かさをバックとした民主化が進行したというところが大きいはず。最高裁をはじめとする裁判所がさまざまに日本の社会の民主化を促進する判例を出すことができたのも、これもやはり日本が豊かな社会になったからこそです。これは、欧米、もちろんEUの先進的かつ主導的な国々である西独時代からのドイツ、フランス、参加が遅く脱退もした英国も、それは基本的に変わりはないでしょう。

話がだいぶ飛びましたが、荒木和博とか西岡力といった連中は、要は北朝鮮を崩壊させることにしか興味がないし、そんなことは拉致被害者家族だってわかっているだろうに、けっきょく蓮池透氏を追い出して、荒木や西岡らに依存する始末ですからね。拉致被害者を救い出すために何をするべきかとか、そういったことをまじめに考えているようにはとても思えませんね。しまいには、横田の息子さんなんか、父親の死に際しての記者会見で、安倍晋三をかばう始末ですからね。安倍をかばってどうするんだよです。安倍のような役立たずには、「役立たず」といえばいいのです。役立つことすれば、それは国民から認めてもらえる。拉致被害者家族や巣食う会の連中は、小泉首相、田中均氏、金大中大統領(肩書は当時)のような本当に動いてくれた人たちを罵倒して、安倍晋三や荒木、西岡らの役立たずをかばっているんだから、まさに木が沈み石が浮く光景です。家族会からは、まだまだ「王様ははだかだ」という第二の蓮池透氏は出てこないようです。まったくもって無様で無残なありさまです。

なおこの記事は、bogus-simotukareさんの記事をネタにしました。感謝を申し上げます。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>