それでは本日は、日本三大極右月刊誌である『月刊Hanada』の広告の入り方の解析をします。
過去の、極右雑誌への広告の入り方の解析記事は下記をご参照ください。
『正論』の広告の入り方を解析する 『正論』の広告の入り方を解析する(2) 『正論』の広告の入り方を解析する(3)その1 『正論』の広告の入り方を解析する(3)その2 『正論』の広告の入り方を解析する(2020年10月号) 『WiLL』の広告の入り方を解析する(2020年10月号)なぜ2020年10月号を選択したかについては、『正論』の記事をご参照ください。今回の『月刊Hanada』も、『WiLL』同様図書館から取り寄せました。こういう雑誌を一般の公立図書館が置くのも正直どうかと思いますが、利用者のニーズが一定以上あるということで、それもあまり感心したことではありません。が、ここは気を取り直して広告を調査します。
まず裏表紙が、森美術館で開催された「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」の広告です。最初のアーティストに草間彌生の名前が出てきます。草間って、今はそんなこともないのかもですが、かつては昭和天皇を罵倒していたと思いますが、そのあたりは構わないんですかね?
表表紙の裏が、2ページ広告で、「シリーズ 日本の伝統を守る」として、「提供 小西美術工藝社」として岩船寺の写真が掲載されています。この会社は、デーヴィッド・アトキンソンが社長を務めています。神社仏閣の修繕を担当しているので、そのあたりが『月刊Hanada』につながるんですかね? アトキンソンは、この号に寄稿もしています。なお岩船寺については私も行ったことがあり、記事にしたことがあります。
コロナウイルス騒動における(現段階)最後の旅行(関西・東海方面の旅)(Day3-3)(8)目次の次5ページが、上念司の著書『経済で読み解く日本史』シリーズの広告です(リンクは省略)。飛鳥新社の広告ですから自家広告ですね。それにしても上念みたいな完全に一線を越えた人間を重用するというのも、別に驚きはしませんが、呆れかえります。最低の常識もないよね。
その裏の6ページが、『和合』という雑誌の広告です。HPに、
>神社本庁のご協力の下、神道や神社の素晴らしさをご紹介していきます。
とあります。しかしまあこれも別に驚きはしませんが、こんな雑誌に広告を載せている雑誌が神社本庁と強い関係にあるというのも本気で呆れかえりますね。
そのあと李登輝についてのグラビアページがあり、それが終わった次のページが1ページ広告で、これも飛鳥新社の自家広告で月刊Hanadaセレクションとあり、『武漢ウイルスと習近平帝国2020』(リンクは省略)が紹介されています。筆者は、上記の上念、あるいは櫻井よしこ、門田隆将といったような毎度おなじみの人たちですが、私が「おいおい」と思ったのが、中嶋嶺雄が執筆したという
>【今こそ読みたい名論文再録】
中嶋嶺雄 「日中国交正常化」は誤りだった
中嶋嶺雄 Chinaを「中国」と呼ぶ重大な過ち
というものです。彼もねえ、さすがにこんなものを執筆するほどの非常識な人間ではなかったのですが、どこかで彼も狂ったのでしょうね。晩節を汚したとしか言いようがない。こんなの「転向」なんていう「高級」(?)なものではないでしょう。
ここまでがカラーページで、そのあと本文です。83ページにまた飛鳥新社の自家広告で、『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(リンク省略)という本が紹介されています。著者のクライブ・ハミルトンという人は、キャンベラで大学教授をしているとのこと。
93ページにまた飛鳥新社の自家広告で、松島トモ子著の『老老介護の幸せ 母と娘の最後の旅路』という本が扱われています。この本については、別にリンク省略をすることもないのでしょうが、飛鳥新社の商売に協力する気もないのでやはりやめておきます。『月刊Hanada』の主な読者の年齢層に訴える書名なんですかね。
そのあと125ページに1/3広告で、『リベラルタイム』という雑誌の広告と、同じ会社がだしている『蕎麦春秋』という雑誌の広告です(Vol.54)。花田紀凱ご当人が推薦文を寄せているくらいですので、かなり近い関係にある模様。そんなに右翼という印象はありませんが。
さてそのあとカラーページの広告があり、129ページに『中央公論』2020年9月号の広告があります。広告を出稿する『中央公論新社』といい掲載する『月刊Hanada』といい、非常に変わった見識の雑誌だなあと思いました。かなり意外な広告です。「憲法論議 九条改正は急ぐ必要はない 石破茂」なんてのも興味深いですが、私が一番「どうもなあ」と思ったのが、
>安倍晋三総理大臣インタビュー
拉致問題は任期中に結果を出したい コロナ第二波に万全を期す
という記事です。安倍が何を話したのかは未読にて当方存じ上げませんが、9月号ということはインタビューは7月に行われたんですかね、その翌月、雑誌が発売されている時期に首相辞任を表明したのですから、これまたなんとも無様で無残な光景ではあります。
それはそうと安倍は、拉致問題で、北朝鮮側に何らかの対価を出そうという考えはあったんですかね? そんな意思皆無のように思います。それで何らかの対価を出さなければ、拉致問題に成果は出せないでしょう。
そのあと135ページは、本の雑誌社による「WEB日本の雑誌」の広告、137ページがまた飛鳥新社の「昭和史の声」の広告、139ページが「ワールドイノベーションラブオール」なる会社の広告です。それでこの会社名でネット検索してみたら、次のような注意喚起記事がありました(苦笑)。
>株式会社ワールドイノベーションラブオールの名義で行われる「PRPシステム」と称する役務の訪問販売に関する注意喚起
2019年07月22日
詳細
消費者庁は、令和元年7月19 日、特定商取引に関する法律(昭和51 年法律第57 号。以下「特定商取引法」といいます。)に規定する訪問販売を行っているWILL株式会社(以下「ウィル」といいます。)及びウィルの関連法人7社に対して、特定商取引法に基づき、24 か月又は18 か月の業務停止命令及び指示(以下「本件業務停止命令等」
といいます。)を行いました。
本件業務停止命令等を行うに当たって消費者庁が認定したウィルの特定商取引法に違反する行為は、消費者安全法(平成21 年法律第50 号)に規定する消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(不実告知)に該当するところ、消費者庁の調査の結果、消費者庁が本件業務停止命令等を行った後、この行為が、株式会社ワールドイノベーションラブオール(以下「ワールドイノベーションラブオール」といいます。)の名義で行われる可能性が高いことが確認されました。
このため、消費者安全法第38 条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
参考までにPDFファイルもリンクしておきます。
株式会社ワールドイノベーションラブオールの名義で行われる「PRPシステム」と称する役務の訪問販売に関する注意喚起[PDF:364.1 KB]142ページが、「全日本CDショップ店員組合」なるところの広告、143ページがやはり飛鳥新社の広告で、『テレビ界「バカのクラスター」を一掃せよ』なる本の広告です。いや、『月刊Hanada』、この本、この本の著者のような馬鹿でクズのほうが、よっぽど一掃されるべきでしょう(笑)。その次のページが『月刊Hanada』セレクションとして、『大村知事リコール』として、高須克弥の写真の表紙です。最近報道されているこの件のリコール署名不正を考えると、あまりに無様で無残な現状に笑わざるを得ません。
なお以上の本については、リンクは全て省略しますので、興味のある方はご自分でお調べください。
161ページに1/3広告で、展転社の広告があります。『WiLL』の記事の広告と同じですかね。そこで論評しましたのでこの記事では論評を省略します。
177ページに1/3広告で、月刊「ねこ新聞」というところの広告があります。
>『月刊ねこ新聞』は「富国強猫」をモットーに 広告を入れず、皆様からの購読料とご寄付によって発行されています。
とのこと。
178ページが、『舞鶴に散る桜』進駐軍と日系アメリカ情報兵の秘密 という本の広告で、これも飛鳥新社の広告です。この本は、あるいはまともな本なのかな?
201ページに、イースト・プレスによる『にっぽん猫島紀行』なる本の広告です。あるいは、この雑誌に猫好きの人がいる?
257ページに、櫻井よしこ主宰(広告では「責任総編集」)の「言論テレビ」の1/3広告です。安倍晋三は、産経や読売、フジや日テレですらインタビューに応じたくないときは、よくここに逃げ込んでいました(苦笑)。櫻井も、そんなことをしていてよくジャーナリストなんか自称できるものです(さらに苦笑)。
しばらくまた広告がなく、327ページに1/6広告で、「自治調査研究会」なるところの後援会の広告です。Facebookはありますが、更新はされていません。1か月に1回講演会を開催しているようで、9月の講演は、藤崎一郎氏とのこと。
367ページが飛鳥新社の本の広告(6冊紹介されていて、上念司の本、百田尚樹の本2冊(うち1冊は、有本香が協力)、加地伸行の本が2冊、小川榮太郎の本が1冊)です。もう少しまともな著者の本を宣伝しろよと思います。
次のページが『月刊Hanada』の年間定期購読のお知らせ、その次のページがバックナンバーのお知らせが上半分、下半分が定期購読申込みの専用ハガキ、最終390ページが、上半分がこの雑誌のバックナンバー常設店の案内(下半分はハガキ)、裏表紙の裏広告が、幻冬舎の百田尚樹の本『日本国紀』の宣伝です。
で、私正直言って、『正論』『WiLL』『月刊Hanada』では、『月刊Hanada』が一番部数が出ているようですから、やはりここが一番広告がいいのかなと予想していたのですが、実際のところここも自社の広告ばっかりですね。いずれにせよ『月刊Hanada』は、花田紀凱が死ぬか認知症にでもなって継続できなくなったら廃刊になるか雑誌名が変わるんでしょうね。いや、逸見政孝氏が亡くなった後も、『たけし・逸見の平成教育委員会』という番組名はしばらく続いたみたいなことがあるのか。花田も1942年生まれですから、そんなに長い時間が残っているわけではない。
またこの雑誌の連載でこの号で171回目という堤尭と久保紘之による「蒟蒻問答」という対談のこの号でのタイトルが、「安倍は反中に舵を切って、甦れ!」であるというのはなかなか興味深いですね。表紙でもいちばん右に簡略したタイトルが表示されているわけで、一番力点をおいている記事なのでしょうか。つまりこの雑誌も、対談者の2人も、安倍は中国に弱腰であるという認識なわけです。直接論難しなくても、そう考えているということでしょう。
いちおう今回をもって、右翼雑誌の広告の入り方解析シリーズは終了します。またやるかもですが、時期は未定ということで。