Quantcast
Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

岸田首相(予定)は、外交に関しては安倍・菅路線を継承するのだろう(ということは、大した外交成果は上げられそうにない)

$
0
0

新しい自民党総裁に岸田文雄が選出されましたね。記事を。

>2021年9月29日7:56 午後UPDATED 1時間前
自民新総裁に岸田氏、1年越しの雪辱 衆院選へ挙党態勢を強調
By Reuters Staff

[東京 29日 ロイター] - 自民党の総裁選は29日に投開票が行われ、岸田文雄前政調会長が決選投票で河野太郎行革担当相を破って1年前の雪辱を果たした。10月4日召集の臨時国会で第100代首相に選出される見通しだ。岸田氏は直ちに党役員人事を行い、その後の組閣と合わせて挙党態勢を整え、直後に控える衆院選に臨むことになる。新型コロナウイルス対応などで年内に数十兆円の経済対策を準備する。


<1年前の雪辱>

総裁選は1回目の投票で河野氏、岸田氏、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行のいずれも過半数を得ることができず、1位の岸田氏と2位の河野氏による1対1の対決に持ち越された。決選投票では国会議員票と都道府県連票の合計で河野氏が計170票、岸田氏が計257票だった。

岸田新総裁は夕方の記者会見で「国民の声が政治に届かない、政治の説明が国民の心に響かない。こうした厳しい誠実な声があふれていた」と述べた。退任する菅義偉首相は新型コロナワクチンの接種を加速したが、発信力に欠けるなどとして支持率が低下。岸田氏は「いままさにわが国の民主主義そのものが危機にある」と語り、自民党への信頼回復に努めていく姿勢を強調した。

岸田氏は前年の総裁選で安倍晋三前首相の後継と目されながら、菅義偉現首相に敗北。今回は4候補の中でいち早く立候補を表明し、準備を進めてきた。

岸田新総裁はまず党役員人事を行い、10月4日召集の臨時国会での首相指名選挙を経て、首相に就任。あらたな内閣を発足させる。10月21日には衆議院議員の任期を迎えるため、遅くとも11月末までには衆院選が行われる見通し。また、来年夏には参議院選挙が行われる。

総裁選の期間中、岸田氏は令和版「所得倍増論」を掲げ、分配の重要性を訴えてきた。29日夕の初会見でも、「今こそ成長と分配の好循環を実現し、全国津々浦々に成長の果実をしっかり届けていきたい。できるだけ幅広い国民のみなさんの所得を引き上げる経済政策を取っていきたい」と述べた。


<総裁選、河野氏に大差>

今回の総裁選は直後に衆院選を控える中で、誰を党の顔にすれば総選挙に勝てるかという色彩が濃く、事前に接戦が予想されていた。

岸田氏は人気の高い河野氏に初回投票では及ばないとの前提で、決選投票での高市氏との連携を模索。現実的な選挙戦術が多数の議員からの支持獲得につながった形だ。来年夏に選挙を控える参院議員の間では、河野氏と比較して地味ながらも、答弁の安定した岸田氏を求める声が多かった。

河野氏は、各派閥内で衆院選に不安を感じる若手を中心に支持されたが、初回投票で党員・党友票の44%を獲得したものの、同陣営が期待していた「5割以上」には及ばなかった。

4候補が乱立する中、安倍氏が高市氏を、麻生太郎財務相が岸田氏を支持する一方、菅氏や森山裕国対委員長らが河野氏支持を表明。菅氏を多くの派閥が支えた前回とは違う様相となった。当初は出馬を模索していた石破茂元幹事長は出馬を断念し、河野氏支持に回った。

岸田氏は総裁選の勝利直後に壇上に立ち、「総裁選挙は終わった。ノーサイドだ。全員野球で自民党が一丸となって総選挙、参院選挙に臨んで行こう」と呼びかけた。

上の写真も、引用記事からのものです。

報道等では、たぶん岸田・河野の決選投票になるのではないか(そして岸田が勝つのではないか)という趣旨のことはいろいろ出ていましたから、これ自体はほぼ予想通りかと思います。ただ引用記事にも指摘されているように、意外と岸田が河野を1回目の投票でも差をつけていたかと思います。つまり1回目でも、1ではあっても河野に勝っていたわけで、2回目は高市票が流れるとなれば、わりと余裕の勝利だったということでしょう。

それで、上の記事では

>来年夏に選挙を控える参院議員の間では、河野氏と比較して地味ながらも、答弁の安定した岸田氏を求める声が多かった。

と指摘されています。私見では、総選挙では、新総裁、新首相、新内閣というので、それなりのブースター効果が見込めるかもですが、参議院選挙(来年7月)は、相当うまくやらないと与党はけっこう厳しいんじゃないのという気がします。が、この私の意見は、とりあえずこの記事では無関係です。

これは河野も同じですが、岸田という人は、長きにわたって安倍内閣で外相をつとめていました。彼は、第2次安倍内閣が発足した2012年12月26日から第3次安倍第2次改造内閣が終了する2017年8月3日まで、4年7か月強外相だったわけです。それでWikipediaにもありますように

>外相の起用
政策面では、内政の知識と経験が豊富であるが、外務大臣に起用されるまで外交に携わった経験はなく、幼少期のニューヨーク在住を除けば留学・在外勤務の経験もないため、本来なら外相は門外漢であった。しかし、外相起用に際しては普天間基地移設問題などを念頭に、岸田が沖縄担当相を歴任し、知事の仲井真弘多との親交も深いことが理由とされる一方、中国要人との太いパイプを持つ古賀誠を後見人に持ち、対話を重視するスタイルの岸田の起用が中国など関係諸国へのメッセージであるとの報道もある。

安倍晋三とは1993年の当選同期であり、派閥は異なるが関係は良い。安倍が幹事長代理を務めていた時代に、党改革で議論を交わした仲とされ、1度目、2度目いずれの安倍内閣にも入閣しており、信頼も厚い。特に、第2次内閣発足以降、「タカ派」と評される安倍が、連続5期、4年半余りにわたって岸田を外務大臣に起用し続けた理由については、岸田の実務能力を買ったともされるが、『夕刊フジ』は「ハト派」で「親米派」でもあるが「親中派」でもある宏池会出身という点を鑑みて、菅、石破、河野らの人事も含め、中国をはじめとする周辺諸国への友好姿勢をアピールする狙いがあると報じた。

とあります(注釈の番号は削除)。このあたり安倍晋三にも、それなりの深謀遠慮があったということなのでしょう。それにしたって政権を奪還してすぐの内閣で、さっそく中国とそれなりのいい関係にあるとされる岸田を外相に起用し、またそれを継続するというあたりも、安倍の「反中」なんてその程度のものだということになるのでしょうが、それはともかく。けっきょく安倍政権下で外相を彼は長きにわたって務めたわけですが、安倍政権の外交成果って、私が安倍の首相退陣1年前に書いた記事に尽きるんじゃないんですかね。

安倍政権の外交というのも、ほぼ失敗に終わっているといっていいのではないか

この記事を発表したのが2019年4月19日付です。安倍は翌年8月28日に首相辞任を表明、9月16日に内閣総辞職となったので、それからさらに1年5か月弱の首相在任期間がありましたが、その間特に安倍内閣の外交成果なんてものはありませんでしたよね。産経新聞とか櫻井よし子のような安倍晋三大好きな人たちとかならまた違ったご意見をお持ちなのかもですが、世間一般の認識では、安倍外交なるものにさほどの評価はないでしょう。少なくとも「レガシー」なんて後世でも評価されうることは、彼はしていない。

で、それは安倍が悪かったのだということなのでしょうが、しかし当時4年半を超える間外相をつとめていた岸田文雄外相(当時)も、やはりいろいろと問題はあるでしょう。上の引用にもあるように、

>外相の起用
政策面では、内政の知識と経験が豊富であるが、外務大臣に起用されるまで外交に携わった経験はなく、幼少期のニューヨーク在住を除けば留学・在外勤務の経験もないため、本来なら外相は門外漢であった。

というわけであり、外交関係は、岸田という人物はそんなに得意なわけではなかった。そんな彼を要職の外相に安倍が起用し続けた背景には、多分ですが、岸田に外交にも強くなってもらい、来るべき「岸田首相」の際の強みにしてもらいたいという考えもあったはず。そうなると、これまた多分ですが、岸田首相(予定)の外交路線というのは、基本的に、あるいは徹頭徹尾とまではいわずとも、安倍路線、それを継承した菅路線と似たようなものになるんでしょうね。つまりは 安倍・菅路線の継承です。

となると、米国にはへーこらに始まり、北方領土も大したことはできない、中国とは適当に付き合う、北朝鮮との外交も最大限巣食う会・家族会の意向に従うというようなものになるのではないかと思います。そういうことを言い出せば、安倍に限らず昨今の日本の外交なんてだいたいそんなもんじゃんということになりそうですが、それでも米国へーこらの人物ではあっても、小泉首相(当時)は、北朝鮮による拉致被害者5人を北朝鮮から助け出したという戦後日本の外交の金字塔の1つを打ち立てられたわけです。そこまではいわずとも、せめてですが、岸田には、平壌と東京に日朝の連絡事務所を設置するくらいの英断はしてほしいのですが、どうなんですかね。なかなか難しいのではないか。

個人的には、石破茂が自民党総裁選で平壌での連絡事務所設置を訴えたのだから、安倍もそれに対抗してそれくらいのことをしたらどうかと思いましたが、安倍はそんなことをするような勇気(蛮勇)はなかったらしい。安倍や菅で設置しないのだから、ましてや岸田ではですが、ここは「それくらいのことはぜひしてほしい」と書いておきます。

そう考えると、岸田政権なるものがどれくらい続くかはわかりませんが、その間これといった外交の成果は出にくいのでしょうね。外交は票にならんというのは世界中どこでもそうでしょうが、安倍は、安保と外交は大好きな人間でした。それで岸田からすると、外交はそんなに(日本の有権者からみて)失点をしないということばかり気になるのだろうなと思います。それは当然な話ですが、ともかく彼にこれといった外交成果は上げられないでしょうね。現段階のままではそうなると思います。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>