前三重県知事であり、三重4区からこの度の衆議院選挙に出馬する鈴木英敬氏は、Wikipediaによると、
>2021年8月5日、会見で年内に予定される第49回衆議院議員総選挙に三重4区からの立候補を表明。合わせて9月12日付で三重県知事を辞職する意向を示した
とのことです。無責任な人ですね、鈴木氏って。
都道府県知事から国会議員になる人というのはもちろんほかにもいます。東京都知事だった石原慎太郎は、これまたWikipediaから引用すると
>2012年10月、石原は4期目途中で知事職を辞任し、国政へ復帰した。
というわけです。前に
現在の安倍政権は、美濃部、鈴木、石原の3都政の最終期に近くないかという記事を書きました。石原が4期目の途中で都知事を辞任した背景には、たぶん東京都による尖閣諸島購入計画の失敗があったかと思います。あれをぶち上げたはいいが、けっきょく国有化となり、石原ははしごを外された形になり、それが彼が国政に復帰することを決めた大きな要因ではなかったか。しかしどっちみち彼は、4期目は最初から乗り気でなかったわけで、それで立候補して選挙には強いから当選はしても、けっきょく途中で辞任したのだから、これもずいぶん無責任です。国政には復帰したとはいえ、けっきょく1期で(体調の問題もあり)議員を引退したのだから、そうなると都知事を途中辞任するほどのものがあったのかなあという疑問は生じます。
それで現在の自民党の参議院議員で、2000年から2008年にかけて大阪府知事だった太田房江は、しばらくのタイムラグをへて2013年に比例代表で初当選、2019年には大阪府選挙区で再選されています。また北海道知事だった高橋はるみは、2003年~2019年に知事をつとめ、退任したのと同じ年の参議院選挙で北海道選挙区から当選したわけです。もちろん衆議院選挙は、参議院選挙とちがい投票日が確定しているわけではありませんから、そのあたりの問題はあるとしても、鈴木は2019年の三重県知事選に出馬しないか、さもなければ2023年まで任期を満了して退任すればいいじゃないですか。ましてや新型コロナウイルスの関係で、日本中どこの都道府県区市町村も大変です。そういう時期に、自分が国会議員に転身したいから知事を退任するなんて、きわめて無責任としかいいようがない。
たぶんですが、彼はかつて違う選挙区ですが(三重2区)、衆議院選挙に出馬して惨敗したことがあり(奥さんともども土下座したりしました)、たぶんその敗者復活戦という意味合いがあるのでしょう。そういう気持ちを私も理解しないではないですが、けっきょくこの人にとって、県知事というのは、国会議員へのステップでしかなかったのだろうなと思います。そう評されても仕方ないでしょう。
2009年(自民党→民主党の、政権交代選挙)の時と違い、たぶん今度の選挙では、鈴木氏は当選するのでしょうが(別にその選挙区の選挙情勢を確認はしていませんが、まあ当選するでしょう)、しかしあんまり自分の職務に責任のある人であるようには思えませんね。それもどうかです。