昨日読んだニュースを。
>容疑の男「心神喪失」…アンネ本破損、不起訴へ
読売新聞 6月19日(木)7時52分配信
東京都内の図書館などで「アンネの日記」や関連書籍が破られた事件で、警視庁に器物損壊容疑などで逮捕されて勾留中の無職の男(36)(小平市)が、東京地検の請求で行われた精神鑑定で「犯行時は心神喪失の状態にあった」と診断されたことが捜査関係者への取材でわかった。
地検は刑事責任を問うのは困難として、近く、男を不起訴とする。
一連の事件は昨年2月から発生。都内8区市の図書館などで「アンネの日記」など310冊以上が破られ、警視庁は今年3〜4月、このうち杉並区の二つの図書館で起きた40冊以上の破損の容疑で男を逮捕した。
男は容疑を認める一方、「アンネの日記は悪魔がばらまいた悪の本だ」などと意味不明な供述を繰り返し、地検は4月16日、東京地裁に鑑定留置を請求。今月16日まで専門家による精神鑑定が実施されていた。
個人的な意見を書きますと「やっぱり」「そうだろうな」というものですね。この犯人とされた人物の名前がマスコミで一向に明らかにされなかった理由も、当初から精神に問題があることが(強く)予想されたからにほかなりません。
でですよ、上の記事で
>器物損壊容疑などで逮捕
とあるのは、つまりこの人物の当初の逮捕容疑が本の器物損壊ではなかったということです。記事を。産経新聞より。
>無職男が関与か 被害書店侵入容疑で逮捕 認める供述
2014.3.13 07:14 (前略) 捜査1課が店内の防犯カメラを調べたところ、2冊目が発見された21日と、それ以前の2月中旬に店を訪れ、同関連本のある3、4、8階などを行き来する不審な男がいたことが判明。いずれも被害のあった書棚近くに足を運んでいた。22日には店内で勝手にビラを張っていたことも確認。無断でビラを張るという、書籍購入などの「本来の目的」以外の目的で書店に侵入したとして、3月7日に建造物侵入容疑で男を逮捕した。男以外に不審な人物は写っていなかった。 (後略)完全な別件逮捕じゃん(笑、いや、笑っちゃいかんか)。
書店に本の購入目的以外で入ったことが建造物侵入というのもどうかと思いますが(待ち合わせとか立ち読みとか、書店に入る目的なんかいろいろありますわな)、だいたい営業中の書店にそんな非常識な内容のビラを貼るなんて行為をすること自体精神的にまともな人間の行動ではないでしょう。精神疾患のもちぬしである可能性がきわめて強く予想されるというものです。逮捕理由が営業妨害、とかならまだ理解できなくもありませんが。マスコミが、この人物の実名を一貫して報道することを避けていたのも、つまりはそういうことでしょう。
で、この事件の場合、別件逮捕だろうがなんだろうが早急に身柄を拘束して締め上げてすぐに供述をとらなければならないという性質の事件でもないでしょう。正直、任意で引っぱれば、簡単に自供したんじゃないんですかね。いや、したけど、その時は自供しなかったのかな。たぶんそうではないでしょう。
あ、いちおう断っておきます。私は別件逮捕には反対です。どんな凶悪な事件でもです。が、この事件については、そんなことをする必要性すら疑問です。任意で事情聴取して容疑が固まった時点で逮捕状を請求・執行すればじゅうぶんでしょう。日本の警察、しかもこんな事件を担当する捜査官が、そんなこともできないほど無能だとは私には思えません。
しかし最近(というのではなく、以前からこんなことはしょっちゅうですが)報道される凶悪事件でも、別件逮捕の案件が多いですよね。
毎日新聞 6月18日(水)17時34分配信
(前略)
赤石容疑者は、荒川さんが行方不明になった5月4日に荒川さんと携帯電話で通話していたため捜査線上に浮上した。静岡県警が同16日に別の少女への淫行(いんこう)の疑いで逮捕したが、熊本県警が6月6日に別の女性への強制わいせつ容疑で再逮捕。
(後略)
朝日新聞デジタル 6月16日(月)10時49分配信
知人名義のキャッシングカードを使って現金を引き出し盗んだとして窃盗罪で逮捕、起訴されていた福岡県筑後市のリサイクルショップ経営の夫婦が元従業員の男性を殺害したとして、福岡県警は16日、この夫婦を殺人容疑で再逮捕した。
(後略)
また、栃木の小学生殺害事件も、もともとは偽ブランド品所持での逮捕でしたよね。関連する記事を。
時事通信 6月13日(金)15時32分配信
栃木県今市市(現日光市)の小学1年吉田有希ちゃん=当時(7)=殺害事件で逮捕された勝又拓哉容疑者(32)の母親で、偽ブランド品を所持したなどとして商標法違反罪に問われたイミコ被告(55)に対し、宇都宮地裁は13日、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金30万円(求刑懲役1年6月、罰金30万円)の判決を言い渡した。
松原里美裁判官は「被告が犯行を主導した」と批判。一方で「素直に罪を認め、反省している」と述べ執行猶予とした。
判決によると、イミコ被告は勝又容疑者と共謀し、昨年9月、中国から日本に偽ブランド品を発送。今年1月、栃木県鹿沼市の勝又容疑者の自宅敷地に止めた車に、偽ブランド品206点を販売目的で保管した。
明らかに別件でしょう。マスコミは、こういうことを一向に指摘しないか、あるいはろくに問題視しませんよね。勾留を許し続ける裁判所も問題でしょう。マスコミばかりでなく裁判官も、「真犯人であれば別件逮捕は許される」って考えているんですかね。もちろんそう考えているに決まっていますが、これじゃあ日本の人権状況なんてひどいもんだというレベルの話でしょう。前某判事が、裁判官は警察の言いなりに逮捕状その他令状を出すと指摘したら、そんなことはない、不備な場合は資料を追加提出もさせているし、事情聴取もしているのだ、と反論した判事(のちに、某高等裁判所の長官になりました)がいたので、それでは言いなりになるよりなお悪いという記事を書いたことがあります。上にあげた3件の事件も別件で逮捕しなければ解決できなかったかどうかも問題でしょう。そういった点を警察なり検察なりがきっちり検証しているかは期待できないというものです。これから改善するかどうかもわかりませんが、少なくともマスコミと裁判所は早急にそれなりに問題視しなければいけないんじゃないんですかね。マスコミなども、批判する以前に、別件逮捕であるということをそれなりに強調するくらいのことはできるしする必要はあると思います。
本日は記事を発表するのが遅くなりました。申し訳ございません。