大谷翔平の通訳であった水原一平氏の関係がいろいろ話題になっていますが、大谷がどれくらい関与していたかということはここでは議論しないとして、ギャンブル依存症の話を本日はします。一連の関係も、いろいろマスコミなども取り上げています。まずは読売新聞の記事を。
「誰でもなり得る」ギャンブル依存症、勝ち組だった人生暗転「昨日の後悔と明日の不安で…今日が存在しなかった」
記事の詳細は読んでいただければいいとして、一部抜粋して引用を。
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センター長を務める田村仁さん(36)は、ギャンブル依存症から回復した当事者だ。大学時代に友人からパチンコに誘われ、初めて賭け事に手を出した。卒業後、東京都内の大手電機メーカーに就職。給料を手にすると、パチンコにのめり込んだ。クレジットカードの請求が月100万円単位で届き、借金は多い時で約400万円に上った。
同居の両親に口座を管理されるようになってからは、自社の製品500万円相当を横領し、売却して得た資金でパチンコに興じた。「昨日やってしまった後悔と明日への不安に押しつぶされ、『今日』が存在しなかった」。約1年後に会社に発覚し、自主退職を求められた。「勝ち組だ」と思っていた人生は暗転した。
下は昨年7月の記事ですが、NHKの健康番組より。こちらは、事例をご紹介。
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ギャンブル依存症になると…(ある患者さんのケース)
香川県の佐伯徹(さえき・とおる)さんは30年以上もの間、ギャンブルを続け、やめられなくなっていました。最初は、ストレス発散に加えて、ちょっとお金が儲かればいいかなという軽い気持ちでパチンコなどをしていたと言います。しかし、そのうち、大事な予定があっても、使う金額をあらかじめ決めていても、ギャンブルに歯止めがかからないようになってしまいました。
「『残業している』と家族に嘘をついたり、仕事をさぼったり、とにかく無理に時間を作ってギャンブルに行っていました」
やがてパチンコをするお金に困り、佐伯さんは借金をするようになりました。
「給料の範囲のお金を越えてしまうので、消費者金融から借りるようになりました。それも限度額を超えてしまうと、今度は母親に泣きついて肩代わりしてもらって。そんなことを4〜5回繰り返しました。最終的には1400万円ほど借金を作ってしまったので、これ以上肩代わりできないということで、債務整理をすることになりました」
日本は、ジャパニーズ・スロットマシーンとでもいうべきパチンコが、文字通り日本中津々浦々にありますし、また公営ギャンブルも盛んです。公営ギャンブルは、さすがに経営が成り立ちにくくなり、廃止になったところも多いですが、中央競馬は、1997年以来売り上げ激減に苦しんでいましたが、最近他の公営ギャンブル同様売り上げが増えているという話もあります。
ところで先日こんな記事が流れました。
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10歳代町職員が親睦会費76万円着服、課内旅行当日に告白…「オンラインカジノでスポーツ賭博に」
2024/03/23 09:08
宮崎県高鍋町は22日、町建設管理課員らが積み立てていた親睦会費を横領したとして、同課の10歳代男性技師を懲戒免職処分にしたと発表した。処分は21日付。
発表によると、男性技師は会費の徴収や口座管理を任されており、2023年9月から24年1月に計13回、計76万9537円を引き出していた。2月、課内旅行当日に本人が着服したことを告白したことで発覚。親族が弁済した。
男性技師は町の聞き取りに「オンラインカジノでスポーツ賭博などに使った」と説明。町は公金ではなかったことなどから刑事告発は見送る一方、オンラインカジノについて捜査機関から問い合わせがあれば協力するとしている。
未成年にしてギャンブル依存症ですか。どうしようもないですね。オンラインカジノといえば、安倍晋三と同郷の人物がオンラインカジノでひどい不祥事を起こしたことをこの人物だって知らないではないでしょうに。
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“阿武町誤振り込み” 2審の裁判結審 判決は6月11日に
03月08日 16時03分
おととし、阿武町から誤って振り込まれた給付金を別の口座に振り替えたとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われている被告の2審の裁判は8日結審し、判決は6月11日に言い渡されることになりました。
山口市の会社員、田口翔被告(26)は、町から振り込まれた国の臨時特別給付金4630万円を、誤って入金されたと知りながら決済代行業者の口座に振り替えるなどしたとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われています。
1審では、誤って入金されたことを銀行側に伝える告知義務があったかや電子計算機使用詐欺の罪の構成要件である電子システムに虚偽の情報を与えたかどうかが争点になっていました。
これに対し、山口地方裁判所は「告知義務に違反している状態で送金行為などを行ったと言え、電子計算機に正当な権利行使という虚偽の情報を与えた」などとして、被告に懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡し、弁護側が控訴していました。
8日、広島高等裁判所で行われた2審の裁判で、弁護側は「原判決は個別事件の解決策として妥当性を欠くだけでなく、電子計算機使用詐欺罪の解釈について今後の先例として大きな影響を与える可能性もある」などとして改めて無罪を主張しました。
その上で、法律の専門家による意見書も証拠として提出しましたが却下され、裁判は即日、結審しました。
判決は6月11日に言い渡される予定です。
6月11日は、私も注目したいですね。
さて日本におけるギャンブル依存症の人物の数は、どれくらいでしょうか。Wikipediaのギャンブル依存症の「日本の有病率」によれば、
>2021年8月27日の厚生労働省の発表によると、依存が疑われる人は、男性は3.7%、女性は0.7%。過去1年間最も金銭を使ったギャンブルは男性は、パチスロ、パチンコ、競馬の順で多く、女性はパチンコ、パチスロ、宝くじであった。また依存が疑われる人は依存していない人よりもうつ病や不安傾向が強く、自殺を考えたこと、自殺しようとした経験がある人が多い傾向があった。
とあり(注釈の番号は削除)、これよりかなり高い推計もあります。ともかく日本は、諸外国と比べても昔からかなりギャンブル依存症になりやすい素地はあるかと思います。公営ギャンブルとパチンコのためです。ところでカジノの開設がなにかと話題になっています。NHKの記事より。
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カジノ含むIR 大阪府と事業者が実施協定 “開業2030年秋ごろ”
2023年9月29日 5時49分
カジノを含むIR=統合型リゾート施設をめぐり、大阪府と事業者は28日、開業時期を2030年の秋ごろとすることなどを盛り込んだ実施協定を結びました。
大阪府などは、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の開業の時期を2030年の秋ごろとすることなどを盛り込んだ実施協定の案で協定を締結することについて今月22日、国から認可を受けました。
28日は予定地の「夢洲」が見下ろせる大阪 住之江区にある府の庁舎で府と大阪市、それに運営事業者の「大阪IR株式会社」のトップらが出席して調印式が行われました。
この中で、吉村知事は「大阪のベイエリアで世界最高水準のIRを実現したい。その一歩に向けて、きょうは極めて重要な日だ」などと述べました。
これに対し、事業者のエドワード・バウワーズ代表取締役は「統合型リゾート施設が大阪にできることで経済が活性化し、大きな経済的な効果を生み出すだろう」などと応じました。
そして、調印書に署名し、府と事業者は実施協定を締結しました。
今後、事業者は開業までに、カジノ免許の交付を国に申請することになっています。
国のカジノ管理委員会が審査し、免許が交付されれば、開業に向けた準備がさらに進むことになります。
この記事の通りに話が進むとなると、カジノは2030年ごろに開業になることになるんですかね。そうしたらどうなるか。たぶんですが、かなりよろしくないことになる可能性がとても強い気がしますね。inti-solさんのご意見を引用します。
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ギャンブルを一度認めてしまえば、それがどれほど害悪であっても、廃止するのは難しいということでもあります。したがって、今あるギャンブルを禁止するのは難しいですが、少なくとも今から新たなギャンブルを公認するのは、とんでもないとしか言いようがありません。
それにも関わらず、カジノが合法化され、大阪がカジノを作ろうとしています。破滅的な影響が生じる未来しか、思い描けません。行政がテラ銭を稼ぐために若者をギャンブル依存にして地獄に突き落とす、世も末です。
おそらくなんですが、このまま大阪でカジノが開設になったら、大赤字になるか、単体では黒字でも、生活保護受給者増加ほかその他のコストを上回るようなものにはならないんじゃないんですかね。大阪のカジノは、たぶんマカオやソウル、シンガポールなどのカジノを上回る営業は難しいと思いますし、単体の黒字を実現しても、その他の行政コストや福祉コスト、カジノによって労働でなくギャンブルに熱中する連中の増加などのコストを凌駕する儲けはできない相談だと思います。これまたinti-solさんが私へのコメント返しでお書きになっているように、
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つまり「依存症になる奴など自己責任だ」と切り捨て、何の救済策も講じない、そうすりゃコストがかからない、逆に言うと、行政が金づるから全部巻き上げて使い捨て、ということです。恐ろしいことですが、カジノを推進している連中の深層心理はそのあたりではないかと踏んでいます。悪意ある思い込みかもしれませんが。
ということになりかねません。ていうか、たぶんそういう神経でないと、カジノはたぶん黒字にならない。そうでもなければ毎度おなじみの利権の獲得ということになるでしょう。
さてさてinti-solさんが上の引用でもご指摘のように、いまあるギャンブルを廃止するというのはなかなか大変です。上にも書いた公営ギャンブル廃止も、つまりは公営ギャンブルの経営が成り立たないから、主催する各地方公共団体が「やってられん」となったわけです。そう考えると、美濃部都政時に東京都が公営ギャンブルを廃止したのは、誠に先見の明があったということになりますね。詳細については、こちらの記事をご参照ください。
現実には、美濃部知事(当時)が公営ギャンブル廃止に踏み切ったのは、彼自身がそれを嫌っていたことと、彼の支持層がそれを支持していたということであり、美濃部氏が将来の公営ギャンブルの赤字を予想していたということもなかったのかもですが、いずれにせよその後の保守都政回帰の時代ですら、けっきょくと主催の公営ギャンブル復活は実現しなかったわけで、これは美濃部都政の英断だったといってよろしいかと思います。東京ドームにも将来的な競輪復活に期待して、トラックが設営できるような設計がされていましたが、復活をもくろんだ石原都政時代にも、実現するにいたりませんでした。実際には、前出のサイトにありますように、
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大井競馬や京王閣競輪、多摩川競艇などは、特別区や多摩地域の各市が肩代わり開催を求め、形を変えて継続されることとなり、今日に至っています。
ではありますが、そうではあっても、そっちの方面のしがらみがない美濃部氏が廃止したほうが、その後の保守知事よりもスムーズだったわけでした。赤字がかさみギャンブル依存症をさらに生み出すよりはずっといいというものでしょう。そう考えると美濃部都政というのも、いろいろ評価されてしかるべきなのでしょう。やはり首都の革新知事というのは、それなりの意味があったかと思います。
というわけで長ったらしい記事になりましたが、カジノなんぞ開設されても国民には損ばかりになり、ギャンブル依存症者が激増しそうです。まったくひどいものです。なおこの記事は、inti-solさんの記事からヒントをいただき、またそこに投稿した私のコメントを記事に活用しています。inti-solさんありがとうございます。