以前書いた記事に、bogus-simotukareさんがコメントをくださいました。
こんなしらじらしいことを堂々と警察に言われて、拉致被害者家族会はよく怒らないものだ>
Unknown (bogus-simotukare)2024-04-03 03:11:49原敕晁さんを“北朝鮮に拉致”韓国籍の元工作員 死亡を確認
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240402/k10014410361000.html
貴記事が取り上げたように、死亡報道自体はかなり前にされてるし、確認も容易でしょうに「今頃?」ですね。
では、そのNHKの記事をご紹介。
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原敕晁さんを“北朝鮮に拉致”韓国籍の元工作員 死亡を確認
2024年4月2日 16時17分
44年前、大阪の原敕晁さんを北朝鮮に拉致したとして国際手配された2人の容疑者のうち韓国籍の元工作員について、警視庁は、韓国で死亡したことを確認したと発表しました。警視庁はもう1人の容疑者の捜査を続けることにしています。
大阪の中華料理店の店員だった原敕晁さんは44年前の1980年6月、宮崎市の海岸で消息が途絶え、その後の捜査などの結果、北朝鮮による拉致被害者として認定されました。
日本の警察当局は、貿易会社の面接を装って原さんを宮崎市の海岸に誘い出し、北朝鮮に拉致したとして
▽北朝鮮の元工作員 辛光洙容疑者と
▽韓国籍の元工作員 金吉旭容疑者の逮捕状を取り
ICPO=国際刑事警察機構を通じて国際手配していました。
このうち、金 元工作員について「死亡した」という情報が去年、韓国側から寄せられ、日本の警察当局が詳しい情報を求めていたところ、2日までに回答があり、2018年3月13日に90歳で死亡したことを確認したということです。
金 元工作員は1985年に韓国でもう1人の辛 元工作員とともに、スパイ容疑で拘束されて服役しましたが、その後、恩赦で釈放されていました。
死亡の確認を受けて国際手配は解除され、警視庁は辛元工作員の捜査を続けるとしています。
上の記事でいう「去年」というのは、昨年の10月以前となります。ということは、上の記事が正しければ、5年以上でしょうか、日本の警察は、金元工作員なる人物の死を把握していなかったということになります。
で、これっていったいどういうことなんですかね?
この人物は、(存命しているとして)北朝鮮にいる 辛光洙とちがい、日本の当局も所在は確認できる環境にあります。そして日本の警察は、少なくとも5年、おそらくはそれ以上の期間ほとんど何の接触もしていなかったらしい。であるなら、えんえん逮捕状なんかを更新し続けるなんていう茶番劇を警察がしているなんてふざけるにもほどがあるというものでしょう。
警察への批判は、すでに前記事でしていますので、本日はマスコミの批判を。なんでマスコミは、こんな警察の不作為、ふざけた態度を不問にしているんですかね?
ここで突然私が思い出すのが、こちらの記事で扱った件ですね。
そんな過去があったのなら、ますます北方領土なんか返還される見込みがないプロジェクト・フラについての記事ですが、これの詳細については、Wikipediaあるいは拙記事などをご参照ください。つまりは、敗戦直後に北方領土に攻め込んだソ連軍が、実は米軍から装備提供から兵士の訓練にいたるまで支援を受けていたという件です。
で、これまた非常に奇妙な話ですが、日本のマスコミは、この件を報道することをたいへん嫌がっているわけです。そもそもこの件は、2017年12月30日に『北海道新聞』が報じたもので、しかしこれは北海道新聞独自の取材というより、拙記事で引用した記事から再引用すれば、
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日本では、戦後70年となった2015年度から「北方領土遺産発掘・継承事業」に取り組んできた根室振興局北方領土対策課の手によって、プロジェクト・フラの具体的な史実が判明した。
同課は、サハリン州の歴史研究者、イーゴリ・A・サマリン氏が樺太南部と千島列島での上陸作戦に投入された全艦船を調べ上げた論文や、国後島の地元紙「国境にて」の過去記事など各種資料を照らし合わせ、北方4島の占領作戦には、前述のアメリカの貸与艦船149隻のうちの11隻を含む18隻(輸送船を含む)が使用されていたことを突き止めた。このアメリカの貸与艦船は、ソ連海軍によって千島列島のほか、南樺太や朝鮮半島北部の上陸作戦にも使われた。
北海道新聞が同課の調査結果をもとに、2017年12月30日付の朝刊1面のトップ記事で大きく報じた。
というものであり、
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事実は北海道新聞の報道後、釧路新聞と根室新聞が報じたが、全国紙は無視した。中央メディアも外務省などに問い合わせはしたはずだ。米国に追従する安倍政権に「忖度」したのなら、情けない話だ。現代史の中で語られる出来事は、今の政治に直結しているケースが多いため、こうしたことは多い。日露首脳会談のときだけ賑やかになる北方領土問題も、その実、4島をめぐる現代史の根本事実すら国民には知らされていない。
となっているわけです。
それにしてもこれもお粗末な話ですよねえ(苦笑)。この時の北海道知事だった高橋はるみ知事は、19年に知事を退任した後の7月の選挙に当選して自民党の参議院議員になったくらいで、保守系の知事の中でもかなり自民党と深い関係にあった人物なわけです。つまりは当時の北海道は保守道政だったわけで、そういう人物のもとですら行政がそのような調査をして結果を出し、またそのような実績のある知事が自民党の国会議員になるわけです。つまりは、こんなのは、ぜんぜんタブーではないわけです。だから『北海道新聞』も記事にした。が、全国紙やテレビキー局などは、無視したわけです。それこそTBSのラジオや論座(朝日新聞の言論サイト)といった非主流、傍系のセクションくらいしか扱わないわけです。あるいはですが、ブロック紙とはいえ地方紙に先を越されたのがしゃくだった? そういうこともなくもないかもですが、それ以前として大手マスコミとしては記事にしたくないことだったのでしょうね。私が拙記事で
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>>米国に追従する安倍政権に「忖度」したのなら、情けない話だ。
という指摘があります。それが全く関係ないとは私も言いませんが、たぶん現在が安倍政権だからということは本質的な問題じゃないですね。北方領土問題の大きな責任が、そもそものソ連の占領からして米国に大きな責任があるというのは、「不都合な真実」「国民には知られたくないこと」であって、それは外務省をはじめとする役所や政治家、さらにはマスコミにいたるまで「なかったこと」にしたい政治の闇というものだったのでしょう。これは、安倍が首相になるずっと以前からそうだったことです。
ということになろうかと思います。
政府や政治家が、こういうことに言及するのを嫌がるというのは、もちろん「いい」とは思いませんが、ある意味当然でしょう。こんなことは居直ったりしたりできることではない。しかしマスコミが報道しなくてどうする(笑)。ふざけているにもほどがあるというものです。
ここでまた、金元工作員の死についての記事に戻ります。日本のマスコミで、この件で警察を「不作為だ」「何やっているんだ、警察は」とか批判したものってあるんですかね? あるのかもしれませんが、ちょっと目にしませんね。『読売新聞』なんぞ
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「北朝鮮の大物工作員である 辛光洙シングァンス 容疑者の動きを知る重要人物だった」。今回、死亡情報が伝えられた 金吉旭キムキルウク 容疑者について、捜査関係者が明かす。
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日韓は02年に「犯罪人引き渡し条約」を結んでいるが、日本政府は金容疑者が韓国で原さん拉致に関わる罪で服役したことや、辛容疑者の指示で動いた共犯者にとどまることなどから、正式に身柄の引き渡しを求めてこなかった。
捜査関係者は「事態が動くことに備え、逮捕状の更新を続けていた。本格的な取り調べを行い、真相に一歩でも近づきたかった」と話した。
なんていう警察の与太を垂れ流す始末。なにをこんな恥知らずなクズ発言をそのまま掲載するんですかね。この記者だって、私が考えたようなことを全く考えなかったということもないでしょう。この警官に「で、なんで警察は、逮捕の見込みなんかないのにえんえん逮捕状を更新し続けたんですか」とか「警察は、金容疑者の所在を把握していたんですか。していたのなら、どういうアプローチをしていたんですか。していないのなら、なぜしていなかったのですか」なんていうことを聞いたらどうこたえるのか(苦笑)。で、そういう先方に都合の悪い質問はしない、しても答えはオフレコでは、てめえらどんだけ警察と癒着しているんだよです。お話にもなりません。
拉致被害者家族も型通りのお約束コメントしかしないのだから(その例は、前記事でご紹介しています)マスコミの態度も驚くにも何も値しませんが、こんな愚劣な態度や対応では、拉致問題なんか絶対解決するわけがありませんね。北方領土問題と同じです。いつもながら無様で無残な光景です。なおこの記事は、bogus-simotukareさんのコメントと、下の記事からいろいろなヒントをいただきました。お礼を申し上げます。
今日のロシアニュース(2019年4月26日分)