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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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安倍晋三も、首相を辞めても「中国との敵対関係も辞さない」ということはなかったらしいが、岸田政権もあまり成果は期待できそうにない

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あ、すみません。この記事は、別ネタの記事として執筆していた(しかし途中で完結しなかった)ものでしたが、その後安倍晋三殺害(暗殺)というまさに想定外の事件が起きたので、長きにわたって中座していました。が、昨今の動きを加味してあらためて完結させようと考えましたので、いろいろなことをアップデートして記事を発表します。

安倍晋三が殺害された3か月前の記事(すでにリンク切れ)より。

岸田首相、安倍氏と会食
2022年04月10日21時45分

 岸田文雄首相は10日夜、東京都内のホテルで自民党の安倍晋三元首相と会食した。関係者によると、主に対ロシア、対中国関係などをめぐり意見交換。安倍氏は中国が日本にとって最大の貿易相手国であることを踏まえ、外相会談を実施して意思疎通を図るよう助言したという。萩生田光一経済産業相、松野博一官房長官が同席した。

シンプルな記事ですが、私にちょっと興味深いのは、こちらですね。

安倍氏は中国が日本にとって最大の貿易相手国であることを踏まえ、外相会談を実施して意思疎通を図るよう助言したという。

つまりは、これをそのまま字句通りに解釈すれば、安倍としては、日中関係を悪くするというのは得策ではないと考えていたということですかね。現段階実現していないとはいえ、習近平国家主席を国賓として日本に迎えたいという意思表示をしていてそれで首相をやめたら即中国批判に宗旨替え(原点回帰?)するというわけには、いかなかったということなのか。そうだとすれば、大変いいことです。

ただマジ論すれば、岸田という人が、そんなに積極的かつ極端な反中路線に動くというのは考えにくいと思いますが、それでも安倍晋三からそういう話をしてもらえたというのであれば、これは岸田としても非反中路線へ動くのもよりやりやすいということにはなるのでしょう。私は、日本が中国と敵対関係になったとして日本が得することはないと考えていますので、これもよいことだと思います。

ところで上の記事では、日韓関係についての言及はありませんね。共同通信配信の記事を確認します。引用は、京都新聞(すでにリンク切れ)より。

岸田首相、安倍氏と会食
対ロ、中韓外交で「助言」
2022年4月10日 21:29

 岸田文雄首相は10日夜、東京都内の鉄板焼き店で安倍晋三元首相と会食した。関係者によると、ウクライナ危機を踏まえたロシアへの対応や中韓両国との外交方針を巡り、安倍氏から助言を受けたという。物価高騰に伴う経済対策のほか、夏の参院選についても意見を交わしたもようだ。

 両氏の会食は1月11日以来で、ロシア軍がウクライナ侵攻を開始した2月24日以降は初めて。首相から開催を呼びかけた。会食には松野博一官房長官、萩生田光一経済産業相も同席。両氏はいずれも自民党安倍派に所属している。

 首相は安倍氏の議員会館事務所を不定期に訪れ、政権運営に関して意見交換している。

安倍が韓国との関係について、どのような話をしたのかは記事には書いてありませんが、やはり「強硬な態度」「政権交代があったので、より日本側の立場を強調する」っていうようなことを主張したんですかね。最近の韓国国会選挙〈2023年4月)では、現大統領の与党が敗北しましたが、日韓関係強硬意見という意見が述べられたという仮定は、そうでない可能性よりは、そうである可能性のほうが高そうです。ただこれは、安倍の話よりも現首相である岸田の態度のほうが重要なのですが、こういうことについて岸田がそんなに自分の考えを前面に打ち出すということは少ないのではないか。韓国に限らず、対北朝鮮関係も、安倍、菅といった前任者と同様、岸田も平壌に連絡事務所を設置することすらもできていません。たぶん今後も設置に動いたりはしなそうです。

しかしこと安倍についていえば、より問題なのがロシア関係でしょうね。inti-solさんの記事から引用させていただきます。

あまりに面の皮が厚すぎる

「ポロシェンコ前大統領とは5度の首脳会談を行った」そうですが、以前の記事でも書きましたが、プーチンとはその5倍の27回も階段を行っているわけです。
しかも、その当時のプーチンが今と違う振る舞いをしていたわけではありません。安倍とプーチンの会談は2013年から始まっていますが、翌2014年にはロシアはクリミア半島に攻め込んでこれをウクライナから強奪し、更に東部に実質的なロシアの傀儡政権をでっち上げて「独立」を宣言させるという蛮行を行っています。日本も国連決議においてはロシア非難決議に賛成しています。
それなのに、それ以降も安倍はプーチンとの会談を繰り返しています。それが積もり積もって27回。会談だけならともかく、そこには200億円の経済支援という手土産までついたわけです。

(中略)

北方領土問題を解決するためというのが言い分ですが、結局解決しなかったことは言うまでもありません。それも、安倍が四島返還から二島返還に舵を切った(これ自体は、それ以外に解決の策などあろうはずもない、英断だったと思いますが)けれど何ら進展がなかった時点で、誰がどう見たって無理筋なのは明らかでした。それでもまだ、悪あがきのごとく会談を重ねたわけです。

安倍は、自分が他人を攻撃するとき(民主党政権に対する批判)は「政治は結果だ」と叫んでおきながら、自分自身は結果責任を一切認めない。落ち度も非も認めない、とにかく無謬の人なわけです。

というわけです。つまりは安倍の対ロシア外交なんてのはこの始末のわけです。前に私は、次のような記事を書きました。

安倍政権の外交というのも、ほぼ失敗に終わっているといっていいのではないか

内容については、ご興味のある方はお読みいただければよいとして、今この記事を読み直して再検討してみても、特に問題はないように思いますね。上の記事を執筆したのが2019年4月であり、安倍の首相辞任が20年9月(辞任表明は8月)、その間これといって安倍外交にいうほどの成果はないでしょう。

で、これは、安倍だけの問題じゃないですよね。安倍の外交政策なるものはもちろんご当人だけの問題ではなく日本政府や自民党の問題でもあります。で、第二次安倍政権なるものが7年半以上続いて外交面であまり成果がなかったとなると、ポスト安倍政権の今日では、それをどう改革していくことが必要かということですが、そういうことを政府といい自民党といい、まともにやっているようにも思えませんしね。先日岸田が米国を訪問して、それをご当人も誇らしげに語っています。


岸田首相 訪米の成果強調 “日米両国連携の重要性を発信”
2024年4月13日 11時24分 

総理大臣としては9年ぶりとなった今回の国賓待遇でのアメリカ訪問について、岸田総理大臣は、日米首脳会談や議会演説などを通じ、日米両国がグローバル・パートナーとして連携していく重要性を発信することができたと成果を強調しました。

今月8日からアメリカを訪問している岸田総理大臣は、バイデン大統領との日米首脳会談や、議会上下院の合同会議での演説など、現地での一連の日程をすべて終え、日本時間の13日午前、記者団の取材に応じました。

この中で岸田総理大臣は、「日米がグローバルなパートナーとしていかなる未来を次の世代に残そうとしているのか。首脳会談や議会演説などを通じて、こうしたメッセージをアメリカの議会や国民、世界に向けて伝えることができた」と述べ、訪問の成果を強調しました。

一方、今月10日の韓国の総選挙で、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領を支える保守系の与党が大敗したことによる日韓関係への影響について問われ「日韓関係は去年から政治、経済、文化など、さまざまな分野での協力が質・量ともに充実してきている。引き続き、韓国とは首脳のみならず、あらゆるレベルで意思疎通を図っていくことが重要だ」と述べました。

岸田総理大臣は、14日、政府専用機で日本に帰国します。

現段階、日本国民(有権者)が、岸田訪米による成果(?)を高評価しているということもないのではないかと私は考えますが、私の考えの妥当性はともかく。

これけっきょく日米同盟とかの継続でしかなく、安倍政権というより戦後の自民党統治の外交政策の継続ですよね。民主党政権時代も特に外交で独自の政策があったものでもないですが、たとえば田中角栄による日中国交正常化とか、小泉純一郎による日朝平壌宣言、あるいは鳩山一郎の日ソ共同宣言などのような画期的なものではない。いい関係にある相手方との関係強化なんてことは、こういっちゃなんですが、そんなに難しいことではない。悪い関係の相手との関係改善こそ後世評価される外交成果です。岸田(あるいはポスト岸田)が、日朝国交正常化や北方領土返還などを成し遂げれば、たぶん後世は「すごい」「大したものだ」「歴史が変わった」と評価してくれます。田中角栄も、ロッキードで逮捕・起訴・有罪判決(上告中に死亡)されたって、日中国交回復だけは評価されます。拉致被害者を北朝鮮から取り戻したことは、小泉純一郎の成果としてこれまた永遠に語り継がれるでしょう。

で、安倍晋三はそういうことができませんでしたし、そのほかの自民党と民主党(当時)の首相たちもこれといったことができなかったわけです。現状いまあげたような懸案事項に日本の政府や政治家がこれといって有効な対応ができるようにも思えませんが、正直誰が首相をしたって同じことしかしないしできない日米関係強化なんかよりは、もうすこしのちの世で「すごい」と評価されることをしてもらわないといけませんね。これは日本以外でも同じでしょう。北アイルランド紛争だって、とりあえず武装対立やテロなどを鎮静化させた人たちはやはり評価されてしかるべきだしそうされていると思います。私たち日本人も現段階、自民党の外交などというものは、前例踏襲以上のものではないとクールな判断をしていませんかね。そうであれば、日本人もそれ相応の自民党外交政策評価をしているのかもしれません。自民党に1票を入れたり世論調査で自民党を支持している人も、おそらく外交政策を支持している人はそんなに多くないのではないか。外交は票にならんというのはもちろんそうだと思いますが、それ以前の話だと思います。

昔書いた記事と現状との折衷記事ですのでかつて引用しようとした記事がすでにリンク切れになっていたりとやや問題ありですが、そんなに私の考えも筋違いではないのかなと考えながらこの記事を終えます。


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