かなり大変でしたが、オランダが準決勝に進めました。勝ったのではなくPK戦による準決勝進出なのがちょっと残念ですが、ともかく勝ち上がれたのだからよかったと思います。試合を見ていて、攻めまくって、それで無得点、カウンターでやられる(あるいはPK負)かも、と非常に心配していましたが、PKにそなえてGKを交代するという、代表レベルではあまり聞かない策がはまりました。
で、ちょっと私が興味深く思ったのが、次の記事。
>“PK職人”ではなかったPK要員、コスタリカの動揺誘ったオランダのGK交代策
ゲキサカ7月6日(日)16時45分配信
[7.5 ブラジルW杯準々決勝 オランダ0-0(PK4-3)コスタリカ サルバドル]
延長後半アディショナルタイム、オランダのルイス・ファン・ハール監督は守護神のGKヤスパー・シレッセン(アヤックス)をベンチに下げ、GKティム・クルル(ニューカッスル)をピッチへ送った。試合前から考えていたという交代策。しかし、PK戦直前に投入されたPK要員は、決して“PK職人”ではなかった。
ニューカッスルでの過去5シーズン、クルルは20回、PKの場面を迎えた。しかし、止めたのはそのうちのわずか2回。昨季は5回あったPKを1本も止めていなかった。PK戦で一度も止めたことがないと言われるシレッセンと比べれば、“まし”という程度。身長はシレッセンよりも6cm高いチーム最長身の193cm。「彼はより長いリーチを持っており、PKを止めることでは他のゴールキーパーよりも良い記録を持っていた」。試合後の記者会見でそう語ったファン・ハール監督だが、奇策は賭けに近かった。
ただ、そうした過去のデータ以上に、コスタリカに驚きと戸惑いを与える心理的影響が大きかった。決勝トーナメント1回戦でもギリシャをPK戦で下してきたコスタリカはオランダ戦に向けても入念にPKの研究をしてきたはずだ。しかし、それはあくまでシレッセンがゴールを守っている想定だったはず。シレッセンの癖は研究していたかもしれない。しかし、クルルは? コスタリカのベンチに、選手に動揺を与えるという意味では効果的だった。
逆にクルルは事前にギリシャ戦の映像を見て、コスタリカのPKが頭に入っていた。5本中4本、キッカーに向かってすべて左に飛び、そのうちの2本を止めたのは偶然だろうか。10%だった確率が本番で40%にまで上がったことを「運が良かった」で片づけることはできない。“鬼才”ファン・ハールに導かれるように2度のPKストップを見せたクルル。今大会のオランダは神がかっている
もうひとつこちらも。
>冴えわたるファン・ハール采配、GK交代の“奇策”が的中
14/7/6 09:53 [7.5 ブラジルW杯準々決勝 オランダ0-0(PK4-3)コスタリカ サルバドル]またも采配が当たった。0-0のまま延長後半もアディショナルタイムに入ったとき、オランダは最後の交代枠でGKティム・クルル(ニューカッスル)をピッチに送った。これまでフル出場を続けてきた守護神のGKヤスパー・シレッセン(アヤックス)がベンチに下がる。ルイス・ファン・ハール監督の奇策とも言える采配だった。
しかし、これが見事に的中した。コスタリカの2人目、5人目のキックをクルルがいずれも左に飛んでストップ。PK4-3で競り勝ち、2大会連続の4強入りを決めた。試合後、記者会見に臨んだファン・ハール監督は胸を張って言った。
「ティム・クルルはペナルティーキックを止めるのに最も適したゴールキーパーだ。彼はより長いリーチを持っており、PKを止めることでは他のゴールキーパーよりも良い記録を持っていた。クルルは(キッカーから見て)右のコーナーに毎回毎回、飛んだ。そして2本止めたんだ」
PK戦直前に交代を命じられたシレッセンは驚きの表情を浮かべ、ベンチではペットボトルを蹴る仕草も見せた。不満がないはずはない。それでも指揮官は「交代は、監督である私が決める」としたうえで、「シレッセンには事前に何も伝えていなかった。試合前にこうした情報に触れるのはよくない。彼にとっては失望であり、彼の準備と集中を邪魔したくなかったからだ」と明かした。
PK戦に突入すると、シレッセンも気持ちを切り替え、クルルのセービングとチームの勝利を祈っていた。コスタリカの5人目、DFマイケル・ウマーニャのキックをクルルが弾き出すと、他のチームメイトとともにシレッセンも全速力でクルルのもとへ駆け寄った。
次期マンチェスター・ユナイテッド監督はシレッセンへのフォローも忘れない。「次の試合、だれが先発するかということに疑問の余地はない。シレッセンだよ」。GKの交代という“賭け”に勝った名将は「チームスピリット、団結力という意味で、このチームは私がこれまでに率いてきたチームの中でもベストなグループだ」と、確かな自信を深めていた。
(取材・文 西山紘平) もうひとつおまけ。 >2014/07/06 13:46:00
コスタリカ戦のPKを研究させていた指揮官
オランダ代表は5日、ワールドカップ(W杯)準々決勝でコスタリカ代表をPK戦の末に下した。采配が見事に的中したルイス・ファン・ハール監督は、鍵となった選択について説明している。0ー0で120分を終えたオランダは、PK戦を目前にした延長後半にGKを交代した。キャリアでPKストップがないというヤスパー・シレッセンを下げて、ティム・クルルを送り込んだ。
結果、この采配は的中。クルルは2つのPKを止めて、ベスト4進出に大きく貢献している。
試合後のファン・ハール監督が、このように話した。
「事前に考えていた。私のチームには、各選手に確かなスキルとクオリティーがある。それが必ずしもそれが重なるわけではない。ティムはPKを止める適任だと考えた」
「だが、ヤスパーにとってはがっかりすることだ。この情報は彼には伝えていなかったよ。ただ、どのGKにもそれぞれの特徴がある。ティムはリーチの長さとPKでの実績があり、止めてくれると思った」
「我々はティムとこのことを話していた。彼にギリシャ戦でのコスタリカのPKを分析させた。何度も右に飛んだのを見たはずだね」
延長戦に入る前から、クルルの投入は頭の中にあったという。
「90分が終わる前に決めた。チームは良いプレーをしていて、チャンスがいっぱいあった。だから、多くの交代は必要ないと思ったんだ。しかし、PK戦にいく可能性はあった」
オランダは準決勝でアルゼンチンと対戦する。 シレッセンからすれば悔しいでしょうが、やはりコスタリカとしても、GK交代というのは「まさか」「そんな馬鹿な」といったところですかね。この日のクルルは相手のける方向をよく読んでいたし、これは準決勝、決勝でもこのような起用があり得るかですね。オランダは、PK戦については抜群に強いというわけにはいかないので、たとえば決勝でドイツと戦ったりしたらPK戦までいくと当然不利ですから、上の記事でも指摘されているようにいろいろな奇策も取っていく必要があるかもしれません。なお、ティム・クルルのWikipedia記事はこちら。なお、この記事を書いている7月6日午後7時過ぎの時点では、まだシレッセンについてはWikipedia日本語版記事はないので、英語版をリンクしておきます。 ところで準決勝は、私が下の記事で予想したとおりになりました。 準決勝は、ブラジル対ドイツ、オランダ対アルゼンチンか?
つまりは、私のような素人でも結果が容易に予想できちゃうくらい、ある意味波乱はなかったってことですかね。コスタリカの躍進その他はありましたが、準決勝に勝ち上がったのは「いかにも」の強さをほこるチームばかりです。ブラジルとドイツは、ネイマールが出場不可であることと あとなんといっても、チアゴ・シウヴァの欠場が痛い。ドイツでラームが出られないようなものです。そういえば、2002年大会の決勝でも、ポジションは違いますが、ドイツはバラックが出られなかったな。あれと同様ブラジルは非常にきついですね。こちらの記事では、シウヴァの代役は、
>モウリーニョ監督は、T・シウヴァのドイツ戦欠場はブラジル代表にとって大打撃であると語る。「ネイマールはブラジルにとって必要な存在だ。だが、チアゴ・シウヴァはネイマールと同等、もしくはそれ以上に重要な存在だ。ブラジルは守備的に戦っていて、彼はチームに絶大な安定感をもたらしている」とT・シウヴァの重要性を改めて強調した。
同選手の代役に関しては「コロンビア戦ではエンリケが出ていたので、1つのオプションとしてあり得る。しかし、ドイツを相手にするのであれば、ブンデスリーガで戦い、対戦相手を熟知しているバイエルンのダンテが選ばれるだろう」と予想している。
とあります。
右側のブロックは、当然オランダに勝っていただいて・・・といいたいところですが、もちろんアルゼンチンが簡単に勝たしてくれるとも思いません。コスタリカ戦のように、決まるべきゴールが決まらないと、やはり勝つのは難しい。ましてや南米の大会だから、そのあたりアルゼンチンにいろいろアドバンテージがあります。
ここまで来たら、結果はともかくとして、身体がしびれるような試合を、勝ちあがった4チームには期待したいと思います。