昨日流れた記事を。
>編集者を懲戒解雇=架空記事問題で月刊誌
時事通信 7月8日(火)11時50分配信
男性向けファッション誌「フリー&イージー」6月号に掲載されたイラストレーターの故安西水丸氏の追悼企画に、作家の赤瀬川原平氏らが書いたかのような架空記事が含まれていた問題で、発行元のイースト・コミュニケーションズ社(東京)は8日、記事を作成した男性編集者を懲戒解雇処分にしたことを明らかにした。
編集長を務める小野里稔社長も減給3カ月とした。処分は6月20日付。
この問題では、赤瀬川氏の名前を無断で使った記事のほか、作家の角田光代さんらの文章も別の雑誌の記事を書き換えるなどして掲載した。
で、産経新聞にもこの件の記事が流れました。
>赤瀬川さんらの記事捏造した編集者を懲戒解雇
2014.7.7 22:21 [事件・トラブル]
男性向け月刊誌「Free&Easy」が美術家の赤瀬川原平さんらの記事を捏造(ねつぞう)していた問題で、発行元のイースト・コミュニケーションズは7日、記事を担当した編集者の男性を懲戒解雇したことを明らかにした。編集長を務める小野里稔社長も、減給3カ月の懲戒処分とした。処分は6月20日付。
同社は最新の8月号で「未許諾、不適切な引用で、関係者、読者に多大な迷惑をおかけしたことを深くおわびする」と、小野里社長名であらためて謝罪した。編集長は続投するという。
同誌は、3月死去したイラストレーター安西水丸さんを追悼した6月号の特集で、赤瀬川さんのほか、作家の角田光代さん、イラストレーターの南伸坊さんがそれぞれ書いたような記事を捏造。3人へのインタビューもしておらず、他社の週刊誌記事の文章を流用し、勝手に載せるなどしていた。
編集者の懲戒解雇自体は当然、あるいは仕方ないというものでしょうが、時事通信はともかく産経新聞はこの記事(共同通信の記事かな?)をどういう考えで掲載したのか興味があります。産経新聞は、捏造、デタラメを書く記者をろくに処分しないでしょう(笑)。
このブログでもその例をいくつか記事にしていますが、私がこれはひどいと思う3例をご紹介します。あくまで氷山の一角です。
1つは、牛田久美という記者の書いた
>南京大虐殺記念館、信憑性乏しい写真3枚撤去
とかいう記事です。牛田記者は
>中国・南京市にある南京大虐殺記念館が、信憑(しんぴょう)性が乏しいと指摘されていた写真3枚の展示を取りやめたことが17日、政府関係者の話で明らかになった。
と書いていますが、いつから展示をやめたのか、どのような理由でやめたのか、といった基本的なことすら書かれていませんし、そもそも中国側の談話すらありません。ていいますか、このような記事を書くにあたって
>政府関係者の話で明らかになった。
というのも変な話ですが(そういう話を聞いて記事にするのなら、中国側に確認を入れるのが当然でしょう)、実際に中国側に取材をしなかったのか、したが記事に反映しなかったのかは不明ですが、なんともお粗末な記事です。このあと中国側がこの記事の内容を事実無根であると抗議をしましたが、産経は反論をしませんでした。ひどいものです。
2つ目は、これはさすがに産経も訂正を出しましたが、自衛隊の訓練に自治体が協力しなかったとかいう記事です(こちら、こちらのサイト参照)。執筆者は三枝玄太郎記者。この記事にいたっては、批判された自治体(東京都の複数の特別区)がいっせいにHPで厳重抗議をする始末。
ただここまでひどい記事になると、なぜこんな記事を書いたのかということすら理解に苦しみますね。記者は、このような記事を書いて自治体側から抗議をうけることを予想しなかったのか、抗議をうけることを覚悟して書いたのか、なにがなんだかさっぱり理解できません。昔の革新自治体とかの亡霊でも見ているんですかね。なおこの記事は、Wikipediaの「虚偽報道」の項でも紹介されています。
3つ目は、私が数回記事(こちら、こちら、こちら、こちら、こちら)にした、かの阿比留瑠比大先生による超悪質捏造記事、辻元清美への誹謗中傷記事です。阿比留記者は、他人の著作で書かれてもいないことを書いていると称して辻元を誹謗中傷し、さらに事実無根の話を堂々と記事にして、名誉毀損訴訟を起こされ、産経側は1審敗訴、控訴すらせず確定しています。
くりかえしますが、これらは氷山の一角です。Wikipediaの「産経新聞の報道」という項目に、いろいろな事例が掲載されているので、興味のある方はご覧になってください。
でですよ、こういったデタラメで悪質きわまりない記事を書いた連中は、産経新聞から何らかの処分を受けているんですかね?
阿比留記者は、また出世(?)しているようですし、他の連中も懲戒処分を受けたという情報は耳にしていません。三枝記者については、上で紹介したWikipediaの記事では、
>担当の三枝玄太郎記者が処分された様子はない。
とあります。ネットで検索した限りでは、たしかに処分されたという情報はありませんでした。処分していたらこれは私も記事にしたいので、知っている方は、現在コメント欄閉鎖中ですので、よろしければmccreary@mail.goo.ne.jpまでご連絡くださると大変うれしく思います。
私見では、牛田記者については懲戒解雇は厳しすぎるかもしれませんが(しかし記者職解任くらいはあってしかるべきでしょう)、あとの2人は当然懲戒解雇処分じゃないですかね。どちらも明らかに意識的に事実確認をしなかったし、自治体の記事は自治体職員の談話を捏造している可能性が大、阿比留記者については、完全に特定個人への誹謗中傷を目的に記事を書いているので、論外にもほどがあるというものでしょう。といいますか、ふつうどこの新聞でもこんな記事は表に出ませんよね。デスクなり何なりが「馬鹿、こんな記事出せるか」と言うでしょう。で、私も産経新聞の関係者が、本気で上にあげたような論外の記事を「事実」だと考えていたとは思いません。別に彼(女)らも、そこまで馬鹿ではないでしょう。
それで、「Free&Easy」に関しては、編集長兼社長も懲戒処分を受けています(といいますか、実質的には自分で課したのでしょうが)。メディアというのは、書き手の責任と出し手の責任があるわけで、これは「出し手」の責任を取ったわけです。書いた記者の責任と、それを記事として発表した編集者(兼経営者)の責任を認めたということです。
そう考えると、上にあげたお三方、さらにはほかにも大勢いる問題記者たちを産経新聞の上層部が処分しないのも当然ですよね。連中は、これらの記事がデタラメで悪質であることを重々承知で掲載しているんだから。記者を処分するのなら、当然編集幹部もそれなりの処分をせざるを得ないでしょう。上の雑誌の編集長兼社長氏は、架空記事であること自体は知らなかったのでしょうが、産経新聞の連中はわかってやっているんだからはるかに罪が重い。そんな連中が、自分たちを律し、罰することをするわけがない。
そうすれば、タイトルにもしたように、この雑誌のほうがよっぽどまともに自分たちの不祥事に対応しているということでしょう。もちろんこれは、この雑誌をほめているわけではなく、単に産経新聞という新聞が、非常識極まりない態度であるというだけの話ですが。
産経新聞に対しては、これからもこだわっていきます。