過日こんな記事を読みました。
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19歳受刑者の男から「偽善者」、娘を刺殺された女性「一方的に傷つけられた」…心情等伝達制度を利用
2024/08/21 12:48
福岡市の大型商業施設で2020年8月に刺殺された女性(当時21歳)の母親が、受刑中の男(19)(殺人罪などで懲役10年以上15年以下の不定期刑が確定)に対し、「心情等伝達制度」に基づき思いや質問を伝え、その返事が7月に届いたことがわかった。返事には事件に 真摯しんし に向き合っているとは思えない心ない言葉が並んでいた。
母親は代理人の弁護士から、昨年12月に始まった制度の存在を聞き、利用を決めた。弁護士事務所で6月、男が服役する刑務所の職員3人に対し、女性のアルバムや作文を見せながら「娘はラグビーをするなど活発で、家事を手伝ってくれる母親思いの子だった」と説明した。
男に尋ねたい内容と「更生を支える人もいるのだからいいかげんな行動はすべきではない」という思いを書面にまとめてもらい、伝達を依頼した。
返事は約1か月後に届いた。謝罪や反省の言葉はなく、「娘に抵抗されたとき、どのように思ったか」との質問には、「偽善者ですね」と回答した。
以下は直接引用記事に当たっていただくとして、「心情等伝達制度」とは、記事から引用すると
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◆ 心情等伝達制度 =刑務所や少年院の職員が、遺族らから話を聞き取り、作成した書面を処遇状況を考慮した上で、加害者に読み上げる。被害者側の希望があれば、質問に対してどう答えたかなどを伝える。
というものです。
記事に関する事件については、福岡商業施設女性刺殺事件を参照してください。この事件に関しては、私も強い興味関心を覚えたので、拙ブログでも記事にしました。
福岡の少年による女性刺殺事件の求刑が本日ある(備忘録を兼ねて、関係する報道記事を掲載)(追記:被告人の少年に懲役10~15年以下の不定期刑の求刑→追記:求刑通りで確定)この少年の家庭環境ほかはひどいにもほどがあるというものですが、それをどう考えるかはこの記事では問いません。問題は、この少年の態度です。
こんなの嘘八百でもいいから、陳謝すればいいじゃないかと私は思います。そうすれば、遺族はもちろん許しませんが、少なくとも拘禁施設側の心象はよくなる。ともかく悪くはなりません。この人物は、おそらく不定期刑の最長15年まで拘禁されることになるでしょうが、少なくとも上のような態度を取っているよりは、形だけでも陳謝する旨の態度を表明するほうがずっといいでしょう。いろいろな意味でです。ご当人のためにもご遺族のためにもです。
が・・・この人物は、そんな程度のことすらできないのでしょうね。死刑だ無期懲役だとからなら、いいとは言いませんが、そういう態度を取るというのもある意味理解はできなくもありませんが(私見を述べれば、「反省しろ、しかしお前は死刑だ」では、死刑囚も反省する気にはあまりならないでしょう)、しかしこの人物は、施設内でよろしくないことでも起こさないかぎり最長15年満期で釈放されますからね。釈放された後この人物は本当に大丈夫か。実に不安になります。
実際世の中、少年時代に殺人をした後成人後に死刑になるなどのどえらい犯罪をしちゃう人間もいますからね。有名どころを上げれば、少年時代に大竹市強盗殺人事件を起こし、成人後に三菱銀行人質事件を起こして大阪府警の特殊部隊に射殺された梅川昭美は、裁判にかけられていれば死刑は免れなかったでしょう。少年時代に母親を殺害(山口母親殺害事件 )し、成人後面識のない姉妹を殺害(大阪姉妹殺害事件)した山地悠紀夫、少年時代に女性を殺害し、前科を重ねて出所後に4人もの女性を短期間に連続して殺害(スナックママ連続殺人事件)した西川正勝らは死刑が確定・執行済みです。なお以上の3名については、「死刑囚」などの呼称は省略しましたことをお断りしておきます。
そして件の人物も、どうもこういった連中に近いところがないか。とくに西川などとは類似するものを感じます。西川も、女性に対して非常に複雑な思いがあったらしい。そのような部分が共通するところがあると考えます。
以下は余談です。「心情等伝達制度」の趣旨に反対するものではありませんが、正直この事件とこの人物に対しては、そんなことをしても、非常に不快になるだけという気がしますね。たぶん関係者も、被害者の遺族に、そのような話をしたのではないか。おそらく母親の方は、そういうことをすべて理解したうえでやはりせざるを得なかったのでしょうが、私としては「それはやめた方がいいんじゃないの」としか言いようがないですね。引用した記事でも、識者(太田達也氏)が指摘しているように、
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理不尽な返答がきて、被害者側が傷つくリスクもある制度
ということでもあるわけです。遺憾ながらこの人物からまともな対応を期待するのはできない相談なのだと思います。