中国漁船が、小笠原近辺でサンゴを密漁しているという話題がマスコミをにぎわせています。そういった自然破壊はとんでもない話です。ひどいことです。
さて、この件でちょっと面白い(かな?)記事を読みました。産経新聞から引用します。
>2014.11.4 11:02更新
サンゴ密漁で自衛隊対応を否定「一義的には海保、警察」江渡防衛相
江渡聡徳防衛相は4日午前の記者会見で、東京・小笠原諸島沖での中国漁船によるサンゴ密漁問題について「一義的には海上保安庁と警察で対応することだ。今の状況で自衛隊がどうのこうのするという思いは一切ない」と述べ、現時点での自衛隊による対応を否定した。
ただ、江渡氏は「その後、どうしてもということがあれば今後の検討課題になる」と指摘した。自衛隊が対応する際の条件に関しては「最終的に政府としていろんなことを判断しなければならない」と述べるにとどめた。
そりゃそうですよね(笑)。たかが漁船に海上自衛隊なんか出したら馬鹿にもほどがあるってものです。ていうか、出したって、たぶんそんな漁船に対する対応なんて海自はぜんぜん訓練していないでしょうから、これといったこともできないでしょう。
ところが世の中、非常識きわまりないことを主張する人がいます。この記事を読んでいて、突然昔書いた記事を思い出してしまいました。産経新聞の安藤慶太記者なる人物は、2010年にこんなことを書いています。尖閣諸島に中国の漁船が接近した際のことです。
>もっといえば、今回、海上自衛隊の出番は最初から最後までなかった。それを多くの人が当たり前に受け止め、何も考えずに済ませている。これも本来、とても不思議な光景だといわざるをえない。
私はこの記述に笑ってしまい、当時
>馬鹿。漁船に海上自衛隊をだしてどうする(笑)。
と書いています(笑)。さらに安藤氏は、
>漁船相手に海自が出るまでもないという人がいるかもしれない。しかし、仮に漁船に銃器が積んであればどうか。武装して尖閣に上陸したらどうだったか。
とまで書いているので、私は
>ご安心ください(笑)。じゅうぶん海上保安庁で対応できます。安藤氏は、「九州南西海域工作船事件」をご存知かな? 知らないわけはないと思うけど。まあ武装して尖閣諸島に上陸する馬鹿もそんなに多くはいないとおもいますが。常識的に考えて、漁船が北朝鮮の工作船以上の武器弾薬を持っている可能性は少ないでしょう。
と指摘しました。私が指摘するまでもなく氏がそんなことを知らないわけはありませんが、なんとも無残な記事ではあります。
最近安藤氏は「正論」の編集部の仕事に集中しているのかあんまりこの人の消息を産経新聞紙上で聞くことはありませんが、安藤さんに「安藤さん、あなたはこのような記事を書いておられましたが、今回は海上自衛隊を出すべきですかねえ?」とお伺いしたいですね(笑)。ご本人こんな記事のこんな記述のことは忘れているか、そうでもなければ「なかったこと」にしたいか、いずれにせよまともな回答はかえってこないでしょうが、たぶん彼も、安倍政権下の現時点では、政府の対応を表立っては批判しないんじゃないんですかね。批判していたら、これはこれでおもしろいですが。
さてさて、安藤氏の話は論外ですが、この発言も個人的にはどうかと思いますね。
>2014.11.4 20:42更新
【サンゴ密漁】
台風の場合でも中国船員の上陸認めず 太田国交相
小笠原・伊豆諸島(東京)周辺で中国のサンゴ密漁船が急増している問題で、太田昭宏国土交通相は4日の閣議後会見で「台風20号の接近で中国漁船が小笠原諸島に避難してきた場合でも上陸させない」と述べ、避難目的での乗組員の上陸を認めない方針を明示した。
(中略)
海上保安庁は、国際慣習に従い台風接近や船体の大規模な損傷などやむを得ぬ場合に限り、領海内の沖合で外国船の停泊を認めている。今回のケースでは、仮に小笠原諸島付近で中国漁船が停泊する場合は海上保安官が漁船への立ち入り検査を行い、乗組員が上陸しないよう24時間態勢で監視下に置くとしている。
というあたりはまだしも(でも、死人が出ちゃったらまずいんじゃないの?)、最後がどうもなあです。
>東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「乗組員の上陸に備え、島民への注意喚起を徹底するとともに、警視庁から派遣されている機動隊員らと連携して速やかに身柄を確保できる態勢を整えるべきだ」と指摘する。
点在する無人島にも上陸する可能性があるため、「大型巡視船を周辺に配備し、可能なら自衛隊の投入も検討すべきだ」と話している。
いや、たぶん自衛隊の投入はないでしょう(笑)。この人も、やはり安藤さんと同じようなメンタリティなんですかね。安藤氏のような無責任な発言でなく、この人は「海洋政策」を専攻する学者なんだから、それもどうかです。
なお今回の記事は、bogus-simotukareさんのブックマークよりネタをいただきました。感謝を申し上げます。