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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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2人の「羽生」についての、まったくどうでもいい話

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11月28日金曜日、ネットをちょっと見ていて、「おや」と思ったこと。下の画像です。

これがどうしたと思われるだけでしょうが、Yahoo!のトップページに、2人の「羽生」についての記事の見出しがのっています。

それで、ちょっと私が面白く感じたのが、2人の「羽生」の名前の記載についてのマスコミのあつかいです。

将棋の羽生善治がチェス元世界王者とチェス対決 結果は完敗
産経新聞 11月28日(金)14時23分配信

将棋の羽生善治棋聖(44)=名人・王位・王座=が28日、東京都内で来日中のチェスの元世界王者、ガルリ・カスパロフさん(51)とチェスで対戦。先手と後手を入れ替えて2局戦い、羽生棋聖が連敗した。羽生棋聖は「実力の差をまざまざと見せつけられました」と完敗の弁。

 カスパロフさんは1997年、IBMのコンピューター「ディープブルー」に歴史的敗北を喫したことで知られる。一方の羽生棋聖は、将棋の合間にしばしば趣味のチェスで海外に遠征するなどして腕を磨いており、現在は日本ランキング1位。

 この日の対局は持ち時間各25分、ハンデなしで行われた。エキシビションとはいえ、両者とも両ヒジを突いて両手をほほに当てて熟考する真剣さ。チェスの実力はレーティングで評価される。引退して10年になるカスパロフさんは2800超、羽生棋聖は2400、解説の元日本チャンピオン、塩見亮さんによると「400差は絶望的なんですけど、羽生さんがツボにはまれば一発はある」と番狂わせを期待していた。

 今回の対局は、プロ棋士とコンピューターソフトが戦う「将棋電王戦」の記念イベントとして実施された。

スケートの羽生の記事はこちら。

>羽生 練習は苦戦4回転転倒…3回転半はかろうじて成功
デイリースポーツ 11月28日(金)12時33分配信

「フィギュアGPシリーズ第6戦1日目・NHK杯」(28日、なみはやドーム)

 午前の公式練習が行われ、羽生結弦(19)=ANA=が無良崇人(23)=HIROTA=らとともに姿を見せた。


 実際にショートプログラムで用いる曲をかけてからは、最初の4回転トーループを転倒。続いてのトリプルアクセル(3回転半)をかろうじて成功させたものの、連続3回転のコンビネーションジャンプでは、最初のルッツが2回転になった。

 音楽をかけていない場面では4回転ジャンプを3回成功させたが、トリプルアクセルでは苦戦していた。

 27日の練習で、羽生は4回転ジャンプに10回以上トライし、成功したのは2回だけ。サルコーは1度も成功しなかった。

 公式会見では「万全ではないので少しレベルを落とした構成にする。演技後半の4回転ジャンプは入れないようにした」と説明していた。

で、私がちょっと面白いなと思ったのが、羽生結弦のほうは見出しは「羽生」と名字のみなのに対し、羽生善治のほうは「羽生善治」とフルネームで記載されていることです。

もちろんこんなことは当たり前な話であって、いまの日本なら、フィギュアスケートのほうの「羽生」のほうが知名度が高いのは当然であって、将棋の羽生を取り上げるのなら、フィギュアスケートのほうと語解さないためにも見出しその他ではフルネームを出すのは当然の措置でしょう。ただ私が面白く思ったのは、将棋の羽生は1980年代からそれなりの知名度であり、ひところ(七冠王になった頃など)は完全に時の人でした。それで、「佐藤」とかありきたりの名前でない「羽生」という名前は、けっこう世間にそれなりのインパクトはあったかと思います。しかも「はにゅう」と読まず「はぶ」と読むのもけっこう印象深いものがあったでしょう。

それでそのような珍名さんとまではいわずともそんなに聞かない名前の人物が、それよりもっと知名度が高い人間が出たというのが、実にどうでもいい話ですが、ほんの少しですが面白く感じたわけです。

もっともこの2人は、上にも書いたように名前の読み方は違います。ただ、漢字名前の読み方って、けっきょくのところお約束でしかないんですよね。戸籍にも住民票にも、漢字の名前にふりがなはふってありません。

たとえば安倍晋三が、「実は自分の名前は『あべしんぞう』とは読まない。『やすばいふみ』と読む」と言ったり、浅田真央が「まひろの名前は『あさだまお』でなく『せんでんまひろ』と読む」と言っても(すみませーん、私が大っ嫌いな人間を2人出させていただきました)、それは正しくはないかもしれませんが、間違ってはいないわけです。つまりは、最終的には日本の漢字の名前の呼び方に正しいも間違いもないのです(区市町村は、住民管理のためにふりがなをふっていますが、それは法律にのっとったものではありません。あくまで自主的にやっているものです)。

将棋の羽生の場合、生まれたのは埼玉県ですので、埼玉には「羽生市」という自治体があり、「はにゅう」と読みますから、その齟齬をかつて面白く感じました。私も、はじめて将棋の羽生の名前を知った時は、ごく自然に「はにゅう」と読んだ記憶があります。彼の場合、下の名前も「よしはる」と読みますが、「ぜんじ」「よしじ」などとも読めるので、知らなければ読めない名前です。名前はともかく、たぶん日本中の「羽生」姓の人たちの多くは「はにゅう」と読むと思いますが、こういうのは上に書いたようにお約束でしかないから難しいですよね。きわめてありふれた名字の「山崎」というのも「やまざき」とも「やまさき」とも読むし(九州では、「崎」は「ざき」でなく「さき」と読む例が多いようです)、「白石」というのも「しらいし」と読む例がおおいでしょうが、「しろいし」とも読めます。こんな例は、枚挙にいとまがありません。

ところで上の写真ですが、将棋の羽生ってだいぶ白髪になりましたね。1970年生まれですから、まだそんなに年をとったわけでもないのですが。それで4タイトルを保持しているってのはマジですごい(驚)。中原誠も44歳くらいの時には羽生がいたわけで、その時はなかなかタイトルを取れなくなっていました(中原は1947年生まれ。彼が最後にタイトルから陥落したのは、米長邦雄に敗れた1993年の名人戦)。つまりは、いまの羽生に、かつての羽生のようなすごい棋士がいないということでしょうか。渡辺明とかものすごく強い棋士はいるし、羽生は彼を苦手にしていますが、しかしタイトルという点では羽生はものすごい男です。つまりは、純粋に手を読む能力だけでなく、ゲームの強さみたいなものに稀有の才能があるということなのかもしれません。

最後に。なにもNHK杯なんて、スケートの羽生は、そんなに無理して出なくてよかったんじゃないんですかね。義理の問題かな? 将棋にも(囲碁にも)「NHK杯」というのはありますから、混同する人もいないでしょうが、一応明記しておきます。


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