昨日(8月10日)読んで、「え」と思った記事を。
>「魔女」疑い女性5人をリンチ殺害、自称医者の女が扇動か インド
AFP=時事 8月10日(月)15時1分配信
【AFP=時事】インド東部ジャルカンド(Jharkhand)州の村で、魔女の疑いをかけられた女性5人が村人の集団リンチで殺害される事件が起きた。警察は27人の身柄を拘束するとともに、5人の殺害を扇動したとみられる女1人の行方を追っている。
事件があったのは州都ランチ(Ranchi)から30キロ離れた村。AFPの電話取材に応じた警察当局者によると、この村では最近子どもたちが相次いで死亡しており、村で医者を自称していた女が被害者の女性5人を名指しして、黒魔術を使ったせいだと非難したのが集団リンチの発端だったという。
この女は事件後、姿をくらませており、警察では殺人の容疑で行方を追っているという。
女性5人は7日深夜、魔術によって村に病や不幸をもたらしたと怒る村人らに髪をつかまれるなどして家から引きずり出され、棒や石で殴られたり刃物で切り付けられたりして殺害された。女性たちの家族は、「魔女だ、魔女だ」と叫ぶ村人たちを前になすすべもなかったという。
被害者の1人の娘は日刊紙ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)に、「母はかつらを愛用していたが、その髪が子どもを犠牲にした黒魔術によるものだと村人は信じたようだ」と話している。【翻訳編集】 AFPBB News
こちらも。
>インドで“魔女狩り”5人が犠牲に
スポーツ報知 8月10日(月)7時4分配信
インド東部ジャルカンド州の村で、女性5人が「魔女」の疑いをかけられ、村民に集団リンチを受けて殺害された。警察当局は村民約50人を逮捕した。インドでは、少数民族の土着宗教や民間信仰が引き起こす「魔女狩り」事件が絶えず、当局は対応に苦慮している。
地元警察によると、殺害された女性5人は30~50代。村民らは7日夜、女性らが呪いをかけ、農作物の不作という災いを招いたとして、家からひきずり出した上、刃物や鉄の棒などで殺害し、遺体を遺棄した。
村民らは、反省の念を示していないといい、当局者は「教育を受けた若者ですら犯行に加わる」と嘆いた。暴動を防ぐため、周辺警備を強化している。
ジャルカンド州では2001年以降、女性約400人が魔女の疑いをかけられて殺害された。犯罪統計によると、インドでは、00年から12年まで2097人が同様のケースで殺害されている。
最終更新:8月10日(月)7時4分
下の方の記事でははっきり、
>インドでは、少数民族の土着宗教や民間信仰が引き起こす「魔女狩り」事件が絶えず、当局は対応に苦慮している。
>村民らは、反省の念を示していないといい、当局者は「教育を受けた若者ですら犯行に加わる」と嘆いた。
と書いてあります。インドという国は、かなり前近代的な部分を残している社会なんだなと改めて感じました。
日本では、さすがに「魔女」とかで集団リンチによる殺人が起きたという話は聞きませんが、たとえばこのような事件もありました。
この事件は、Wikipediaの記述を借りれば、
>1994年の暮れから1995年の6月まで、祈祷師の女A宅にて「キツネが憑いている」などとお告げを受けた信者7人を、Aの娘B(当時23歳)と信者の男C(当時45歳)と同じく信者の男D(当時21歳)が中心となって『悪魔払い』や『御用』と称して殴る蹴るなどの暴行を加え、4名を殺害、2名を傷害致死、1名に重傷を負わせた。
というものです。Aは、死刑が確定・執行されています。
また、このような事件もありました。
この事件もWikipediaによると
>真面目なZは不良の従兄とは幼い頃から仲良しで、Zの従兄に対する信頼は絶大なものがあった。従兄が大山祇命神示教会に入信した際も、「兄貴が入信するなら」と即座にZも入信するほどだった。その後Zの弟が交通事故で入院、その入院先でZは当時、准看護婦として働いていた女と知り合って結婚。従兄は埼玉県に転居し、Z夫婦はZの実家で仲睦まじく暮らしていた。既にこの頃には3人とも神示教会から脱会していた。
やがて藤沢市の事件現場となるアパートに部屋を借りた従兄が、Z夫婦のところに現れる。「自分に神が降りた。この世は悪魔だらけ。悪魔を追い払う救世の曲を作れるのはおまえしかいない」と従兄にこう言われたZは本気で「救世の曲」の作曲に取り掛かる(3人がかつて入信した新興宗教にはこうした教義は一切ない)。Zのバンド仲間は、従兄が良からぬ人物であるとすぐに察知して、何とかZ夫婦を従兄から引き離そうと努力するが、2人はまったく聞き入れなかった。Z夫婦と従兄は、藤沢のアパートに泊まり込んで、「救世の曲」の製作に熱中する。
藤沢のアパートで「救世の曲」の製作が開始されて1週間ほど経過して、Zが「魔に憑かれてしまった」と言い出した。
従兄はZとにらめっこのようなことをして自己流の悪魔払いを行うが、効果が得られず、とうとうZを絞殺。その後、Zの妻と二人で「救世の曲」を聴きながら、Zの遺体を解体していく。
というものです。どちらもインドの事件とはまた性質も違いますが、日本の場合、ごく限られたサークルの中でなら起きうるかもですが、さすがに一般の村人までがこのような行為をするということはないのではないかと考えます。
で、以前のニュースですとこんなのも伝えられています。
>「黒魔術」使った疑いの女性、親族が拷問・殺害 インド
2014年10月28日 13:34 発信地:ライプール/インド
【10月28日 AFP】インド中部チャッティスガル(Chhattisgarh)州ベメタラ(Bemetara)県で26日、夫を亡くした55歳の女性が、黒魔術を操る魔女だとの疑いをかけられ、夫側の親族に拷問された上、撲殺される事件があった。地元警察が27日、明らかにした。
警察によると、親族らは、「黒魔術」を使っておいを病気にしたとして女性を襲撃。目や耳、性器の中に唐辛子の粉を入れ、激しい暴行を加え、女性を死亡させた。女性は、義理の兄弟とその妻を含む夫の親族らから、おいの病気を引き起こした黒魔術を解くよう要求されたという。
無実を訴えたところ、女性は28歳の息子の目の前で親族らによって棒で殴打された他、殴る蹴るの暴行を受けた。女性は息子によって病院に運ばれたが、死亡が確認された。
インドPTI(Press Trust of India)通信によると、事件に関連し、義理の兄弟や女性5人を含む12人が逮捕された。
また警察によると、同州では26日、これとは別に、ヘビの毒と薬草を混ぜた薬を「呪術医」から与えられ、少なくとも3人が死亡する事件が起きている。
インドの貧困地域では、魔術や超常現象が現在も広く信じられており、主に女性に対する犯罪の原因となっている。(c)AFP
女性ばかりではありません。男性もひどい目にあっています。
2015年06月02日 21:37 発信地:ニューデリー/インド
【6月2日 AFP】インドの警察当局は2日、同国東部ジャルカンド(Jharkhand)州で55歳の男性が頭部を切断され殺害された事件について、魔術を信仰する集団によって豊作祈願のいけにえにされた可能性もあるとみて、調べを進めていることを明らかにした。
殺害されたのは無職のテパ・カリア(Thepa Kharia)さん。先月31日、同州グムラ(Gumla)地区の人里離れた農村にある自宅で、頭部を切断された遺体が発見された。
カリアさんの兄弟は警察に対し、魔術を信仰する集団が家に押し入り、カリアさんの首を斬り落としたと話している。目的は、人間の頭部を地中に埋めて豊作祈願や雨乞いをする儀式だったという。捜査当局がAFPに語ったところによると、カリアさんの頭部は今も見つかっていない。
カリアさんは一人暮らしだったことから、地元で「Orkas」と呼ばれるオカルト集団の格好の標的になった可能性もある。捜査当局によると、同集団のメンバーはまだ特定されていない。
地元メディアによると、村人たちは毎年雨季が始まる頃に出現するこの集団を恐れ、警察への情報提供を控えている。
人々の宗教心が厚く、迷信も根強く残るインドだが、人間が儀式のいけにえにされる事件は通常、辺境の貧困地域で起きる。こうした地域では、いわゆる黒魔術の使い手に畏敬の念を抱く人々もいる。こうした事件の犠牲者たちはしばしば、神を喜ばせたりなだめたりするため「呪医」によって殺される。(c)AFP
うーん、マジでインドって怖い国ですね。さすがに一般の外国人旅行者や外国人ビジネスマンのたぐいがこのような事件に巻き込まれることは少ないでしょうが(旅行者は、別のこと、性犯罪とかの方が要注意でしょう)、こういうのって単なる治安の悪さでは収まらない恐怖を感じます。私はインドに行ったことはありません。しかし海外旅行を趣味としている以上行かないわけにもいかない。いずれ行きますが、やはりインドの特に田舎にはそのような危険なところがあるということは認識しておいた方がよさそうですね。インドへの認識を新たにしました。