気が付くと、「社会時評」というカテゴリーの記事が、この記事の前の記事
塚本幼稚園の園児数は、今年の5月時点で定員の半分を少し超えている(2016年版)で、400となりました。最初は、「Weblog」などのカテゴリーにした後で「社会時評」にしている例もあるのですが、ほかにも「北朝鮮・拉致問題」でも硬派系の記事を書いています。やはりこのブログは、社会問題系の記事を書かないといま一つ締まらないので、これからも折に触れて記事を書いていきます。
それで本日(7月22日)、私が「おいおい」と思った記事を。
>長女殺害、札幌地裁が情状判決 心の病へ父の苦悩酌む
北海道新聞 7月22日(金)11時0分配信
長女殺害、札幌地裁が情状判決 心の病へ父の苦悩酌む
札幌地方裁判所
公的機関に相談 解決策示されず
札幌市中央区で今年3月、重度の精神疾患がある長女(43)を絞殺したとして、殺人の罪に問われた父親(81)の裁判員裁判。15日に札幌地裁で開かれた判決公判で言い渡されたのは、法定刑の下限である懲役5年を下回る懲役4年(求刑懲役7年)だった。公判では、極度の潔癖症などの「強迫性障害」に長年苦しんできた長女と、対処に苦悩し、追い詰められていった両親の姿が浮き彫りになった。
地裁判決や検察側、弁護側双方の冒頭陳述などによると、長女は父親と母親(82)との3人暮らし。30年前から心の病に苦しみ、6年ほど前に病状が悪化し、「ウイルス感染」を極端に恐れるようになった。部屋にこもって個別包装された菓子しか食べず、事件当時の体重は約25キロだった。
行動の制限や束縛
両親の行動も長女の厳しい制限を受けた。食事は袋詰めの切り餅や缶詰などに限られ、母親は外出を禁じられた。父親は長女と母親が寝起きする部屋に入ることを許されず、両親は洗面台の棚にメモを隠して連絡を取り合った。
症状の悪化が進むにつれ、長女と両親との間で口論やもみ合いになることが増えた。長女が「私はカッとなったら何をするか分からない。刑務所に入るようなことをさせないで」と言ったこともあるという。
両親は長女に入院を勧めたが、「誰が寝たか分からないベッドに寝られない」と拒否された。長女の束縛に耐えかねた母親が何度か警察に駆け込んだが、家族間で話し合うよう促された。区役所や病院にも相談したが、「本人に治療の意思がなければ難しい」などと言われ、根本的な解決策は示されなかったという。
「もう殺すしか…」
事件前日の朝、長女に外出を止められ、父親は心臓病を患う母親を病院に連れて行くことができなかった。「もう殺すしかない」。3月5日未明、父親は長女をマンション駐車場に止めた車に押し込んだ。「助けて、お母さん」と叫ぶ長女の声が響く。「ごめんな、許してくれ。こうするしかないんだ」。父親はそう言いながら約30分間、首を絞め続けた。
動かなくなった長女に毛布を掛けた父親は、妻に「おまえは元気で暮らせ」と言い残し、警察に自首した。初公判で証人として出廷した母親は「今は食べ物も外出も自由になったが、この生活は娘と夫の犠牲の上に成り立っていると思うと、複雑です」と話した。
「殺す以外に方法はなかったのか」。被告人質問でそう尋ねられた父親は「強制的に入院させても良くなるとは思えなかった。何度も自問自答したが、殺すしかないという結論に行き着いた」と述べた。傍聴した親戚の男性(76)は「責任感の強い人だから、自分で何とかしなければと思い詰めたのだろう。もっと周囲に相談してくれれば…」と悔やんだ。
過酷な状況を裁判所は鑑みた。刑法は、酌量すべき事情がある場合などに法定刑より軽い刑を言い渡すことができると定める。判決で中桐圭一裁判長は「強い殺意に基づく犯行」と指摘した一方、「30年以上長女の面倒を見続け、殺害するしかないとまで思い詰めた経緯には理解できる面がある」と情状酌量の理由を述べた。公判終了後、弁護人は「今回の裁判が、同じように苦しむ人の公的支援を考えるきっかけになれば」と話した。
病気の線引き曖昧
厚生労働省によると、強迫性障害の患者数は国内に推定約100万人。大通公園メンタルクリニック(札幌)の山田秀世理事長(精神科医)は「どこからが病気なのか線引きが曖昧で、家族が対処に苦慮する場合も多い。解決するためには専門的治療を受ける必要がある」と話す。
北海道精神障害者家族連合会(札幌)の竹下信昭事務局長は「対応できる行政窓口や医療機関を紹介するので、まずは家族会に相談してほしい」と呼び掛ける。連合会の連絡先は(電)011・756・0822。(報道センター 大城道雄)
北海道新聞
なんともひどい事件ですね。正直
>殺す以外に方法はなかったのか
と私も思うし、実際方法なんかいくらでもあるのですが、この父親(と母親)は、けっきょく違う方法を取るにいたらなかったわけです。それで身内の方の次の言葉も印象的です。
>責任感の強い人だから、自分で何とかしなければと思い詰めたのだろう。もっと周囲に相談してくれれば…
これも本質的には、この間私が書いた記事と似たようなところがあるのかもですね。
これでは大山のぶ代の人権が保障されない大山のぶ代のケースは、けっきょく
ほかはともかく、その点は良かったと思うでご紹介したように、大山の夫である砂川啓介が、自分の病気などもあり大山介護しきれなくなり老人ホームに入居させることになりましたが、あれだって本当に最悪の事態にならないという保証はないわけです。
そういってはみもふたもないですが、だいたいこういったケースは、介護あるいは看護その他面倒をみる側が、「やってられん」となったり、病気や年齢の問題などで面倒を見きれなくなり、殺すとか自殺とか心中とかをする前に一応の結末を迎えることが多いと思いますが、殺したりとかする事件は、そこを理由はともかく突っ切っちゃった場合が多いのかもですね。いや、私もそんなに詳しいわけではないですけど。過日判決があった埼玉の事件も、たぶん同じような側面があったんじゃないんですかね。
>2016年6月23日(木)
<利根川心中>三女に懲役4年実刑 地裁「両親を思いやった犯行」
親子心中事件で、3人が車で入水したとみられる利根川河川敷。川に向かうわだちがくっきり残っていた
深谷市を流れる利根川で昨年11月、同市稲荷町北の藤田慶秀さん=当時(74)=と妻ヨキさん=同(81)=が水死した親子心中事件で、殺人と自殺ほう助の罪に問われた、同居の三女波方敦子被告(47)の裁判員裁判の判決公判が23日、さいたま地裁で開かれた。松原里美裁判長は「主体的な犯行で生命を軽視した」としながら「両親を強く思いやった犯行」として、酌量減軽を適用し、殺人罪の法定刑の下限を下回る懲役4年(求刑・懲役8年)の実刑を言い渡した。
判決で松原裁判長は、身体が不自由な両親を入水させるなどした犯行態様を「死の結果を生じさせる危険性が高く、2人の生命が失われた結果は重大」とした。
これまでの公判で、検察側は「無理心中以外に取り得る手段があった」とし、2人の生命が失われた結果の大きさを強調。弁護側は、慶秀さんが波方被告に無理心中を持ち掛けたことが事件の発端だったと指摘し、「支え合って生活してきた3人のバランスが崩れた」などと執行猶予付きの判決を求めていた。
判決では、母親の介護や父親の体調が悪化した経緯に触れ、「長年助け合って生きてきた家族として、両親を被告人なりに強く思いやって犯行を決意した」と指摘。法律上、犯罪の情状を酌量し刑を軽くすることができる酌量減軽を適用し、殺人罪の法定刑(懲役5年以上)を下回る懲役4年と判断した理由を述べた。
一方、波方被告が事件前、深谷市に生活保護の申請をしていた点を重視。「社会的な援助を受けて生きることもできたのに、自ら心中の実行時期を早め、主体的かつ積極的に犯行を行い、生命を軽視しているといわざるを得ない」と述べた。
判決などによると、波方被告は慶秀さんから「死にたいんだけど、一緒に死んでくれるか。お母ちゃんだけ残してもかわいそうだから3人で一緒に死のう」と頼まれ、昨年11月21日午後6時ごろ、慶秀さんとヨキさんを軽乗用車に乗せて深谷市内の利根川に入水。車外に連れ出してヨキさんを殺害し、慶秀さんの自殺をほう助した。
これもいかなる点でも親なんかを殺す意味はないと思いますが、この女性も頭の中が飽和状態にあったのでしょう。なお生活保護に詳しいライターのみわよしこが、次のような指摘をしていました。妥当かどうかは私には判断が難しいのですが、興味のある方は参考までにお読みになってください。
なお私も、人生ろくでもないことが多々ありましたが、しかしだいたいにおいて「やってられん」と対応したので、今日でも何とか生きています。私を見習えとも言いませんが、たぶん自殺したりするよりはなんぼかましだろうと思います。