すみません、今日はアマンダ・ラングレのインタビュー記事の採録の最終回の予定だったのですが、至急更新したいネタがあったので、その関係の記事にします。
将棋界でちょっと問題が生じました。記事を。
>スマホの将棋ソフト使い不正か 三浦九段「ぬれぎぬ」
朝日新聞デジタル 10月12日(水)19時49分配信
スマホの将棋ソフト使い不正か 三浦九段「ぬれぎぬ」
日本将棋連盟は12日、15日に開幕する第29期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)で、挑戦者の三浦弘行九段(42)が出場しないことになったと発表した。対局中、スマートフォンなどに搭載の将棋ソフトを使って不正をした疑いもあるとして、説明を求めたという。連盟は、期日までに休場届が出されなかったため、12月31日まで公式戦の出場停止処分とした。
三浦九段は朝日新聞の取材に「不正はしていません。ぬれぎぬです」と話し、今後の対応は弁護士と相談中という。
竜王戦は将棋の七大タイトル戦の一つ。七番勝負には挑戦者決定戦で敗れた丸山忠久九段(46)が出場し、渡辺明竜王(32)と対戦する。読売新聞社も了承しているという。同社から正式なコメントはなかった。
連盟によると、対局中は持ち時間の範囲で対局室から出られるが、三浦九段は今夏以降、離席が目立っていたという。連盟側が11日の常務会で聞き取りをしたところ、対局中のスマホなどの使用を否定。「別室で休んでいただけ。疑念を持たれたままでは対局できない。休場したい」と話したという。期日の翌12日までに休場届が提出されず、連盟は処分を決めた。
もうひとつ。こちらは抜粋ということで。
>将棋、公式戦でスマホ持ち込み&外出禁止に チェスや囲碁の場合は?
BuzzFeed Japan 10月6日(木)17時53分配信
将棋プロ棋士の公式戦で、スマートフォンの対局室への持ち込みや利用が12月から禁止になる。
コンピュータソフトが急速に強くなる中、スマホを使った不正や“カンニング”を防止するための施策だ。
(中略)
強くなる将棋ソフトとどう付き合うか
日本将棋連盟によると、12月に新たに追加する規則は(1)スマートフォンなどの電子機器を事前にロッカーに預けること、(2)対局中の外出の禁止、の2つ。
これまでは対局室の持ち込みは容認されており「着信音や振動が妨げにならないよう電源を切ること」という周知や、口頭での注意にとどまっていた。
数年前にも一度、電子機器の持ち込みを制限を検討する委員会を連盟内で立ち上げたが、当時は結論は出なかった。
今回、明確に規定を設けることになったのは、将棋ソフトの進化が大きいという。
将棋ソフトは近年急速に強くなっており、年に1度行われている人間とコンピュータの対局「電王戦」でもプロ棋士に勝利する率は上がっている。「棋士の間でも研究や検討に役立てている人は多く、実力は周知の事実」という。
手元のスマホで簡単に分析、検討できることから、トイレ休憩や昼休みなど席を立ったタイミングで、「次の一手」を“カンニング”する可能性を懸念したものだ。
「これまでは不文律として個人のモラルにまかせていたが、時代の流れ。棋士からの要望もあった」
(後略)
たぶんこの記事を読んでも、将棋に興味のない人からすればなんとも反応できないでしょうが、私も昔はともかく最近はそんなに将棋に興味のある人間でもないのですが、この記事は私にとって「おいおい」でした。というのは、この記事に登場する三浦九段という人物と、私は多少ですが顔見知りなのです。
例によって私の個人情報を保護するために、詳細については明らかにできませんが、私が話をした限りでは、彼は私のような一般人にも礼儀正しい非常に好感のもてる方でした。
その写真をここで発表してしまうとちょっと差しさわりがあるのでお見せできませんが、三浦さんからはわざわざ私の名前が入った色紙までいただきました。それは自宅の応接間に飾ってあります。これは我が家の家宝だと思いましたし今も思っています。彼には、これだけでも大変感謝しています。そういう意味でも、今回の真相以前の問題として、非常に残念な事態になってしまいました。
もちろん三浦氏は、不正はしていないと主張していますので、真相は明らかでありませんが、新聞社との契約ばかりでなく信義もあるし(基本的にプロの囲碁や将棋とかは、新聞社あるいはテレビ局が金を出して運営されます)、将棋連盟だってちょっとやそっとの覚悟でこのような措置は取らないでしょうから、そのあたり「どうもなあ」です。私としては、もちろん三浦氏の言い分が正しいことを望みたいのですが。
ただ今回の件は、たぶんですがこのような事態が起きることはかなりの可能性で予想できた部分もあったかもですね。
つまりコンピュータの発達で、人間より人工知能のほうが将棋のようなゲームでも強くなってきた部分があります。チェスで起きたようなことが、難攻不落とも思われた日本将棋や囲碁でも起きてきているわけです。そして終盤というのは、まさに選択肢が限られていますから、より人工知能の効用が高くなります。そしてそれが、スマートフォンのようなまさに手のひらで扱える機器に搭載される時代になると、プロの真剣勝負でもそれの活用はある意味不可避でしょうね。だから将棋連盟も、スマートフォンの使用を禁止するという事態になったわけです。
いずれにせよ、今回の件は、その真相はともかくとして時代の過渡期であることが大きな発生の要因であるように私には思えました。たぶんもう少し時代が進めば、対局中にスマートフォンをいじるなんてことは、論外の極致だということになるのでしょう、きっと。
そう考えると、これから将棋を覚える少年少女は、スマートフォンで調べられる手が、人間が考える手を上回る最善手であるということが当然の時代で将棋を学ぶということになるのでしょう。そうとなると、将棋というゲームに対する思いや対応も、もしかしたら、昔とは違ってくるのかもですね。そのあたりは当て推量でしかありませんが、そうなるんだろうなという気がします。いいとか悪いとかはともかく。