午前十時の映画祭では、「砂の器」を繰り返し上映しています。今シーズンも、12月3日から30日まで上映していました。「めまい」とセット上映なのは、「宿命」というモチーフなんですかね?
この映画は、原作者の松本清張も非常に気に入っている出来で、とくに親子の放浪シーンは、原作を超えていると絶賛したくらいです。
実は、原作にはあのような放浪シーンがあるわけではなく、これは脚本の橋本忍と山田洋次のオリジナルなわけですが、撮影の川又昂の絶品のカメラといい、日本中(本来なら日本海側の話ですが、茨城県や北海道などでもロケーションをしたとのこと)をまわって撮影しただけの甲斐のあったまさに日本映画史上に残るすごいシーンでしょう。
ところでこのシーンは、放浪する親子は、父親(ハンセン病を患ったという設定)が加藤嘉、息子が成人してからは加藤剛が演じていたわけですが、その少年時代を、春田和秀という子役が演じています。
実はセリフは一つもないのですが、その厳しい表情は非常に印象に残りました。
で、私は知らなかったのですが、彼は1977年に公開された「はだしのゲン 涙の爆発」にも出演しているとのこと。Wikipediaにも
>『はだしのゲン』が初めて実写映像化された作品である。製作・脚本・監督は3作品とも現代ぷろだくしょんの代表だった山田典吾。原作に添った形で脚本が書かれているが、主要な登場人物を演じる俳優やスタッフが各作品ごとに大幅に入れ替わっており、シリーズ物としては共通性を欠いている。シリアスで真面目なシーンに突然意味不明なギャグやコメディが挿入されたり(ゲンと隆太が、政二の絵のモデルになった際、『おそ松くん』のギャグである『シェー!』のポーズを取る。3作目では、オープニングをミュージカル風にするなど)、監督の遊び心が感じられる作品になっている。またタモリや赤塚不二夫・公開当時人気があったクシャおじさんなど多くの著名人・話題を集めた人物がカメオ出演していることなどでも評判になった。
と紹介されていてなんだかよくわからない部分もあるのですが、3作作られた作品の2作目に彼は、ゲン役で出演しています。私は勉強不足で見ていません。
こちらの記事では、
>春田さん自身も数多くの作品に出演して活躍した有名な子役の方で「がんばれ!レッドビッキーズ」や「はだしのゲン」のゲン役、「砂の器」「5年3組魔法組」等に出演していて、今でも名子役として当時を知る人の記憶に残っている方です。
とあるので、それなりに活躍された方のようですね。前に記事にした柿崎澄子とだいたい同じ世代かな。
で、上の記事の筆者は、
>春田さん自身がご自身の過去を振り返るにあたって、避けて通る事は出来ない子役時代と向き合う心の整理がついてきたことをコメントから知り、そういえば斉藤浩子さんも自身が封印していた子役時代の事をブログに書いていこうとブログを書き始めた理由を思い出して、なんというか、子役を経験し、今では違う職業についている方が、ある日、過去の自分を他人として愛しく見つめる時が来るのかな…と思ったりしました。それらを見て、なんか、過去の連続が今に繋がり、今があるのは、やはり、過去の自分が頑張って生きてきたからなのだというのを感じ取りました。
と書いておられます。たぶんこのあいだ取り上げたビョルン・アンドレセンと共通するものがありそうです。
それで、彼について検索していましたら、Facebookで近影を確認できました。登録者のみ閲覧できる部分でないところに表示してあるのなら、肖像権に問題はないと思いますので、ちょっとご紹介。
現在は、車関係の会社を経営されているようですね。そんなに子役時代と変わっていないように感じます。
子役というのは非常に特異な立場にあるので、いろいろ「どうもなあ」ということも多いのですが、春田氏は現在それなりに充実した人生を送られているようですね。氏のますますのご活躍を祈念してこの記事を終えます。