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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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ギャンブルというのは、あらためてやばいものだと思う

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過日報道された記事を。

無免許で消防車運転 23歳消防士懲戒免職、職場積立金横領も
2017年04月15日 07時44分    
 福島市は14日、職場の旅行会の積立金55万6千円を横領したほか、大型免許を持たずに大型消防車を運転したとして、市消防本部の男性消防士(23)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。

 同消防本部によると、男性は、職場の旅行会の幹事を任され、約30人分の積立金約90万円を自宅で現金で保管。昨年4月ごろから競馬などギャンブルにのめり込んで消費者金融から金を借り始め、同7月には借金返済のため積立金を使い込むようになった。今年3月、上司から積立金の精算を指示されて横領が発覚。男性は全額返済した。

 また男性は3月15日午前、大型免許を持っていないのに大型消防車の走行訓練に臨み、公道を約31キロ走行した。男性は昨年6月に自動車教習所に通い始めたが翌7月ごろには通うのをやめていた。

 職場では順調に通い、試験に合格したと虚偽の報告をし、訓練後に免許の提示を求められると無免許を打ち明けた。

 男性は2012(平成24)年に採用され、火災現場で原因を調査する業務などに携わっていた。無免許運転については既に書類送検されており、消防本部は横領について刑事告発を含めて検討する。

 消防本部は男性のほか、訓練の責任者を務めていた上司を減給10分の1(1カ月)、その他の男性の上司6人を訓告や、文書、口頭で厳重注意した。

もうひとつ(リンク切れ)。

>懲戒免職

福島市、消防士を 無免許で消防車運転 /福島

毎日新聞2017年4月15日 地方版

 大型消防車を無免許で運転したり、職場の旅行積立金を横領したりしたとして、福島市消防本部は14日付で、男性消防士(23)を懲戒免職処分にした。免許の取得を確認しなかったとして、上司も減給10分の1(1カ月)の懲戒処分になった。

 市消防によると、男性消防士は先月15日、大型自動車免許を取得していないにもかかわらず、走行訓練のために勤務先の消防署から大型消防車を運転して、公道を約31キロにわたって走った。助手席には指導役の消防士が乗っていた。訓練後、男性消防士が上司に対し無免許を打ち明けたため福島署へ通報した。

 男性消防士は先月初旬、上司に大型免許試験に合格したと報告していたものの、実際は昨年6月から約1カ月教習所に通っただけで試験は受けていなかった。市消防の聞き取り調査に対し「教習所に通うお金がなくなった」と話している。また、先月末には男性消防士がギャンブルでつくった借金を返済するため、職場の旅行積立金約55万円を横領していたことも発覚。既に全額を返したものの、市消防は業務上横領容疑での告発を検討している。【曽根田和久】

もちろんこの人物は最低ですよ。このような最悪の事態になる前にいくらだって打てる手はあっただろうし、少なくとも懲戒免職よりはましな形になるためにできることはいくらでもあったでしょう。それらをしないで(あるいは不十分で)こうなってしまったのだから、同情には値しません。

もっとも個人的な意見を言うと、走行訓練後に免許証の提示を求めたというのが事実なら、訓練の前に求めたほうがいいのではないかという気ははします。

ただ、これもギャンブル依存症の人間がしでかした典型的な転落かなという気がします。この件は、公務中の公道での大型免許なしの無免許運転のほかに、職場の積み立て費の横領(これも、わりとよくあるパターンです)というものでした。最初私は、この2つの件に関連があるとは思わなかったのですが、ギャンブル依存で金が足りなくなり教習所にいけなくなり、またギャンブル資金にするために積み立て金を横領したというもので、まったく同じものだということです。こんなことで、この消防士は職と名誉を失ったわけです。それで、公務員やある程度の給料をもらっている人間がこの種の非常識な横領や不祥事をする背景には、やはりギャンブル関係がものすごく多いですね。女(男)絡みもありますが、ギャンブルのほうが多い。人間は、いざとなれば簡単にギャンブル依存になってしまい、いろいろな点(職とか信用とか人間関係とか)で人間おしまいになってしまうわけです。詳細についてはこれらの本をお読みください。

ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)

やめられない ギャンブル地獄からの生還

ギャンブル依存国家・日本 パチンコからはじまる精神疾患 (光文社新書)

上の記事によるとこの消防士がはまったのは競馬とのことですが、聞いた話によるとパチンコというのはギャンブル依存に最高レベルになりやすいギャンブルだそうですね。時々の大当たりというのが、ギャンブル依存に非常になりやすくし、またパチンコ屋は日本津々浦々にありますし、パチンコ屋によってはATMや託児施設まであります。マカオに行くとやたら質屋(「押」といいます)が多く、だいたい質屋の目的も何もわかりますが、ギャンブル場にATMや託児施設なんて悪い冗談のような気がしないでもありません。しかしあれば、ギャンブル依存の人にはきわめて都合がいいものでしょう。たしかに子どもが駐車場の車の中に入りっぱなしになって、それで死んでしまうよりはましでしょうが、これではなかなかギャンブルからも足を洗えません。

昨年成立したカジノ設立を日本でも認める法律ですが、正直日本でカジノつきのリゾートを経営しても黒字になるのはかなり大変だし(東アジアだけに限っても、マカオやソウルなどと対抗できますかね?)、なったとしてもカジノで生じる社会的なさまざまな負のコストを大きく上回るようなものになるとはとても私には思えませんね。単年ならともかく、あるいていど長期に儲けを出せるかどうかきわめて怪しくありませんかね。マカオはまだしも、ラスヴェガスのカジノですら、そんなに儲かっているわけではありません。こちらの記事こちらを参照してください。マカオだって、中華人民共和国の綱紀粛正などもあって、前ほどのめちゃくちゃな儲けが出ているわけでもないというもあります。

日本の公営ギャンブルだってその多くは赤字だしねえ。カジノつきのリゾートだって、投入した資本を回収して儲けを出すにいたるのか。カジノってのは、大金持ちが大金を賭けてくれてこそ利潤がでるわけで、一般客がせこく賭けてせこく負けたって、それだけでは人件費その他莫大なコストに足りません。なかなか難しいんじゃないのと私は思います。私は、理念とかそういう意味でもカジノ経営には反対ですが、経営面という実質的な面でも、カジノつきリゾートで日本でもうけを出すのは難しいのではないかと考えます。

そう考えると、他はともかく、元都知事の美濃部亮吉氏が都の公営ギャンブルを廃止したのは先見の明がありましたね。彼は他では赤字を作りましたが、この廃止は今日まで復活していないし、今でもやっていたら確実に大赤字でしたでしょうから、これはそれなりに評価すべきだと思います。正直これは先見の明が彼にあったというより、美濃部氏がギャンブルによって地方財政に寄与するということを好まなかったということなのでしょうが、結果論としては大変良い政策だったと思います。

そうなると、カジノのおかげでどれくらい日本人にギャンブル依存者が増えるかわかりませんが、そういった人たちが社会に迷惑をかけるコストも考えないといけませんね。公営ギャンブルが黒字だった時代ですら、そういった社会におけるマイナスを換算すればどれくらいプラスだったのか疑問ですが、カジノは不明ですが、公営ギャンブルが軒並み赤字という末期的な状況であるのにギャンブルを国策で推し進めようというのは、ほとんど煙草の税金を取るために医療費増大を無視して日本専売公社(当時)を支援していた大蔵省(当時)の姿みたいなものです。もっともあれは、再就職先を確保するためだったのでしょう。

私は1回だけ競馬をしたことがあるし、マカオやソウルのカジノに行ってみたこともあります。人間が賭博と無縁であるとは思いません。しかし日本人の異常な賭博好きを考えれば、日本では賭博の危険性を強調しすぎてもしすぎることは無いと書いてこの記事を終えます。


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