櫻井よしこの書くことをいちいち批判するのもどうも大人気ない気もするのであんまり気が進まないのですが、それにしてもこれはひどいという代物ですので、批判します。
>日印を結びつける自然な絆は歴史観の共有にある。日本の大東亜戦争をインドは前向きに正当に評価してきた。中国の対日歴史観とは天地の差である。
「大東亜戦争」なんて言葉を使用している時点で常軌を逸しているというかまともじゃありませんが、
>日本の大東亜戦争をインドは前向きに正当に評価してきた。
ってむちゃくちゃ言うな。日本政府が公式にインド政府にそんな主張したら、先方はマジで激怒するでしょう(失笑)。もちろん日本政府だってこんな馬鹿な話をするほど頭は悪くないしそんなことはしない程度の常識もそなわっていますが。
ていうかそもそも、「日本の大東亜戦争をインドは前向きに正当に評価してきた」って、そんなこといつどこのインド政府高官が語ったのよ。そんな発言があったら日本の右翼は大喜びでしょう(笑)。もしインド政府高官が発言したとしても、それって公式の立場と場所でできる発言なの? そのような発言した人ってまさか、櫻井たちのお友だちのチェラニー氏とかじゃないですよねえ。それは彼みたいな人だったら、そのくらいの話は(リップサービスで)するでしょう。
そもそもインドと日本は第二次世界大戦の平和条約を締結しているわけで、インド政府が
>日本の大東亜戦争をインドは前向きに正当に評価してきた。
なんてことがありえるわけがない。あくまで日本はインドの敵です。だから、櫻井とかが大好きな(靖国神社にも碑があります。こちらの記事参照)パールだって日本人戦犯を裁く極東国際軍事裁判に判事として日本に来たわけです。
櫻井が書いている話はたぶんwikipediaの「日本国との平和条約」の「非参加国」のくだりの
>インド、ビルマ、ユーゴスラビアは招請に応じず、講話会議に参加しなかった。インドが参加しなかったのは、ネール首相が日本に名誉と自由を他の国々と同様に与えるべきであると考え、講和会議への不参加を決めたからとされる。ネール首相が挙げた不参加の理由は、条約に外国軍の駐留事項を除外すること、日本が千島列島や樺太の一部をソ連に、澎湖諸島や台湾を中国に譲渡する必要があること、沖縄や小笠原諸島は日本へ返還すべきであることなどであった。
ということから、我田引水な解釈をしているのでしょうが、ネールがサンフランシスコ講和条約に出席しなかったのは、ひとつにはたぶん非同盟の国であるインドを世界にアピールする目的でしょう。サンフランシスコ講和条約は当時の東側陣営は出席しましたが調印せず、中華人民共和国はよばれもしなかったわけで、東西冷戦の構図のなかのものでしたから、非同盟の中心的な存在を自負するインドが出席しなかったのも理解できます(ユーゴスラヴィアも出席せず)。
そしてたぶん、インドが日本にそんなに厳しい態度をとらなかったのは、上の引用にもその一端が書かれているように中華人民共和国へのけん制の意味合いがあったんじゃないんですかね。これまた当時のインドが日本に反中の仲間としての価値を見出していたのもそれなりに理解できるところです。当時の日本は完全に「反中」でしたから。
上に書いた私の考えが間違っていたとしても、ともかく日本とインドは敵対関係にあったわけで、インドが「大東亜戦争」(馬鹿)に理解を示すなんてことはありえない話です。まあ極端な話、かりにインドが「理解」していたとして「それが何?」というていどのことですけど。櫻井とかがやたら好きな米国なんか、「大東亜戦争」への理解なんて永遠にしちゃくれないよ(嘲笑)。
だいたい
>中国の対日歴史観とは天地の差である。
って、国土を日本に蹂躙された中国とそうでないインドを同列に論じる櫻井のめちゃくちゃぶりにも呆れます。こういうことを書く人間てクズですね。こんなでたらめほざいてなにが楽しいんだか。
こんなことを書くのはいまひとつ気が進まないところもあるんですけど、中華人民共和国だって日本からの賠償は辞退しているんだけどね(苦笑)。でも、そんなことを櫻井とかが書いたことなんてあんまり読んだ記憶ないぞ。書いていても、さらなる中国非難のネタにするだけでしょう(笑)。日本に取り入るための手段だとか。そんなこと言い出したらきりがないよね(笑)。
それにしても櫻井が支持している安倍晋三だって、前回の首相辞任直前にインドに行ったけど、櫻井が主張するような話はしちゃいないでしょう。したら「殿ご乱心」です。安倍はいつだって「ご乱心」だけどね。でもさすがの彼も、そこまで乱心はしていない。
前にも書きましたけど、安倍がインドに行ったときパール判事の身内と面会したという話を聞いて、私「こいつほんとの歴史修正主義者なんだなあ」と驚きました。いち国会議員とか自民党の幹部という立場で会うというのならまだしも、彼はこのとき首相という日本の行政の最高権力者の立場だったわけで、ちょっと常軌を逸しているなと思います。オーストラリアでウェッブや、オランダでレーリングの子孫と面談したりしないでしょ、安倍は。パール判事の子どもさんも、何の用でおれなんかに会いにくるんだと大いに困惑したと思います。変な男です、安倍って。
でもそんな安倍だって、櫻井とくらべればはるかにましに思えるのだから(笑)、櫻井という人もほんとまともじゃありません。どうしようもない女ですね、なにをいまさらながら。そしてそんな人間といまだ深い関係にある安倍という人物も、よくまあこんな男が首相にまでなったものだと思います。それで今も首相なんだからそれはそれでなかなかすごい話です。
なおこの記事は、bogus-simotukareさんの記事からネタをいただきヒントを得ました。いつもいつもお世話になっていて、感謝の気持ちでいっぱいです。
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そんなことを日本政府が公式に主張したら、インド政府は激怒するだろう
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