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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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他人に優しい、気配りをする、穏やかなことなどがマイナスになった話

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今年の10月から今月にかけて、阿佐ヶ谷で、次のようなイベントが開かれました。

 

1960年代末から70年、あと78年にちょっとだけ芸能活動をした(元)女優・南美川洋子(なみかわようこ)という方の映画の上映会と、彼女が登場するトークショーです。

計6回トークショーがあったのですが、私は後半の3回しか参加できませんでした。最初は仕事が入ったため、2回目は友人Nと山陰に行ったのでこの2回は仕方ないとして、3回目はやや遅い時間に行ったら、すでに満杯だったので、これは悔しかったので、4回目は気合を入れて絶対参加するの精神で行き、なんとか以後6回目まで参加できました。

それで3回彼女のトークショーでお話をお伺いし、私も質問をさせていただきましたが、そこで感じたのが、彼女は、ほんと、他人に優しいし、気配りをするし、穏やかで、ファンを大事にしてくれる方だなということでした。トークショーの観覧者にスチール写真をわたしてくださったり、使い捨てカイロまでいただいたりと、ご本人の人柄のよさがうかがえいました。

でも・・・たぶん彼女のそのような優しさや穏やかさが、芸能活動に関してはプラスに働かなかったのだろうなと思います。

これは昨年に発表された「日刊ゲンダイ」でのインタビューで彼女が語っていることですが、所属している大映がいよいよ経営が厳しくなり、だんだん企画がえげつないものになってきて、彼女に「高校生ブルース」の主役のオファーをしたわけです。が、ヌードもあるその役を彼女は受入れられず、それで役を拒絶、その役は高橋恵子(当時関根恵子)が演じて大きな成功を得たのです。

その件が対外的には、記事を引用すれば

>「重役に車中で『次回はこの作品でいこうと思っている』と一冊の台本を渡されました。読むと全裸シーンや男優との絡みが。ショックでしたね。今まで守ってもらった清純派を捨てることは、会社に見捨てられたも同然と思い、誰にも相談せず大映本社に赴き、きっぱりお断りしました」

 その作品が関根恵子(現・高橋恵子)の鮮烈デビュー作として話題を呼んだ「高校生ブルース」だった。

「何年か前に彼女がインタビューの中で『主演予定だった女優さんがケガのため、代役を……』と話されていたのを知り、驚きました。これが46年目で初めてお話しする真相です」

ということになっていたということです。たぶんそこでその役を演じる度胸とか思い切りがあれば、彼女はもっと女優として成功したのでしょう。しかしたぶん、それは彼女にとってそのようなことをして得られる成功は、本意のものではなかったのでしょう。高橋恵子が今日に至るまで女優として活躍しているのと好対照です。

もちろん後にしてみれば、ヌードのオファーの拒否はともかく、女優を廃業しなくてもいいだろうとか考えますが、そのような性格は彼女の優しさや穏やかさと不可分であるはずで、残念ながら仕方ない部分もあったのだろうなと思います。

それで私がいろいろ勉強させていただいているサイト(先日、橋本力氏の死をマスコミに先んじて公表されました)の主催者様(中島賢様)に

>南美川さんは、本当に穏やかでファンのことを大事にしてくれる方だと思いましたが、ただそのような優しさや穏やかさが、芸能界で生きていくうえで必ずしもプラスにならなかったのかもな・・・とも思わないではいられませんでした。

コメントしたところ、

>南美川については貴兄の指摘されている点が問題点でもあるのです。今まで
アドバイスする人がいなかったせいもありますが、これからは少し仕事をさせようと
思っているので、充分に気を付けさせますので宜しくお願いします。

という返しをいただきました。中島賢様ありがとうございます。中島様は、大映で宣伝のお仕事をされまして、ラピュタでの上映会の企画者でもあるわけです。次のような本も出版されています。大変貴重な写真や記述がいっぱいです。

 

スタアのいた季節 わが青春の大映回顧録

そう考えると、芸能界で成功するというのも、才能、容姿、運などいろいろなことが必要ですが、これは才能に包含されるということでしょうが、性格も大きな要素ですね。残念ですが、世間では美徳とされる優しさや穏やかさ、他人への気遣い、気配りなどよりも、「自分が、私が、おれが、ぼくが」といった図々しさ、きつさ、エゴイズムなどのほうが役に立つこともおおい。そんなことは分かっていますが、でも数回1人の女性のトークショーを聞いていて、改めてそんなことを感じました。

 

なお「日刊ゲンダイ」のインタビュー取材でも彼女が語っているように、2016年になって彼女が表に出るようになったのは、勤め先だった宝石店を退職したことが大きな理由だということですね。今後の彼女が、中島様がお書きになっているように、また女優の仕事に復活されるのかは分かりませんが、南美川さんの人生も新たな段階に入ったのだと思います。南美川洋子さんの今後のご活躍を祈念して、この記事を終えます。なお、上の写真は、12月24日、6回目のトークショーでの南美川さんの写真です。


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