先日、映画監督の今井正監督のことをちょっと調べていまして、そういえば今井監督の『小林多喜二』って映画も、たしかソフト化されていたなかったよなあと考えてちょっと調べましたら驚きました。あーら、今月(2018年7月)ソフト化されているじゃないですか。
このブログで、
なぜかDVD(あるいはBD)化されない映画というのを1回だけやっていて、(2)以降をしていないんですが(『誘拐報道』もその後DVD化されました)、『小林多喜二』は、VHSビデオすら発売されていなかったので、鑑賞もなかなか難しいものがありました。私もよく知りませんが、たぶん共産党系のサークルとか、多喜二関連のイベントか何か以外で鑑賞するのはかなり難しかったんじゃないんですかね。そしてあまりプリントの状態もよくなかったらしい(たぶんデジタル上映できるものではなかったでしょう)。
ソフト化がされなかった事情としては、この映画の著作権者が「多喜二プロ」というもので、これについて未確認ですが、たぶんこの映画を製作するために設立されたものだと考えます。これが大きな障害だったのでしょう。ネットで検索した限りでは、現状について確認できませんでした。これについては後日誤りであることを確認すれば訂正します。
いわゆる独立プロの製作した映画というのは、この映画に限らずソフト化がされていないパターンがありますね。権利関係が複雑だったり契約書にそのあたりが書かれていなかったり(映像ソフトが市販される時代より前でしたら当然です)します。昨今の映画はソフト化はだいたい前提とされているかと思いきや、無名映画はそうでもなかったりするので、やはり映画というのは可能であるなら上映されている時に観るのが正解みたいです。
またこの映画の場合、監督の今井正、原作の手塚英孝 、脚本の勝山俊介とみな日本共産党員であるのも、あるいは大手のメーカーなどが手を出すのを嫌がった事情につながるのかもしれません。それは仕方ないというものでしょうが、1974年公開の映画で、四十何年前の映画であるならば、そのあたり関係者その他もいろいろ考えなおしてくれればなあと思います。前に記事にした、丸源の社長の話と同じです。ところで社長は、脱税で懲役刑の求刑を受けましたが、判決はどうなるんですかね? どっちみち控訴するでしょうから収監はされないでしょうが、早く考えを変えていただいて、貴重な3作品の公開とソフト化を許可していただきたいものです。
そのあたりはともかく、DVDをご紹介。
予告編(オリジナルではありませんが)もどうぞ。
奇跡の初ソフト(DVD)化!『小林多喜二』監督:今井正、主演:山本圭
主演が山本圭というのが、いかにも当時の左翼映画の雰囲気です(笑)。山本は、翌年の『新幹線大爆破』でも、学生運動に挫折した犯人を演じていたくらいで、当時の映画では、もっぱら左翼系の役をやっていました。
正直山本圭って、あんまり小林多喜二と顔が似ていないし、それ以前にだいぶイメージが違うのですが、この映画は凄惨な拷問シーンなども話題になったようです。予告編でもその一端を観ることができます。
ね、あんまり似ていないでしょ。
ちなみに写真にもある中野良子が演じたのが、多喜二といい仲だった田口タキで、彼女はそれなりに中野と顔が似ているような気がします。中野さんも、この頃が、映画で一番活躍した時代ですかね。
今回DVDを発売してくれた会社さんは、埋もれた映像作品のDVD化をしている会社さんです。このような会社こそ、私のような人間にとっては、頼もしいにもほどがあるところです。感謝の言葉もありません。
それでこの会社のHPに、主演の山本圭氏へのインタビューがありますので、これはぜひお読みになってください。ものすごく面白い。
注文したDVDが届いて数日以内に観ることができますので楽しみです。でも初めのほうに拷問シーンがあるので、それでだいぶ精神が鬱になってしまうかな。
ところで今井監督の遺作である『戦争と青春』も、VHSでは発売されていますが、DVD化はされていません。このあたり、やはりなんとかならないかと思います。