過日の産経新聞の記事より。
＞2018.8.5 02:00
性犯罪の出所者らに国費で薬物治療 受刑者任意で来年度から実施へ 再犯防止へ整備
同種の犯罪を繰り返す傾向があるとされる性犯罪者や薬物犯、窃盗犯らの再犯防止策として、法務省が満期出所した元受刑者らに国費で薬物治療や認知行動療法を受けさせる制度を整備する方針を固めたことが４日、分かった。来年度から実施の見通しで、特別な予算措置はせずに同省の予算でまかなう。犯罪傾向のある受刑者は刑務所内で再犯防止指導を受けるが、満期出所後は具体的な手当がされていなかった。同省は体制整備で再犯抑制をいっそう推進したい考えだ。
（後略）
＞2018.8.5 02:01
「社会での治療に有効性」再犯防止に期待 性犯罪元受刑者に国費治療
（前略）
「刑務所の中には誘惑がなく、淡々と指導を受けるだけになる。一般社会のようにリスクのある状況でもやめられるようにしないと意味がない」。性犯罪の防犯、再犯防止のために性障害治療に取り組んでいる「ＮＰＯ法人性犯罪加害者の処遇制度を考える会」代表理事で精神科医の福井裕輝（ひろき）氏は、刑務所内での指導に懐疑的だ。
（中略）
福井氏は「性犯罪は依存症の一種で、私が診てきた人の９割は『やめたい』と思っていた。依存症の中でも、薬が使える分、薬物依存を上回る治療効果が期待できる」と話す。
この後犯罪者へのGPS装着の話が出てきますが、これには賛成しかねるし、またこの記事の趣旨とはまた違うので、紹介は略します。
私が性犯罪者の闇の深さにあらためて驚かされたのが、こちらの記事でご紹介した事件です。
某野球選手の不祥事で思ったこと 某元野球選手の不祥事で思ったこと、また内柴某の裁判についての簡単な感想（ほか、関係ない話） あるスポーツ選手による性犯罪事件の判決についてつまりとある野球選手が、社会人野球をやっていた時代に性犯罪で検挙され（住居侵入だった模様）、そのためドラフト会議で忌避されたり、MLBのスカウトに目が留まったにもかかわらず、犯罪歴がたたってビザが下りずに断念するなどしたのですが、福岡ソフトバンクホークスが彼を更生したとみなしてドラフト会議で指名してくれました。にもかかわらず、未成年をふくむ複数の女性に対して性犯罪を起こしてしまい、逮捕され、当然球団は解雇、実刑判決を受けたというものです。
彼は、超有名大企業を追い出され、その後独立リーグでがんばって、なんとかドラフト指名にまでこぎつけたのですが、こんなお話にもならない事件を起こしてしまったわけです。彼は、Wikipediaの記載によると
＞初公判で堂上は起訴内容を認め、「人として本当に間違ったことをした」と謝罪した。犯行の動機については、被告人質問で1軍での出場が少なく不安に駆られたことやコーチとの人間関係に悩んでいた背景を答えたが、原因については「今もわからない」と述べた。
だそうです（注釈の番号は削除しました）。不安にさいなまれていたとしても性犯罪なんかしなくていいだろと思いますが、つまり彼を押さえていた理性のようなものが機能しなくなったのでしょう。こういう事件は本当にどうしようもありません。彼を応援してきた人、期待してきた人、協力してきた人、友人、家族、恩師、親戚、仲間、もちろんチームの人からファンに至るまで、ありとあらゆる人間を裏切ってしまいました。性犯罪というのは、他人に与える印象は、最高レベルに悪い。引用した記事で、医者が
＞性犯罪は依存症の一種で、私が診てきた人の９割は『やめたい』と思っていた。
と語っていますように、この人物もたぶん毎日のように「あんなことをしなければ」と後悔しているんじゃないんですかね。もうとっくに出所しているはずですが、そしてその後彼が再犯をしたかはもちろんわかりませんが、どっちにせよ彼は、自分の行ないをものすごく後悔しているはずです。さすがに居直ってはいないでしょう。居直っていたら別の意味での精神障害ですから、そうなると話の次元が違います。
治療によって、そのような衝動が抑えられる可能性があるのなら、それは本人にとっても社会にとっても非常にいいと思います。万引き依存もそうだし、アルコール依存も、やはり自力ではどうしようもないので、何らかの治療をする必要があります。本人の努力と自覚だけではどうにもならない。それで公費でそのような治療ができるのであれば、それは大いに役立ちそうです。治療からドロップアウトする人間も多数でしょうが、アルコール依存症も、治療しないよりはするほうがはるかに良いでしょう。それと同じことです。
刑法で罰して、最悪でも刑務所を出所したらはいそれまでではなく、よりアフターケアをしたほうがいいと思います。刑務所だって一説によると年間350万円から400万円くらいのコストが1人当たりの受刑者にかかっているという話もありますし、そういう金ももっと有意義に使えればそれにこしたことはありません。
なおこの記事の存在は、bogus-simotukareさんの記事で知りました。感謝を申し上げます。