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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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たぶんこの犯人は、知的障害者、精神障害者であると思った

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先日読んで、「おや」と思った記事を。

>2018.8.3 07:01

虚偽通報、消防隊到着後に実際に放火 容疑で無職男逮捕 東京

 改築中の民家にあった資材に火をつけたとして、尾久署は非現住建造物等放火未遂容疑で、荒川区町屋の無職、佐藤誠容疑者(33)を逮捕した。佐藤容疑者は犯行前に自ら119番通報していた。調べに対し、「火をつけたがはっきりとは覚えていない」などと供述している。

 逮捕容疑は5月29日午後11時半ごろ、自宅近くの改築中の民家で、壁に立てかけてあった資材の樹脂製の板にライターで火をつけたとしている。民家への延焼はなかった。

 同署によると、佐藤容疑者は犯行の約20分前に「付近で焦げ臭い臭いがする」などと虚偽の119番通報をしていた。消防隊の到着後、実際に火をつけたという。佐藤容疑者の自宅周辺では、5月下旬に紙や自転車カバーなどが燃える不審火が4件相次いでおり、同署では佐藤容疑者が関与したとみて詳しく調べている。

引用は、産経新聞の記事からですが、Yahoo!のニュースサイトでのコメント欄では、

>失うもののない、無職無双

>アホヤなぁ

でも、山に火をつけられる事もあるから、この人やばいね。
向こう5年間、GPSの装着を希望する。

>何やってんの?

といったようなことが書き込まれています。

それでどうも私の見たところ、この放火犯人はたぶん知的障害者、精神障害者なのだと思います。

この事件で一番不可解なのが、こちらです。

>佐藤容疑者は犯行の約20分前に「付近で焦げ臭い臭いがする」などと虚偽の119番通報をしていた。消防隊の到着後、実際に火をつけたという。

いわゆる虚偽通報をする人は、ピンポンダッシュじゃないですが、電話をしてあとは逃げるのが通常でしょう。なんでこの人は、消防隊が到着した後わざわざ実際に火をつけたのか。どうもこういった行動様式が、知的障害者のそれと合致するように感じるのです。あるいは消防が来てパニック状態になったのかも。そのあたりは私の推測でしかありませんが、たぶんそんなに間違ってはいないでしょう。

>火をつけたがはっきりとは覚えていない

という供述も、いかにもそれらしきものを感じます。

それで、知的障害者が起こした無意味な放火(無意味でない放火というのもないのかもですが)として最も有名なのが、Wikipediaの記事にもなっている「下関駅放火事件」でしょう。放火犯人は知的障害者であり、親から虐待も受けていました。刑務所を出所して、北九州市の小倉区役所で生活保護申請を受けましたが、体よく追い払われ、下関駅までのJRの切符と下関市役所までのバス代を渡されました。下関駅にたどり着いた犯人が放火したのは、その翌日間もなくです。

今回の放火は、もちろん下関駅の事件のようなものではありませんが、しかしこのような放火事件を起こす犯人には、知的障害者や精神障害者が散見されるのは事実です。

しかしこういう事件も、本当に困りますよね。仮に今回の事件が知的や精神の障害者でなくても当然そうです。実に事件に意味がない。こういう事件が起きれば警察も捜査するし、逮捕されれば実刑にもなるでしょう。そしてそれが極端になると、下関駅放火事件のようなものになりかねない。

前にこんな記事を発表しました。

行政その他の支援がなかったことが非常に悪い事態をもたらした大きな要因と思われる強盗殺人事件の実例

この事件では、スナックへのつけを払うために2人の老女を知的障害者が殺してしまい、そして死刑判決が確定しています。現在まだ執行されていませんが、彼が自分のおこなった罪の重大さを自覚しているかも疑わしい。この犯人の犯罪歴はというと、

>◆死刑判決が確定するまでの経過(取材に基づく)◆
1961年 8月   茨城県鉾田町(現鉾田市)で生まれる
   中学卒業後   地元で土木作業員や農業手伝い
  80年      自動車盗(窃盗)で中等少年院送致
  82年 8月   自動車盗と強姦(ごうかん)致傷で懲役2年
           公判で心神耗弱認定
  85年 3月   自動車盗に問われ、公判で心神耗弱認定
  86~87年ごろ 同罪で服役
  88~89年ごろ 同罪で服役
  90年      同罪で服役
  94年 3月   自動車盗の常習累犯窃盗で懲役2年2月
  96年 4月   刑期終了
     12月   同罪で懲役2年6月
  99年 3月   仮釈放後、関西の更生保護施設へ
      4月   自動車盗の常習累犯窃盗で仮釈放取り消し
      8月   同罪で懲役3年
  02年10月   8回目の刑期終了。実家に戻る
  05年 1月   女性強殺容疑などで逮捕
  10年12月   最高裁で死刑判決確定

最後の強盗殺人はもうどうしようもありませんが、行政でも福祉でも何でもいいから、この人にもう少しまともな対応ができていれば、ここまでひどいことにはならなかったのではないかと強く思います。なお、この犯人は、親と死別して、兄弟もなんらかの障害があったとのこと。

ほんと、外部ができることは知れているし、実にどうにもならなそうですが、今回の放火犯人も、機械的に刑務所に入れられてそれでまた出所して・・・というパターンになるのでしょうか。まったくもって救いがありません。

なお今回の記事は、山本譲司氏の2つの著作を参考にしています。どちらもとんでもなく面白い本ですから、読者の皆様もぜひお読みになってください。

累犯障害者 (新潮文庫)

刑務所しか居場所がない人たち : 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話 


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