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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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ほれみろ、やっぱり「反省」しなければ損じゃないか

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先日読んだ記事を。

>元上司刺殺で懲役20年 千葉地裁判決

2018年11月7日 05:00

 元勤務先の上司だった男性=当時(44)=を包丁で殺害したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われた船橋市行田町、無職、畔周作被告(39)の裁判員裁判で、千葉地裁(岡部豪裁判長)は6日、「人を殺してはならないという最も基本的な倫理・規範を軽んじており、反省していない」として懲役20年(求刑懲役22年)を言い渡した。

 判決によると、上司だった男性の言動に不満を募らせ、退職を機に殺害して恨みを晴らそうと考え、昨年11月30日午後3時ごろ、かつて勤務していた船橋市北本町2の工場の応接室で、持参した包丁(刃渡り約15センチ)で男性の左胸などを突き刺し殺害した。刺し傷は心臓まで達していた。

 判決理由で岡部裁判長は、2015年から男性の部下になり繰り返し理不尽な扱いを受けたと感じ、ストレスから適応障害でうつ状態になったと判断。その上で「被害者との相性が悪く、会社の労務管理にも不十分な点があったが、事件は適応障害と直接関係なく、周到で巧妙な計画を練って犯行に及んだ」と悪質性を認めた。

 弁護側は同類事件の量刑傾向から懲役15年が妥当と主張していた。

◆「立場替え考えて」 裁判員がメッセージ 【法廷から】

 畔被告への判決言い渡し後、岡部裁判長が「裁判員からのメッセージがあります。聞いてください」と述べ、畔被告に対し「相手を責める前に立場を入れ替えて考えてみては」などとする裁判員の思いを読み上げる場面があった。

 「傷つき孤独を感じ、つらかったことは理解できます」と被告の心情を察する一方で、「だからといって殺すことが許されるのでしょうか。解決方法として間違っている」と非難。「正しい、正しくないだけが物事の評価軸でなく、自分や他人が幸せか不幸かも重要ではないでしょうか」と呼び掛けた。

 さらに「今のあなたに受け入れられないことは分かっています」とした上で「長い受刑生活を通じ物事を違った角度から見られるように、痛みや悲しみを感じ取れるようにする機会にしてほしい」と訴えた。

もちろんこの裁判に限りませんし、この裁判のずっと前からそうである話ですが、記事中

>反省していない

ということが被告人に対する非難となっていて、求刑より2年割り引いただけの厳しい判決になった理由の1つになっていることは興味深いですね。

ずいぶん以前、例の名古屋闇サイト殺人事件の被害者の母親が、こんなことを記者会見で述べたことがあります。

>日本の司法は、人を1人殺しても『ごめんなさい』と言って自首すれば自分の命は守れるのか

それはそういう場合もある、としか言いようがないですね。殺人犯を全員死刑にするわけにはいかない。また、死刑を求刑されても必ずしも死刑になるわけではない。無期懲役以下の判決になる場合もあるわけです。その場合、

>反省

>『ごめんなさい』と言って自首

すれば、死刑を免れない場合もありますが、死刑の求刑から減刑されるための1つの有利な情状にもなるわけです。死刑が嫌なのであれば、それを利用しなければ損です。

また、この記事で、あるコメンテイターの方からこんな指摘を受けました。

>このままで行くと本当に死刑になると言われて慌てて謝罪の言葉を 口にしたと考えるのは自然です。 

それで私の返しは次のようなものです。

>まあ、これは仕方ないでしょう。人間ですから、仮にそうであっても非難してもしょうがないでしょう。

どんな極悪人であっても、

>本当に死刑になると言われて慌てて謝罪の言葉を 口に

するくらいの権利はあるでしょう。それがどう判決に反映されるかはまた話が別ですが、そんな程度のことは批判したり非難してもしょうがありません。いずれにせよこの主張は大変よろしくないと考えたので、私はその後次のような記事も執筆しました。

どんな極悪人であろうと、善意の第三者がそこまで罵倒することはない

そして今回の判決です。やはり、反省していないということが被告人への量刑における大きなポイントになっています。浅原彰晃とか宅間守(のちに吉岡姓に改名)らは裁判中にも全く反省ほかの態度がないと批判され、非難されました。浅原は無罪を主張していたのでどっちみち反省はしないでしょうが、宅間(吉岡)は、判決時に暴言を吐いて裁判長から退廷を命じられる始末です。こういう連中と比べれば、やはり「反省」や「謝罪」のたぐいをした人間のほうが相対的にはましだと私は思います。なお以上の記述は、私は死刑廃止論者ですが、それとは直接関係はありません。

いずれにせよ「反省」しなければ損です。被告人はどんどん「反省」すればいいと思います。今回取り上げた事件の被告人は、重刑であっても絶対反省なんかしたくないのでしょうが(宅間(吉岡)は死刑確実なのでそんなことを考える以前の状態だったのでしょう)、死刑になるのが嫌だったり、最大限減刑の可能性を追求したいのなら積極的に「反省」すべきです。「反省」したって駄目な場合も多数ですが、死刑事件も死刑と無期懲役の境界線の事例はたくさんあるあわけで、そういったものには「反省」は大いに有効です。

というわけで、闇サイト事件の被害者母親とコメントをくれた人の言い草は、きわめて馬鹿らしいまったくもって的外れなものだと指摘して、この記事を終えます。被告人が有利になることを批判、非難したところで意味がありません。興味のある方は、下の記事もお読みください。

「反省はしろ、しかしお前は死刑だ」では、被告人だってあんまり反省はしそうにない

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