北方領土の問題がまたいろいろと話題になっていますが、フジテレビの記事をちょっとご紹介。
>ロシアの本当の狙いは? 「主権は交渉」で波紋
カテゴリ:国内
2018年11月16日 金曜 午後5:50
「2島を引き渡したあとも主権の交渉が必要だ」。
北方領土問題をめぐるロシア・プーチン大統領の発言に、波紋が広がっている。
菅官房長官
「いずれにせよ、これから交渉ですし」
宮腰沖縄・北方相
「交渉については、これからということですので」
「北方領土をめぐる交渉はこれから」。
日本政府が、最終的な4島返還の立場は維持しつつ、2島返還をベースに協議を進める方針へとかじを切った一方、交渉相手であるプーチン大統領の発言が波紋を広げている。
プーチン大統領
「(日ソ共同)宣言には、『ソ連が2つの島を引き渡す用意がある』ということだけ述べられていて、それらがどのような根拠により、どちらの主権に基づくかなどは述べられていない。慎重な議論が必要だ」
1956年に署名された「日ソ共同宣言」では、「平和条約が締結されたあとに歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」と明記。
しかし、プーチン大統領は、2島の主権については書かれていないため、別問題とする可能性を示した。
これに、外務省幹部OBは、「日本から言うとあり得ない理屈。しかし、共同宣言に『引き渡す』としか書かれていない以上、解釈はあり得る」と話した。
そのうえで、主権はロシアが持ち、日本には「租借地」として、2島を貸し出す可能性を指摘する。
この「プーチン発言」を受け、16日午前、菅官房長官は「歯舞群島および色丹島が返還されることになれば、当然、それらに対する日本の主権、これも確認されることになる」、「当然のことじゃないですか」と反論。
しかし、主権の確認がなされるタイミングについては、「返還されることになれば」と述べ、共同宣言に記された“引き渡し”との表現は用いなかった。
はたして、ロシア側に2島を返すつもりはあるのか。
専門家の見方も分かれている。
法政大学大学院 国際政治学・下斗米伸夫教授は「プーチン大統領が自分の外交方針を示す外交概念というものがずっとあって、国境線を国際法的に画定するのが自分の役割だと。わたしは(返還を)五分五分にみているが、(プーチン氏にとって共同宣言があるので)引き渡しは義務なんでしょうね」と話した。
一方で、2島の返還はあり得ないとの見方も。
新潟県立大学・袴田茂樹教授は「わたしは2島も返ってこないと。ロシアの識者は、ほぼ口をそろえて言っているが、日本側の一方的な期待・幻想でもって、いろいろあーだこーだ論議しているわけで、現実にロシアの指導者たちが、どのような発想・メンタリティーを持っているのか、(官邸が)ほとんどつかめていないというのが、非常に深刻な問題だと思う」と話した。
日本語の解釈からして、
>『ソ連が2つの島を引き渡す用意がある』ということだけ述べられていて、それらがどのような根拠により、どちらの主権に基づくかなどは述べられていない。
といわれたって、主権がない返還なんて返還になりませんから、それでは返還は成り立たないですよねえ。先日の報道では、2島返還の道筋はついた(あるいはつきつつある)というニュアンスがありましたが、どうもそういうものでもないみたいですね。まあ予想の範疇ですが。
専門家お二方にしても、下斗米氏ですら
>わたしは(返還を)五分五分にみているが
というわけで、そうそう容易に物事が進むようには私には思えませんね。上の意見では、袴田氏のほうが私には現実性や説得性が高いと思います。袴田氏は(身内がいろいろあって)旧ソ連、ロシアに対して敵対的な態度をとる人物ですが、この件に関しては、非楽観的な彼の意見のほうがより妥当性が高いのではないか。
いずれにせよプーチンの発言を解釈すれば、2島返還も本気ではないように思いますね。ブラフの部分多数としても、ちょっとやそっとのことでは2島返還も実現しないでしょう。ここは、和田春樹氏のご意見をぜひ聞きたいですね。和田氏は北方領土問題にも詳しい方ですから、それなりのご意見をお持ちのはずです。
ところで私は、和田氏から氏の著作にサインをいただいたことがあります。北方っ領土関係の本です。その時は、拉致問題についてちょっと話をしていただける幸運にも恵まれました。この時のイベントです。もう10年も前のことです。
黒くしてあるところは、当方の実名が書いてあるのでそうさせていただきました。北朝鮮問題だけでなく、旧ソ連、ロシア関係でも、いろいろ氏のご著作から勉強をさせていただいています。
ともかく、楽観論の方すら、五分五分という認識なのだから、それはそういうものだと認識しておいたほうがよさそうです。日本もふくめて、どこの国だってちょっとやそっとのことでは領土には妥協しません。これは右翼とか左翼とか関係ない。日本共産党は、北方領土について、千島列島全体の返還を主張しているくらいです。