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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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イザベル・ヴェンガルテンの美しい写真(読者の皆さまへのクリスマスプレゼント)

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先日、ロベール・ブレッソンの映画『白夜』についての記事を書きました。

情報(ロベール・ブレッソンの『白夜』35㎜フィルム版が、日本最終上映として渋谷で観ることができる)(11月26日発表)

それで私が注目したいのが、この映画のヒロインであるイザベル・ヴェンガルテンという女優です。ブレッソンという監督は、プロの役者を使わないで映画を撮るので有名でしたが、有名人の子弟を起用することも多かったようです。たとえば、『バルダザールどこへ行く』では、フランソワ・モーリアックの孫のアンヌ・ヴィアゼムスキーを起用したり、遺作『ラルジャン』では、映画制作時フランスの文化相だったジャック・ラングの娘であるカロリーヌ・ラングを起用したりというところです。彼女も、父親はロメイン・ヴェンガルテンという劇作家です。なお『白夜』で、彼女の相手を務めた画家役の青年も、父親はルイ=ルネ・デ・フォレという作家です。日本語でも、翻訳や研究署が出ているくらいです。

彼女は、ヴィム・ヴェンダースと短い結婚生活をし、『ことの次第』に出演したりしましたがうまくいかず、役者としては、90年代前半でほぼフェイドアウト、その後はもっぱらスチールカメラマンとして活動しますが、これも2年くらいの活動が最後です。諏訪敦彦監督は、こちらのサイト(非常に貴重な証言巣から、魚拓もとっちゃいます)で、

> これも個人的な話なんですが、イザベル・ヴァンガルデンとか、アンヌ・ヴィアゼムスキーとか、ドミニク・サンダは僕がアテネ・フランセ文化センターに映画を観に通っていた頃のミューズだったんですけれども、驚くべき体験をしたんです。『不完全なふたり』という映画を撮っていたときに、パリの撮影の初日の現場にスチールマンの女性がいたんですよ。宣伝用の写真を撮る人ですね。どこかで見たことがある人だなと思っていたら、彼女から話しかけてきてくれて、私はあなたの『M/OTHER』を観てどうのこうのって感想を言ってくれて、お名前を聞いたら、イザベル・ヴァンガルデンって言うんですよ。あれ? あのイザベル・ヴァンガルデンさんですか? と聞いたら、そうですって。まさかここで『白夜』を見ていた私がイザベル・ヴァンガルデンに写真を撮られることになるなんて、ちょっとビックリしたんですね。『白夜』に出演した彼女はしばらく俳優として『ママと娼婦』とか『ことの次第』とかに出演しましたけれども、後に写真家になるんです。ただ、当時、彼女は不遇で仕事がそんなになく、だから、かつての友だちが仕事を回してあげようと映画のスチールマンに呼んだりしていたんですね。『不完全なふたり』のときは、キャメラマンのキャロリーヌ・シャンプティエが彼女に声をかけたようです。イザベル・ヴァンガルデンは非常に真面目なスチールマンで、撮影が終わると役者を留めてですね、今のをもう一回やってくれと言って、同じ芝居をやらせてバシバシバシッって写真を撮るんですよ。そしたらキャロリーヌが怒りまくりまして、同じ芝居を何度もしたら役者が疲れちゃうからやめなさい、あんた邪魔よ、と言って、イザベル・ヴァンガルデンをクビにしちゃったんです。撮影初日で。さすがに可哀想と思いましたね。イザベル・ヴァンガルデンをクビにしちゃうキャロリーヌは凄いなとも思ったんですけど、現場に呼んだのも彼女ですから仕方ないですね。でも、このままじゃ勿体ないと思って、撮影が終わってから、プロデューサーと一緒に彼女にアパートに行って、カメラを回しながら一、二時間ぐらいインタビューさせてもらったんです。今、その映像は手元にないので、今日お見せできないんですけれども。そのときに色んなことを話して、印象的だったのが『白夜』の撮影の話なんですね。「シネマトグラフ覚書」で提示された「モデル」という概念を知っていましたし、あの映画は彼女のはじめての出演作だったので、ブレッソンに言われるがままだったのかなと思っていたんです。まるで人形のようにね。けれどもヴァンガルデンは、私たちは抵抗の世代だから撮影現場でブレッソンにガンガン抵抗した、と言うんですよ。共演者と抗議したりとか。具体的に何を抗議したのかは聞き出せませんでしたけれども、もの凄く戦ったと言っていましたね。当時、すでにブレッソンはあるステータスを確立していたでしょうから、そのブレッソンに若い出演者たちが異議申し立てをしている図はなかなか素晴らしいなと思って、イメージが変わったんですね。ブレッソンの映画における「モデル」は必ずしも従順な人たちではなかろうと。彼女たちは決して自分たちの内面を表現しませんけれども、でも自分であることをそれぞれのやり方で追及しているんだろうと思うんですね。そのせめぎ合いがあの佇まいに表れているんじゃないか、ブレッソンの映画にはそういう抵抗が反映されているんじゃないかと思っているんです。

と語っています。どうもこの経験が、のちに自作に彼女を起用した伏線だということなのでしょう。その際の写真は、また後でお見せします。

そういうわけで、今日はクリスマスイヴですから、読者の皆さまへ、美女の写真のプレゼントです。彼女の写真をご紹介しちゃいます。まずは『白夜」での写真。

以下、順番とかはでたらめです。

 

以下昨今の写真です。Facebookより。

以前見つけた彼女のツイッター(ただし非公開。また更新していない模様)。オバマの本があるということは、彼女はあるいはリベラル系? プロフィールには、女優、写真家とありますね。

上の諏訪監督の映画『ライオンは今夜死ぬ』での彼女。映画の出演は、十何年ぶりのはず。ただほとんどカメオ出演です。あるいは、これが彼女の最後の映画出演になるかもしれません。

それでは最後に、お約束の彼女のヌードを。『白夜』でも、彼女のヌードを観ることができます。出典はこちら

たぶん彼女は、そんなに器用に世を渡っていけるというタイプではないのでしょう。が、彼女のような不器用な人間は嫌いではないので、これからも彼女には注目したいと思います。


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