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そんな過去があったのなら、ますます北方領土なんか返還される見込みがない

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bogus-simotukareさんが面白い記事をご紹介されています。こちらの記事です。

今日のロシアニュース(2019年4月26日分)

記事の中で、紹介されているのは次の3つの記事です。

ソ連の北方領土占領。アメリカが協力し援助していた

北方領土「日本人が知らない」真実、占領の黒幕・返還交渉の矛盾… | ニュース3面鏡 | ダイヤモンド・オンライン

実はアメリカが軍事支援したソ連の北方4島占領 - 高橋 浩祐|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

真ん中の記事は、bogus-simotukareさんが記事を書かれたのと同じ日の発表ですが、ほかの2つは2018年の記事です。ただ最初の記事は1月、最後の記事は11月です。

ソ連の北方領土占領。アメリカが協力し援助していた

ソ連の北方領土占領。アメリカが協力し援助していた
▼この年末年始に北方領土についてのスクープがありました。
  
▼終戦直前から直後にかけてソ連軍により占領された北方四島、
 この作戦にアメリカが協力し援助していたことがわかりました。

▼これは北海道庁の根室振興局がアメリカとロシアの専門家による
 研究結果などにより明らかになったと北海道新聞が報じました。

▼協力は対日参戦が決まった1945年2月のヤルタ会談で決定。
 直後にアメリカとソ連は「プロジェクト・フラ」と呼ばれる
 極秘作戦をスタートさせるなどアメリカが大規模に北方領土占領について
 ソ連に協力したという仰天の記事。

(後略)

北方領土「日本人が知らない」真実、占領の黒幕・返還交渉の矛盾… | ニュース3面鏡 | ダイヤモンド・オンライン

(前略)

ソ連の北方領土占領に米国が協力
なぜか後追いされない衝撃の事実
 2017年12月30日の北海道新聞に「歴史の常識を覆す」報道があった。タイトルは「ソ連の北方四島占領、米が援助、極秘に艦船貸与、訓練も」というものだ。

 概要は、1945年8、9月に行われた旧ソ連軍の北方4島占領作戦に、米国が艦船10隻を貸与していたというものだ。大量の艦船の提供だけではなく、ソ連兵の訓練も行ったといい、4島占領の背景に米国の強力な軍事援助があったことを示唆する内容だった。

 ヤルタ会談の直後、連合国だった米ソは「プロジェクト・フラ」という極秘作戦を実施した。米国は45年5月から掃海艇55隻、上陸用舟艇30隻、護衛艦28隻など計145隻の艦船をソ連に無償貸与。ソ連兵1万2000人を米アラスカ州の基地に集め、1500人の米軍人が艦船やレーダーの習熟訓練を行った。

 8月28日からソ連兵が攻め込んだ択捉、国後、色丹、歯舞の占領作戦には、米国に借りた艦船10隻を含む17隻が参加。ソ連軍は各島で日本兵の武装解除を行い、4島の占領は9月5日までに完了した。

 記事には、和田春樹・東京大学教授が次のような談話を寄せている。

「北方4島を含むソ連の対日作戦を米国が軍事援助していたことは、日本ではほとんど知られておらず、発見と言える。ソ連が勝手に行ったのではなく、米国をリーダーとする連合国の作戦だったことを示す」

 日本がポツダム宣言を受諾して降伏した後に、ソ連は日ソ中立条約を破棄して千島列島を南下、樺太からのソ連軍は米軍がいないことを確認して、択捉、国後島、歯舞群島、色丹島に侵攻したという「常識」を覆す話だ。

 ソ連が樺太南部と千島列島での作戦に投入した全艦船を調べた、ロシア・サハリン州戦勝記念館のイーゴリ・サマリン科学部長の論文を、同紙根室振興局が入手した。調査を主導した谷内紀夫前副局長は、「ボリス・スラビンスキーの著書『千島占領・一九四五年夏』(1993年)には、この経緯の一端が出ているが、話題にならなかった」と言う。

 記事を見た千島歯舞諸島居住者連盟の宮谷内亮一・根室支部長は、「驚いた。ソ連の占領に関わっていたのなら領土問題はアメリカにも責任がある」と話す。旧島民も初耳の人は多い。一方、連盟の脇紀美夫理事長(元羅臼町長)は、「日本が降伏しているのに攻めて占領したソ連に対して、当時、アメリカが強く非難したということは聞かないから、米国のソ連軍支援は十分考えられる」と話す。

 日本政府が「米軍の援助」を知らなかったはずはないが、冷戦下、米国とともに反ソ感情を煽るためにも都合の悪い事実だった。納沙布岬にある北方館の小田嶋英男館長も「ソ連は当時、連合国の一員なのでおかしくはない。引き揚げてきた人は国籍不明の船を見たとか、ロシアの船ではないと話していた。でも、ソ連軍の4島の占領にアメリカが関わった歴史を出さない方がいい、ということだったのでしょう」と推測する。

 事実は北海道新聞の報道後、釧路新聞と根室新聞が報じたが、全国紙は無視した。中央メディアも外務省などに問い合わせはしたはずだ。米国に追従する安倍政権に「忖度」したのなら、情けない話だ。現代史の中で語られる出来事は、今の政治に直結しているケースが多いため、こうしたことは多い。日露首脳会談のときだけ賑やかになる北方領土問題も、その実、4島をめぐる現代史の根本事実すら国民には知らされていない。 

(後略)

実はアメリカが軍事支援したソ連の北方4島占領 - 高橋 浩祐|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

(前略)

 スターリンは1943年10月のモスクワで開かれた米英ソ3国外相会談の晩餐会の席で初めて、ドイツに勝利したのちの対日参戦する意思を表明する。そして、ヤルタ会談で対日参戦の条件として千島列島と南樺太の領有権や満州での権益が認められると、ドイツの降伏から2、3カ月後に、連合国にくみして対日参戦することで合意した。

 北方領土交渉において、ソ連の継承国家であるロシアは、このヤルタ協定を引き合いに出し、国後、択捉、歯舞、色丹の北方4島の領有が「国際法で確認されている」と主張している。これに対し、日本は、「ヤルタ協定は密約であって法的根拠はない」と反論。4島は日本固有の領土であり、日ソ中立条約を一方的に破棄したソ連によって「不法占拠」されたとの立場を取ってきた。

 さて、ここまでは本稿の前置きである。実はこのヤルタ会談では、他にも重要な密約があった。アメリカはソ連の対日参戦を決意させるために、ソ連に特別の軍事支援をすることも約束し、実行に移していたのだ。

 具体的には、1945年8月14日に日本が連合国のポツダム宣言を受諾した後、ソ連軍は8月28日から9月5日にわたって北方4島を軍事占領したが、そのソ連の上陸占領作戦に、アメリカからの貸与艦船11隻が投入され、ソ連を軍事支援していた。「プロジェクト・フラ」と呼ばれる米ソの極秘作戦である。

米ソの極秘作戦「プロジェクト・フラ」
 「プロジェクト・フラ」とは、ソ連の対日参戦が決まった1945年2月のヤルタ会談の直後、米ソが始めた秘密裏の合同作戦だ。元アメリカ陸軍少尉、リチャード・A・ラッセル氏が1997年、ワシントンにあるアメリカ海軍歴史センターから『Project Hula: Secret Soviet-American Cooperation in the War Against Japan』(仮訳、プロジェクト・フラー対日戦争での米ソの秘密協力』との題名で本を出版している。インターネットでも無料で全文が公開されている。

 この本によると、アメリカ海軍は掃海艇55隻、上陸用舟艇30隻、フリゲート艦28隻、駆潜艇32隻など計149隻の艦船をソ連に無償貸与した。(ただし、この本の本文には149隻をソ連に引き渡したとの記述が2カ所あるものの、本の巻末別表にある「ソ連への引き渡し艦艇一覧」には145隻しか記載されていない矛盾がある)。アメリカ海軍は当初の計画では、1945年11月までに180隻をソ連に貸与することを考えていた。
 さらに、同書によると、アメリカ海軍は、アリューシャン列島に連なるアラスカ半島の先端に近いアラスカ州コールドベイの米軍基地にソ連兵1万2000人を集め、船舶輸送やレーダー、無線通信、ソナー、エンジニアリング、機雷除去などの習熟訓練を行なった。コールドベイにはアメリカ兵約1500人が常駐し、ソ連兵の指導に当たった。

 ラッセル氏は本の序章で、このプロジェクト・フラが、アメリカが日独伊などの枢軸国相手に連合国を積極的に支援した「レンドリース法」(武器貸与法)の適用の一環とし、ソ連太平洋艦隊に貸与するアメリカ海軍艦艇の操船訓練だったと指摘している。そして、この米ソ合同極秘作戦が「第2次世界大戦における最大で最も野心的な米ソの艦艇移転プログラム」だったと述べている。

 また、この本をめぐっては、アメリカ海軍協会が発行する雑誌『海軍史』ディレクターのウィリアム・ダドリー氏が前書きで、「第2次世界大戦末期のレンドリースと米ソ関係それぞれにおいて、ほとんど知れていない側面を取り上げている」と執筆をたたえている。

4島占領にアメリカからの貸与艦船11隻を投入
 筆者は2018年10月10、11両日、北方領土問題の取材で、北海道根室市と羅臼町に行き、根室市長や羅臼町長、北方4島の元島民らの方々の話を伺った。その際、納沙布岬にある北方館の小田嶋英男館長から、この「プロジェクト・フラ」という米ソ極秘作戦の史実を初めて知った。

 日本では、戦後70年となった2015年度から「北方領土遺産発掘・継承事業」に取り組んできた根室振興局北方領土対策課の手によって、プロジェクト・フラの具体的な史実が判明した。

 同課は、サハリン州の歴史研究者、イーゴリ・A・サマリン氏が樺太南部と千島列島での上陸作戦に投入された全艦船を調べ上げた論文や、国後島の地元紙「国境にて」の過去記事など各種資料を照らし合わせ、北方4島の占領作戦には、前述のアメリカの貸与艦船149隻のうちの11隻を含む18隻(輸送船を含む)が使用されていたことを突き止めた。このアメリカの貸与艦船は、ソ連海軍によって千島列島のほか、南樺太や朝鮮半島北部の上陸作戦にも使われた。

 北海道新聞が同課の調査結果をもとに、2017年12月30日付の朝刊1面のトップ記事で大きく報じた。筆者も2018年11月2日のTOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」で紹介したところ、ネットで大きな反響があった。
 北方館の小田嶋館長は取材に対し、「これは多くの方が大変なショックを受けた。今まではソ連の一方的な侵攻によって4島が占領されたと思われていた。しかし、いろいろな昔の話の中では、国籍不明の船がどうもいたというような見方をしていた人がいた。どうもソ連の船じゃないようだと」と述べた。

 作家の半藤一利氏も筆者の取材に対し、「プロジェクト・フラの話は初めて聞いた。確かに当時、ソ連には上陸用舟艇がなく、日本陸軍もソ連の北海道への上陸を心配していなかった。私も(ソ連の北方4島上陸作戦については)おかしいなとは思っていた。ソ連時代は、こうした昭和史の資料がなかなか出てこなかった。ロシアになり、民主化されてから徐々に出るようになってきた。このため、私もソ連時代はなかなか資料を入手できなかった」と述べた。

4島占領にアメリカからの貸与艦船11隻を投入
 筆者は2018年10月10、11両日、北方領土問題の取材で、北海道根室市と羅臼町に行き、根室市長や羅臼町長、北方4島の元島民らの方々の話を伺った。その際、納沙布岬にある北方館の小田嶋英男館長から、この「プロジェクト・フラ」という米ソ極秘作戦の史実を初めて知った。

見事なまでのアメリカの二枚舌外交
 この史実を知った時に、筆者も大変驚いた。なぜなら、1956年8月に日本の重光葵外相がロンドンでアメリカのダレス国務長官と会談した際、ダレス国務長官は「日本が歯舞、色丹の2島返還のみでソ連と平和条約を結べば、沖縄をアメリカ領にする」と恫喝(どうかつ)していた経緯があるからだ。

 アメリカは戦中はソ連の北方4島占領を軍事支援していたのに、戦後は「2島返還でソ連と手を打つな。4島返還を目指せ」と日本を脅していたわけだ。見事なまでの二枚舌外交である。つまり、北方領土問題は、その時々に合わせて自国の利益を追求したアメリカの動向が大きく影響したのである。

 ヤルタ密約では、ソ連の対日参戦の見返りに千島列島の領有を認める立場。そして、冷戦の最中は、アメリカは日本に「4島返還」を主張させる方が日ソ間を分断できると考えていた。北方領土問題を日ソ間のくさびとして残した方がアメリカの国益になるとの考えがあった。

(後略)

だそうです。長々とした引用ですが、これはぜひ読者の皆さまにもお読みいただきたいと思いまして、長くご紹介しました。

うーん、私もこんな話知りませんでしたが、しかしこのこと自体は、私にとって正直

>仰天の記事

>歴史の常識を覆す

ではありませんね。むしろ「なるほど、そういうことは十分ありうるし、またそれならいままで不審だったことがいろいろ説明できる」というところです。

昔から私は、なぜソ連は、日本が降伏した後であのような大規模かつ強硬な軍事行動をしたのかが全く理解ができませんでした。またその件で、ソ連が米国をふくむ連合国からこれといった非難を受けていないらしいことも「変だなあ」とずっと考えていました。そうしたら、この作戦は、実は米国がソ連兵の訓練から艦船をふくむ装備提供をしたというのですから、それならソ連側からすれば怖いものなしで強硬措置を取るし、米国はじめとする連合国が、この件を非難するわけもない。したところでジェスチャー、形式的なもので終わるに決まっている。これは、そうなるのが当然であるというレベルの話ですね。

余談ですが、上のような強硬かつ大規模な軍事行動の悲劇的な結末の一つをテーマにしたのが、私が前にそれについての記事を書いたこちらの映画でもあります。よろしければぜひお読みになってください。

靖国神社へ『樺太1945年夏 氷雪の門』を見に行く(1) 靖国神社へ『樺太1945年夏 氷雪の門』を見に行く(2) 靖国神社へ『樺太1945年夏 氷雪の門』を見に行く(3) 渋谷で「氷雪の門」を見て、二木てるみからサインをもらい握手をしてもらう

いずれにせよ侵攻自体をヤルタでの密約で米国は認めちゃっているのですから、この件自体は「+α」であって、本質的な問題ではないですね。想定内、予想の範囲内です。

それにしても、私もこの件を知らなかったのですが、これ2017年の12月に「北海道新聞」で報じられているということですね。しかし私が知らなかったのも、あながち私の勉強不足、調査不足というだけでもないでしょう。記事中でも、半藤一利氏や「論座」の記事を書いた筆者も昨年の11月まではよく知らなかったようですから。つまりあまり世間で広まっていないわけです。記事中記事でも指摘されていますように、全国紙ほか中央マスコミ(テレビ局、通信社ほか)もろくに報じていない。これは一体どういうことなのでしょうか。記事中

>米国に追従する安倍政権に「忖度」したのなら、情けない話だ。

という指摘があります。それが全く関係ないとは私も言いませんが、たぶん現在が安倍政権だからということは本質的な問題じゃないですね。北方領土問題の大きな責任が、そもそものソ連の占領からして米国に大きな責任があるというのは、「不都合な真実」「国民には知られたくないこと」であって、それは外務省をはじめとする役所や政治家、さらにはマスコミにいたるまで「なかったこと」にしたい政治の闇というものだったのでしょう。これは、安倍が首相になるずっと以前からそうだったことです。

ただそうなると、ますます北方領土返還なんかありそうにないですね。ロシア(ソ連)からすれば、我々は米国の承認と協力のもとに北方領土をもらっているのだということになります。それでは、最終的には、日本側がなにほざこうが相手にはしてくれないでしょうね、きっと。てめえらのご主人様(米国)だって同意したんだ、っていうことになっちゃいます。

それでですよ、私がいつも書く「北方領土の日米安保除外」なんてことですら、安倍晋三はあやふやなことしか口にしていません。うんなもん、米国の協力と同意のもとに北方領土を確保して、それで日本に返還したら米軍基地が建設されたなんて事態になったら、世の中こんな馬鹿な話はほかにないという次元でしょう。馬鹿らしいにもほどがあります。

いずれにせよこういう歴史というのを見ていくと、まさに歴史の闇というものを感じます。ほんと、歴史というのは一筋縄ではいかないなと思います。それで日本政府は、この件を逃げまくっているわけで、そういう態度では事態はやっぱり進まないだろうなと思います。こういう話を聞くだけで、「どうもなあ」と思う人は少なくないはず。

bogus-simotukareさんに感謝してこの記事を終えます。


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