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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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けっきょく日本側からは何もすべきでないと主張しているということだ(櫻井よしこの北方領土についての主張、ただし元島民ほかの関係者の賛同は得られていないと思う)

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櫻井よしこが次のような記事を発表したようですね。

「 北方領土奪還のときは必ず来る 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

引用は彼女のサイトからですが、初出は

>『週刊新潮』 2019年6月6日号

とのこと。ってことは、5月末の発表ですかね。

それにしても「奪還」というのがどうも穏やかではないですね。まあそういう人なのでしょう。

>戦後70年が過ぎても北方領土返還の兆しは見えない。その第一の理由は、ロシアがロシアであるということだ。沖縄を返還したアメリカとは違う国が私たちの相手なのだ。そこでロシアの現実を見てみよう。

いや、米国とロシア(ソ連)は初めから違う国じゃんということしか思えませんが。だいたい米国民政府が琉球政府の上位にいて統治をしていたとはいえ住民がほとんど日本人の沖縄と、日本人が在住しておらず訪問すら容易でない北方領土とでは、統治の実態がぜんぜん違うじゃないですか(苦笑)。そもそも対比構造としてとらえること自体が間違っている。いちおう日米同盟というものを国家の基本戦略としている対米国と、冷戦時代は仮想敵国、現在までいい関係にあるとはいいがたい対ロシアでは、あらゆる点が違うでしょう。

それで興味深いのがこちら。

>中国を警戒するロシアが、日本海・オホーツク海を監視する拠点である北方領土を手放すことはないと考えるのが合理的だろう。日本に返還すれば日米安保条約の下で、米国の軍事基地が出現する可能性を考えるのは当然だ。日本海、オホーツク海或いは太平洋から北極海航路へとつながるシーレーン構想の中で、ロシアが北方領土の戦略的重要性を認識するのは当然だ。経済のみならず国防の視点で考えれば、領土返還は難しいと言わざるを得ない。

まあこれは、私がいつも書いている「北方領土の日米安保除外」のことですね。櫻井も、この点では、北方領土に米軍基地が設置される可能性があれば、ロシア側は返還に応じないだろうと考えているということですね。このあたりは私と意見が一致します。ところが、それではそれをどうするということは、彼女とはいろいろ意見が相いれません。

私は、安倍晋三が本気で北方領土返還とかいうのだったら、これを米国と協議してどうにかしろよとしか思えないんですけど。これを、現在の日米関係ではそういうことはできないとか言い出したら、あ、じゃあ返還はなしねというだけのことです。しかし櫻井の意見は、そういう次元でもないようです。

>では日本ができることは何か。丸山氏の暴言のような「戦争」でないのは言うまでもない。

外交感覚を研ぎ澄まし、世界情勢をよく読み機会を待つことではないだろうか。ソビエト連邦崩壊の好機をとらえたのが西ドイツだった。ベルリンの壁の崩壊と世界史の大転換を巧みにとらえ、ドイツ統一を果たした。

あのとき、好機は日本にも与えられていた。しかしわが国の外交官は全く、その好機を掴めなかった。だが、必ず、チャンスはまた巡ってくる。情勢の大変化でロシアが困窮に至るときである。

それまでじっと私たちは見詰め続け、好機を窺い続けることだ。国家として長い闘いを勝ち抜く気力と気迫を持続することだ。

ま、要するに「何もしない」っていうことですね、ここで彼女が書いていることは。

>あのとき、好機は日本にも与えられていた。しかしわが国の外交官は全く、その好機を掴めなかった。

外交官というか、当時の自民党の政治家もふくめて、北方領土については、現状のままであった方が反ソ連(当時はまだ「ロシア」ではありませんでした)の道具として都合がいいと判断したという以上のことではないと思いますが。好機をつかめなかったのでなく、最初からそんな意思がなかったのでしょう。もちろんそれは、米国の意向もあったはず。

だいたいそういう時に、櫻井よしこら右翼は、いや、当時は彼女も、オブラートで包んでいたのかもですが、今ほど非常識な右翼でなかったのでしょうからまた意見が違ったのかもですが、彼女らはそういう方向で日本政府が動いたら、それを応援したんですかね? 北朝鮮拉致問題などのように全力を挙げてつぶしにかかった可能性がありませんかね。

そもそも西ドイツの事例というのは、極端な話昔のハンガリーやチェコスロヴァキアの時のような介入をソ連がしなかったという話であって、自国の領土をどうするこうするというのは、ドイツ統一の話よりはるかにハードルが高いと思います。とても同列に論じられるようなものではない。

>世界情勢をよく読み機会を待つことではないだろうか。

>それまでじっと私たちは見詰め続け、好機を窺い続けることだ。国家として長い闘いを勝ち抜く気力と気迫を持続することだ。

って、これって北朝鮮の拉致問題の話と同じですね。経済制裁をしていれば北朝鮮側から頭を下げるとか、金体制が崩壊するとか。そんな当てにならない話を延々垂れ流して、それで2002年から17年も経った無様で無残な現実があるわけです。それで私が何を言いたいかというと、櫻井の説は、徹底的に対価、バーター取引を否定するということでしょう。泥棒に追い銭だとかなんとか。でも私の見たところ、そうしないとまったくもって北方領土の解決なんかないでしょうね。

>が、必ず、チャンスはまた巡ってくる。情勢の大変化でロシアが困窮に至るときである。

そんな日が来ますかねえ。北朝鮮ですらそんな日は今日まで来ていない。ましてやロシアではますます可能性は低いでしょう。またそんな日が来たところで、では北方領土を日本に返還しましょうということになるでしょうか。どっちみち相当な経済援助をする必要があるでしょう。でも櫻井たちは、そういうことを賛成するんですかね。彼女の主張からはとてもそうは見えませんが。

それにしても櫻井よしこみたいなのは、内心安倍にとってもこういうところは迷惑なんでしょうね。でもいろいろ義理もあるから、トランプ大統領と握手させたりする。どっちもほんと救いのない馬鹿でクズです(笑)。

それはともかく櫻井の主張というのは、つまりは拉致問題も北方領土も、日本から主体的に動くなというものであり、実に役に立ちませんね(苦笑)。それでどうこうなるのならいいけど、まったくどうにもなっていない。しかし北方領土に関しては、さすがに元北方領土島民ほかの関係者は、櫻井のこのような無責任かつ何もしないという意見に賛同していないように私には見えます。しかし拉致問題はそのような意見を完全に家族会が支持していますからね。それで安倍政権は、あんたたちが望んでいる対北朝鮮強硬政策なんてやっているんかよと思いますが、そういう疑問には一向に答えがない。北方領土よりはるかにひどいですね。これもつまりは、家族会が巣食う会の傀儡だということなんでしょう。家族会が巣食う会に奉仕している。何がどうしてこういう馬鹿なことが続くのかさっぱり理解できませんね。巣食う会なんて、家族会から見放されればすぐ活動停止なんですが、実際に拉致被害者帰国に動いてくれたりモノを言った人たちは組織を追い出されたり罵倒されている。北方領土関係が、そのような無様で無残な状況には現状なっていないのは、まだ幸いなのかもです。

とにかく櫻井よしこや彼女の上のような意見は本当に迷惑ですね。心の底からそう思います。本日の記事は、bogus-simotukareさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。


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