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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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「風と共に去りぬ」でのこれらのレット・バトラーのセリフは、太平洋戦争当時の日本にとっもてなかなか示唆に富んでいる

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ちょうど本日(6月13日)まで、「午前十時の映画祭」で、「風と共に去りぬ」を「ゴッドファーザー」とのカップリングで上映しています。本日が最終日でしかも午前十時開演ですので、よってこの映画をこの催しで観るのは「いまさら」かもですが、非常に有名な映画なので観ることは容易だと思います。

それでこの映画の、最初の園遊会のシーンでの、クラーク・ゲーブルふんするレット・バトラーのセリフはなかなか興味深いですね。面倒ですので、DVDの画面の撮影しましたので、日本語字幕にてご参照ください。日本語字幕ですから要約されたセリフですが、大意に問題はないでしょう。バトラーは、南北間で戦争が起きたらどうだろうかと問われて、次のように意見を述べます。

北軍がわれわれより有利なのかと問われるとバトラーはこう答えます。

それで、陥落直前のアトランタから命からがら脱出して敗残兵の惨憺たる有様をみながらでのセリフです。

有名な話で、この映画は戦前日本に輸入されるにいたりませんでしたが、日本が占領したシンガポールやマニラ、あるいは上海などで軍の関係者がこの映画を鑑賞しました。シンガポールでこの映画を観た小津安二郎徳川夢声らは、この映画に衝撃を受けて、「こんなすごい映画を作る国が相手では、これはこの戦争にはとても勝てない」と考えて、それは他の人間も同じような感想を持ったようです。フィルムは空輸されて、軍関係者らが参加する上映会が催されたり、東京大学でも上映会があって江崎玲於奈も観たり、またのちに国際政治学者になった桃井真桃井かおりの父)も、当時放送膨張の仕事をしていた関係でしょうか、敗戦直前にこの映画を観ているそうです(以上、「風と共に去りぬ」のWikipediaの「日本での公開」から)。

この映画の大掛かりな撮影や、あるいはカラー撮影といった技術的な側面だけでもそれは確かにそうですが、しかし上のレット・バトラーのセリフは、まるっきり当時の日本をの現状を示唆していますね。これらについて、当時の鑑賞者らがどう考えたかについては私は知りませんが、ある程度物事をまともに考えられる人なら、たぶんいろいろ複雑な思いをしたんじゃないんですかね。いろいろ考えさせられます。

このブログをお読みの方は、たぶんこの映画はすでに観ておられる方が大半かと思いますが、未見の方は是非どうぞ。やはりすごい映画です。


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