過日の2つの報道を。
韓国からの違法輸出、4年で156件 韓国政府発表 :日本経済新聞
兵器に転用可能…韓国「不正輸出リスト」を独自入手! サリンやVXの原材料も第三国に - FNN.jpプライムオンライン
日本経済新聞の報道はこのようなものです。
>韓国違法輸出、4年で156件 ウラン濃縮用機械など
2019/7/10 22:00 (2019/7/11 10:02更新)
【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の産業通商資源省は10日、2015年から19年3月までに戦略物資の東南アジアや中国、中東諸国などへの違法輸出が156件に上ったと明らかにした。対象には、生物・化学兵器を含む大量破壊兵器製造にも転用できるフッ化水素などの輸出も含まれていた。昨年5月にはウラン濃縮に使われる遠心分離機がロシアなどに輸出された。
同省によると、15年に14件だった無許可輸出の摘発件数は16年に22件、文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足した17年は48件とほぼ倍増した。18年は41件、19年は1~3月だけで31件だった。
産業通商資源省の資料によると、化学兵器原料になるフッ化ナトリウムなどが17年12月にイランへ輸出されていた。遠心分離機が18年5月にロシアなどへ輸出されたこともわかった。
半導体の製造工程で使われるフッ化水素酸も17年12月にベトナム、19年1月にアラブ首長国連邦(UAE)へ不正輸出されていた。フッ化水素は核兵器の製造や猛毒サリンなどの化学兵器の合成材料にも使われる。日本政府が韓国への輸出規制を厳しくした対象品目にもなっている。
日本政府は韓国への輸出規制を厳しくした理由として、韓国側に輸出管理の「不適切な事案」があったことをあげている。ただ同省は「一部の国内企業が許可なく輸出したものを摘発した事例で、日本産のフッ化水素ではない」と説明した。
さらに「サリンに転用されるのは低純度のフッ化水素。日本から輸入している高純度のフッ化水素が転用されることはありえない」と強調。日本の一部で指摘されるフッ化水素の北朝鮮への流出は「いかなる証拠もない」と強く否定した。
同省は10日発表したリストについて「輸出管理が効果的にされている証左」と主張。「日本は違法輸出の摘発件数さえ公開していない。一部の事例を選んで公開しているだけだ」としている。
ただ先々、韓国からの輸出品が東南アジアや中東などを経由して北朝鮮など大量破壊兵器の保有・開発が懸念される国々に輸出されていた事実が判明すれば、日本にとどまらず米欧各国なども韓国に対する輸出規制の強化に動きかねない。
また将来、元徴用工問題が解決に向かうことがあったとしても、違法輸出問題への対応は別個の問題として残ることになる。
一方フジテレビの報道は次のようなものです。
>兵器に転用可能…韓国「不正輸出リスト」を独自入手! サリンやVXの原材料も第三国に
2019年7月10日 水曜 午後8:38
国際的に厳しく規制されている物資が韓国から不正に輸出?
サリンやVXの原材料も含まれ北朝鮮などに流れた可能性も
「韓国はホワイト国(安全保障上の友好国)ではないのでは」
生物化学兵器に転用可能な物資を不正に輸出!
FNNが韓国政府作成の「不正輸出」リストを独自入手した。
リストによると兵器に転用可能な物資が第三国に不正に輸出されていたことが判明。2015年から2019年3月にかけて、韓国から無許可で輸出された案件は156件に上っている。
このリストを日本語に翻訳してみると、核兵器や生物化学兵器に転用される恐れがあるとして、国際社会が厳しく統制・監視している物資が掲載されていることがわかる。
例えば、2017年10月、韓国のD社がパキスタン、マレーシア、中国、シンガポールに輸出した「ジイソプロピルアミン」という物資。これは、化学兵器に転用可能だという。
国連安保理 北朝鮮制裁委 古川勝久元パネル委員 ;
ジイソプロピルアミンは、科学関連の物資を管理する国際レジウムで規制されてる化学品。具体的にはVXの原材料としても使用されている
神経剤VXは、おととしマレーシアのクアラルンプール空港で起きた、金正恩委員長の兄・金正男氏の殺害にも使われた。
さらに、7月から輸出管理の優遇措置が撤廃された3品目の1つ「フッ化水素」も不正輸出のリストに…
2017年12月に、韓国のG社からベトナムへ。2019年1月に韓国のS社からUAE=アラブ首長国連邦へ輸出されている。
国連安保理 北朝鮮制裁委 古川勝久元パネル委員 ;
フッ化水素は化学兵器の中でもサリンなどの神経剤の原材料になるとして輸出管理・規制がされている
さらに、中国に不正輸出されたジルコニウムという物資は、核燃料棒を覆う被覆管の原料になるという。
「韓国はホワイト国として扱えるのか」
国連安保理 北朝鮮制裁委 古川勝久元パネル委員 ;
北朝鮮とか、イランとか、そういったところに流れていった可能性は十分考えられるので、韓国政府は調べないといけないですが、そこまでやっているのかどうか、非常に疑問に思われる
このリストで明らかになった実態を受け、古川氏は「韓国をホワイト国(=安全保障上の友好国で輸出上の手続きを簡素化して優遇する国)として扱うのは難しいのではないか」ともコメントしている。
7月9日、スイスで行われたWTO=世界貿易機構の理事会で、日本の措置について改めて撤回を要求した韓国。
文在寅大統領は7月10日「サムスングループ」や「SKグループ」など、韓国の財閥や大企業30社のトップらと緊急の意見交換を行い、今後の対応を協議した。
韓国・文在寅大統領;
我が政府は、日本の不当な輸出制限措置の撤回と対応策の用意に非常な覚悟で臨んでいます
今回のFNNの報道について、韓国大統領府の関係者は「内容を把握していません」とコメントしている。
なんかだいぶ報道の雰囲気が違いますね(苦笑)。
フジテレビが「独自入手」といっているものについて、同じ日に日本経済新聞がその件に触れず韓国政府の発表としてそれを報道するというのも変ですが、フジの報道だと大要安倍政権の対韓国輸出規制の正当性の証拠だみたいなニュアンスですが、韓国側の発表では、これは違法輸出であり、政府が感知しているものではない、といった感じで、むしろ日本側への反論でしょう。
そもそも論として、これが日本側の韓国への輸出規制の正当性の証明なら、日本政府が自分たちで発表すればいい話ですが、フジテレビのスクープ(?)なんていう怪しさ100%(20,000%)なのも変な話です。
で、たいていの人間がそう思うでしょうけど、これたぶん安倍政権のリークですよね(苦笑)。自分たちが公然と公表するわけにもいかないので、子飼い、盟友、手先のメディアに流したと。
と、思っていたんですが、実はそんなレベルですらありませんね。5月17日付の「朝鮮日報」の記事です。
>記事入力 : 2019/05/17 10:02
大量破壊兵器に転用可能な戦略物資、韓国からの違法輸出が急増
3年でおよそ3倍…生物・化学兵器系列が70件で最多
第三国経由で北朝鮮・イランに運ばれた可能性も
ミサイルの弾頭加工やウラン濃縮装置などに転用できる韓国産の戦略物資が、このところ大量に違法輸出されていることが16日に判明した。大量破壊兵器(WMD)製造にも使える韓国の戦略物資が、第三国を経由して北朝鮮やイランなどに持ち込まれた可能性もある。
保守系野党「大韓愛国党」の趙源震(チョ・ウォンジン)議員が産業通商資源部(省に相当)から提出を受けた「戦略物資無許可輸出摘発現況」によると、2015年から今年3月までに政府の承認なく韓国の国内業者が生産・違法輸出した戦略物資は156件に上った。2015年は14件だった摘発件数は、昨年は41件と3倍近くに増えた。さらに今年は、3月までの摘発件数だけでも31件に上り、急増する様子を見せている。
戦略物資とは、WMDやその運搬手段に転用できる物品や技術のこと。昨年5月には、ウラン濃縮などに使える韓国産の遠心分離器がロシア、インドネシアなどに違法輸出された。17年10月には原子炉の炉心に使われるジルコニウムが中国へ、また生物・化学兵器(BC兵器)の原料となる「ジイソプロピルアミン」がマレーシアなどへ輸出された。「ジイソプロピルアミン」は、北朝鮮当局がマレーシアのクアラルンプール国際空港で金正男(キム・ジョンナム)氏を暗殺する際に使った神経作用剤「VX」の材料物質でもある。15年9月と昨年3月には、北朝鮮と武器取引を行っているといわれるシリアに、BC兵器製造関連の物資などが違法に輸出された。
戦略物資の違法輸出は、BC兵器系列が70件で最も多かった。通常兵器は53件、核兵器関連は29件、ミサイル兵器が2件、化学兵器が1件だった。韓国では、戦略物資を輸出する際、対外貿易法に基づいて政府の承認を受けるよう定めている。
国防安保フォーラムのヤン・ウク首席研究委員は「北朝鮮の友好国に向けた違法輸出が増え続けており、第三国を経由して北朝鮮に渡った可能性を排除できない」と語った。
キム・ヒョンウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
・・・・(苦笑)。こんなもののどこが
>韓国政府作成の「不正輸出」リストを独自入手した。
なんでしょうか。馬鹿も休み休み言えとはこのことです。愚劣で馬鹿げているにもほどがある。この記事は、scopedog氏のブログよりご教示いただきましたが、氏はさらに
>この朝鮮日報記事自体が非常に偏っていて、単純な摘発件数の推移を「韓国からの違法輸出が急増」と曲解している記事になっています。
さらにさらに、朝鮮日報の記事も別に特ダネとかでも無く、基本的に韓国政府が毎年公表している統計情報で、何のこともない公開情報です。
とご指摘になり、さらに
>要するに韓国政府が輸出管理をしていて不正事案に対して摘発を行っているからこそ、摘発統計があり透明性確保のためにその統計も戦略物資管理院が「연례보고서(年例報告書)」で公表されている、と。
同様の統計はアメリカも不法輸出処罰の統計として集計しており、2015年から2017年までの3年間で、刑事罰94件、行政処罰134件と公表されている、と。2015年から2019年3月までの4年3か月間で、行政処罰156件(輸出制限:48件、改善命令:87件、警告:21件)の韓国が特段に多くも無く、年平均で見れば、行政処罰に限ってもアメリカよりも少ないんですよね(アメリカ:44.7件/年、韓国:36.7件/年)。
むしろ、日本の方こそ摘発事例の全件数を公表しておらず、一部の事例だけを抽出して公開しているだけで透明性に欠けている、と指摘してます。
日本産フッ化水素が北朝鮮に搬出された疑惑については7月9日に韓国の産業部長官が発表した通り、その証拠は発見されていない、と。
FNNが報じた記事にあるフッ化ガス関連無許可輸出事例は、韓国国内メーカーが関連製品をUAEやベトナム、マレーシア等制裁対象国以外の国に無許可で輸出したのを韓国政府が摘発した事例であって、日本産フッ化水素が無許可輸出された事例ではない、と反論しています。
>FNNのやり口は、例えるなら犯罪統計を取り上げて日本は犯罪天国だと主張するようなもので、嫌韓煽動以外の何物でもない極めて悪質なプロパガンダです。
と論難し、さらに次のような引用をしています。「中央日報」の記事です。
>産業通商資源部は10日、日本のフジTVが「韓国では、過去4年間の武器でのみ可能な戦略物資を密輸出た事例が156回摘発されたことが分かった」と報道したことについて、「これは韓国の司法当局が戦略物資無許可輸出を摘発した実績であり、公開された資料」と「韓国の輸出統制制度が効果的かつ透明に運営されている反証」と反論した。フジTVは極右・惚れ(反韓)性向を帯びた産経新聞系列放送会社だ。
あまりの無様さと無残さに言葉もないですね。こんなものを「独自入手」なんて大々的に報じているなんて、これ、報道機関としての最低の信用すらも無くすレベルのものじゃないですか(苦笑)。フジの関係者のなかでも、「安倍にだまされた」みたいに考えている人いるんじゃないの(笑)。
まあでもこういうのは、政権と極端に癒着したマスメディア(グループ)の末路なんでしょうね。けっきょくいいように利用されて、とっくの以前の発表ものを、重大情報としてつかまされる。何とも愚劣な光景です。
今回の記事は、上のscopedog氏の記事と、bogus-simotukareさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。