先日読んだ記事より。
>「助けて…」用水路で流される80代女性救助 女子高生に感謝状 愛媛・新居浜
毎日新聞2019年9月9日 18時46分(最終更新 9月9日 18時53分)
感謝状を受けた宮林紀世さん。高校ではボランティアをする部活をしている=愛媛県新居浜市久保田町3の新居浜署で2019年9月9日午後4時6分、木島諒子撮影
おばあさんがあおむけの状態で流れてきた――。用水路に転落した80代女性を1人で引き上げ救出したとして愛媛県立新居浜南高3年の宮林紀世さん(18)に同県警新居浜署(立花真紀署長)から感謝状が贈られた。女性は擦り傷など軽傷を負ったが一命を取り留めた。宮林さんは「もたもたしていたら流されてしまうと思い、とっさに体が動いた。大きなけがが無くてよかった」と当時を振り返った。
当時の様子を語る宮林紀世さん=愛媛県新居浜市久保田町3の新居浜署で2019年9月9日午後4時9分、木島諒子撮影
9月2日午後3時半ごろ。始業式だったこの日、宮林さんは友達とけんかをしてしまい気分転換をしようと普段は通らない同県新居浜市中西町付近の道路を散歩していた。すると、近くの用水路からうめき声や「助けて」という声が聞こえ、驚いて見ると高齢女性が頭からあおむけで流れてきた。水深は1メートル弱で流れは速かったが、「ただ事ではない」とすぐに用水路へ入り、女性の両脇を抱えて引き上げたという。
救急車を呼ぼうとしたところ「家族に迷惑をかける」と断られたが、女性は話はできるものの立とうとしても座り込んでしまう状態。困っていたら通行人が助けてくれ、女性は病院に搬送された。
新居浜署によると、上流に手押し車があり、女性は135メートルほど流されていたとみられる。宮林さんは「何が起こるかわからない。今後も冷静な判断で動けるようにしたい」と話した。【木島諒子】
記事自体は、感心な女子高校生を紹介するという趣旨であり、特に異存もないものでありますが、私が気になったのがこちら。
>救急車を呼ぼうとしたところ「家族に迷惑をかける」と断られた
というところです。そういうことを言われたって困りますよねえ。
いや、この女性の事情は分かりませんよ。家族関係が悪いのかもしれないし、あるいは自殺しようと思ったのかもしれないし、もしかしたら認知症か何かになっていて(精神疾患かも)まともな思考や行動がとれないのかもしれない。個人的な意見では、精神疾患とまではいわずとも、認知症の可能性は少なからずあるのではないかと考えますが、どうなんですかね。いずれにせよ、とても病院搬送を断るとかそういう状況ではないでしょうに。
私が宮林さんの立場だったら、「すみません。そういうわけにいきませんので」と女性の言葉など無視してすぐに救急搬送を依頼しますが、高校3年生の宮林さんにはそれはできなかったのか。そのあたり、彼女の心理もつまびらかでありませんが、まさかこのような状況で「そうですか。それでは失礼します」とでも言ってその場を去るわけにもいきませんしね。彼女からしても非常に困るでしょう。
このような場合、確かに
>家族に迷惑をかける
などと見当違い(と書いて問題ないでしょう)なことをいう人というのはいるようですね。2017年にこんな記事を書いたことがあります。
拙職場であったちょっとした事件その記事の中で私は、拙職場で倒れた男性について
>それで男性は起きられないので、職場の人間が「救急車呼びますよ」といったのですが、大丈夫だとその男性は言います。
倒れて起き上がれないのに「大丈夫だ」もないものですが、でも人間ってそういうことを言ってしまうのかもしれませんね。もちろん私たちは、「いや医者に行って診察してもらったほうがいいですよ」と言って説得します。そもそも立って歩ける状態ではないので、どっちみち救急車か何かの世話にならないとどうしようもありません。まさか住所を確認してタクシーに押し込むわけにもいかないでしょう。
と書きました。当時コメントをいただいた凡太郎さん(この方は、14年~17年の間常連コメンテイターでしたが、その後コメントをいただいていません。凡太郎さん、お元気ですか?)が
>こういう場合って、対応に困ります。実際はかなり危険な状況でも本人があくまで頑強に「大丈夫だから」と言い張るならそれを説得するのも難しいですし。ま、救急車呼ぶのが一番適切で無難な対応ですが。
とお書きになっていました。
拙職場での男性は、建物の中で多くの人間がいるところで倒れたのでまだよかったですが、愛媛の件はそんなものではありませんからね。はるかに危険だし状況も悪い。救急搬送くらい素直に受けてくれないかなあと思いますね。ご当人だけで完結する話じゃないんですからね。ほんと困ったものです。