先日こんな記事が報道されました。
>女性ヘルパーに睡眠導入剤 容疑の男「体触りたかった」
2019年10月17日20時32分
介護に訪れた女性と知人女性に睡眠導入剤を飲ませて傷害を負わせたとして、大阪府警は17日、同府貝塚市森の無職川崎優樹容疑者(33)を準強制わいせつ致傷の疑いで書類送検し、発表した。「体を触りたかった」と話しているという。
捜査1課によると、川崎容疑者は自宅で7~8月、いずれも20代で、アルバイトで介護に訪れた女性と、知人の2人にそれぞれ睡眠導入剤を混ぜた水や酒を飲ませ、急性薬物中毒にさせた疑いがある。7月の事件でアルバイトの女性は介護を終えて車を運転中、意識が薄れて住宅の壁に衝突し胸などに軽傷を負った。
同課によると、川崎容疑者は5年前に事故に遭って全身に障害があり、寝たきりの状態で、日常生活に訪問介護を利用しているという。自分に処方され、水に溶かした睡眠導入剤を使い、「健康に良い」などと勧めたとされる。
他のメディアは、実名は出していないところが多いと思いますが、朝日新聞は明記していますね。こちらは、10月10日付の記事です。
>捜査関係者によると、女性はアルバイトで事業所から派遣され、7月28日午前に男の自宅を訪れた。男に「体に良い」と勧められた飲み物を飲むと意識を失い、約1時間40分後に目覚めた。軽乗用車で帰る途中、貝塚市内の住宅の壁に衝突する事故を起こし軽傷を負った。
男は元建設作業員で、2014年に高所から転落する事故に遭い、右手が少し動かせる程度で、首から下はほとんど動かない状態だという。男に処方された睡眠導入剤を使用したとみられる。
この女性のほかにも昨年10月以降、男の自宅に訪問介護に来た女性2人と知人女性の計3人が意識がもうろうとするなどの被害を訴えている。
さらにこちらの記事にもあるように、容疑者は、自分が介護される立ち場であることを悪用して、性犯罪を犯そうとしたということのようですね。
ちなみに容疑者名でネットを検索すると、この事件以外の件でもけっこう名前がヒットします。つまりある程度社会で自分をアピールする意欲のあった人のようです。
個人的には、上の記事にもあるように寝たきりで首から下がほとんど動かない人物が、どうやって体をさわろうとしたのかいま一つよくわからないのですが、どういうことなんですかね。いずれにせよこの事件自体はどうも冤罪ではないようですから、そうなるとこの犯人はそれなりの刑罰を受けることが妥当でしょうが、寝たきりで全身に障害のある人物が懲役、服役に耐えられるのかという疑問は生じます。不起訴かな。
そのあたりの判断は検察庁がすることですが、そしてこの事件はもちろんきわめて悪質、論外なものです。それは前提としたうえで議論しますと、この事件は、障害者の性の問題を、かなりまともに世間に突き付けたと思います。当たり前ですが、障害者だからといって性の欲求や衝動と無縁ではありません。
逆に、これもちょいちょい報道されることですが、いわゆる支援学校の生徒に、教員が性犯罪をすることもあります。卑劣とはこのことだ、という感もありますが、けっきょくこの教員たちが「障害者なんだから、そんなにまじめに考えなくてもいい」と考えている(いた)ということでしょう。未成年(さすがに高校生が多いと思います)と教員が性行為をして処分されるなんていう報道もされますが、たぶん一般の未成年との性関係と、障害者との性関係は、教員たちにとっても別種のものでしょう。実際、昨今話題になっている旧優生保護法における、障害者、ハンセン病患者、遺伝性疾患者らに対する優生手術、子宮や精管に処置をする不妊手術が実行された背景にも、障害者(ハンセン病の患者など、「障害者」ですらありませんが)の性なんてものはどうでもいいのだという思考がその背景(の一部)にあったかと思います。
いわゆる知的障害者と身体障害者、身体障害者でも先天的なものと今回の事件の犯人のような後天的なものではまた事情が異なりますが、これは私もふくめてということで話をさせていただきますと、たいていの健常者の人間はやはりそういうことを「考えたくない」ということではないかと感じます。「自分とは関係ない」という以前に、そもそもそういうことを考えること自体が不快だということなのではないか。
そもそも性の話というのがそんなにオープンでないということも確かですが、仮に例えば自分で性処理(自慰をふくむ)ができない人物が性に対する欲求を何らかの形で昇華するためには、介護士にそれを求めるのは筋違いなのだろうと考えます。彼(女)らは(もちろん話は、男女を問いません)そのためにお金をもらっているわけではない。そういえば、若尾文子の主演した映画「赤い天使」では、主人公の従軍看護婦(さすがに「従軍看護師」という言葉はつかわなくてもいいでしょう)が負傷した兵士たちを性的にも慰めるというところがあります。しかしそれは本来の仕事では(もちろん)ない。
障害者専用のデリバリーヘルスみたいなものもありますが数が多いわけではないし、ましてや女性のためのサービスはさらにないわけです。私もこの件については、下の本を読んだことはありますが、まだまだ勉強不足ですので、いろいろと私なりに研究したいと思います。
それにしてもこの事件の場合、犯人の人物は、デリバリーヘルスのようなものをこれまで利用していたのかという疑問が生じます。していたのかもしれませんが、していなかったとしても、そういう情報を知らないとも考えにくいので、そうなるとなぜこんなリスクの高いやり方をしようと考えたのかという気がします。必ずしも、自分の好みの女性をターゲットにしたわけでもなさそうだし。あるいはですが、手淫をしてもらうというのでなく、自分が主体的に女性に触れたいという欲求だったのでしょうか。それならデリヘルで賄えるんじゃないのと思いますが(すみません、上にも書いたように、私そっち方面には暗いので、よくわかりません)、やはり他人にはうかがえない性衝動みたいなものもあったのかもしれません。高度に個人的な問題なので他人にはうかがえることではありませんが、いろいろ考えさせられます。