10月19日、20日で、ラグビーワールドカップ(RWC)は、準々決勝が行われて、イングランドVオーストラリアはイングランド40-16でが、ニュージーランドVアイルランドは46-14でニュージーランドが、ウェールズVフランスは20-19でウェールズが、日本V南アフリカは3-26で南アフリカの勝利となりました。
準々決勝は、プールの1位と別のプール2位が対決するというシステムになっていて、上では、プール1位になった国を最初に表記しましたが、けっきょく日本V南アフリカ以外は1位の国が勝ったわけで、やはりプール1位通過は伊達ではないということですかね。準々決勝は、イングランドVニュージーランド、ウェールズV南アフリカとなります。
日本V南アフリカは、南アフリカがプール2位とはいえ、1位がニュージーランドですから相手が悪かったといえるし、やっぱり総合力ではまったく日本は南アフリカにかないませんでした。前半3-5というスコアだったのは大したものですが、これは南アフリカが信じられないようなミスを繰り返したこともありましたし、また後半に向けて南アフリカ側がしっかり修正してきては力の差が広がってしまいました。
それで4試合を見た限りで私の意見を申し上げますと、やはりイングランドとニュージーランドが強そうですね。南アフリカも強かったですが、ただ日本がちょっと力が格段に低かったので、参考にはなりません。
イングランドは2回決勝で戦った(91年、03年)オーストラリアを寄せ付けなかったし(エディー・ジョーンズおそるべし)、ニュージーランドも、先日まで世界ランキング1位だったアイルランドにまったくラグビーをさせませんでした。アイルランドには、私がアイルランドびいきであるせいもあり、けっこう今大会は期待していたのですが、やはり日本に負けたというあたり、調子がよくなかったですね。ややピーキングがはやすぎたのではないかとも言われたり、たぶんそうなのでしょうが、エディ・ジョーンズなどはそういったところもしっかり見極めてチームを作ってくるわけで、そのあたりはさすがです。アイルランドは、昨年あたりにピークが来ちゃった感があります。
で、ウェールズと南アフリカでは、南アフリカのほうが強いのかもですが、個人的には、イングランドとニュージーランドの試合が事実上の決勝戦になりそうな気がします。そうなるとニュージーランドのほうが有利かもですが、ニュージーランドが3連覇しても面白くないので、ここはぜひイングランドに頑張ってほしいと思います。03年のRWCで、ジョーンズひいきいるオーストラリアはニュージーランドを準決勝で破っているので、私としては再現を期待します。オールブラックスのファンのみなさん、いたら(いるでしょう)ごめんなさい。
それで試合は週末のお楽しみ(26日がイングランドVニュージーランド、27日がウェールズV南アフリカ)として、今日はラグビーの豆知識を。ご存知の方も多いでしょうが、日本でラグビーというとすぐでてくる言葉に「ノーサイド」というのがありますが、これは世界的にはあまり使われない言葉です。
さすがに「和製英語」というわけではないのですが、英国でもすでに使われておらず、南半球にいたってはほぼ知られていない言葉のようです。こちらの記事では、
>ラグビーの本場イングランドでも1970年代ぐらいまでは使われていたようですが、今は世界的にも試合終了は「FULL TIME(フルタイム)」が一般的です。 日本以外ではノーサイドはすっかり死語になってしまっているようです。
とあります。といいますか、日本語のWikipediaにも「ノーサイド」という項目があり、ここでも
>英語圏でもかつては no side が使われていたが、現在では full time が使われている
と記されています。なお、この記事を書いている2019年10月22日午後11時過ぎ現在、Wikipediaでこの言葉の項目があるのは、日本語版だけです。そして雑誌やドラマなどのタイトルにも使われたということも説明されています。
それでこちらの記事に、興味深い動画が紹介されていました。
RUGBY 1967 England vs New Zealand All Blacks
1967年11月にイングランドで行われたイングランド対ニュージーランドのテストマッチ(ラグビーでは、11月に南半球の代表チームが北半球に遠征する)で、実況が「ノーサイド」といっています。23分18秒のあたりです。この時代では、まだ死語ではなかったということです。
松任谷由実 ー ノーサイド
なぜ日本だけでこの言葉が残ったのか(そして独自の進化を遂げたのか)不明ですが、上の記事で指摘があるように、松任谷由実の歌の影響が強かったこと、あとやはり例の伝説的テレビドラマの影響も一因ですかね。あのドラマでもしょっちゅう「ノーサイド」という言葉が使われていましたから、その影響力は絶大だったと思います。
言語の発音なんかでも、周辺地域、あるいは外国などで、昔の発音が残っている、あるいは単語が残っているということはちょいちょいありますが、まさに「ノーサイド」という言葉は、ラグビーの本場でない周縁部、発展途上中である日本で残存し、独自の進化、用法を獲得したということのようです。これはこれで、なかなか興味深い事例かと思います。で、今大会でも、試合終了時に「ノーサイド」と実況している例が多いですね。1980年代~90年代ほどの使われ方ではないかもですが、今後も「ノーサイド」という言葉は日本では生き続けそうです。そういうわけで、今回は北半球のイングランドかウェールズの優勝を期待しますが、決まったらノーサイドということで、優勝したチームを祝福したいと思います。