今回はテレビドラマの話ですが、カテゴリーは「映画」ということで。
このブログで以前こんな記事を書いたことがあります。
同じ役を演じた俳優2人のあまりの落差にちょっと驚くカンボジアでポル・ポト派(クメール・ルージュ)に殺害されたカメラマン一ノ瀬泰造を演じた2人の俳優、1人は1985年に映画『泰造』で彼を演じた岡本早生という俳優、もう1人は1999年の映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』で彼を演じた浅野忠信ですが、上の記事では、その後もあまり高い知名度を得ることのなかった岡本早生について書いています。岡本は、映画公開当時「(新人)」と紹介されていたくらいで、なかなかの期待を集めていた人物だったようですが、どうもこの映画は、残念ながら私が上の記事で書いた表現を引用すると、彼にとっては
>彼の役者人生の最大のハイライトだったし、そして最大の挫折でもあったのでしょう。
ということに尽きるような気がします。
上の記事を書いたのは2017年ですが、残念ながら今日に至るまで、岡本主演のこの映画を鑑賞するにいたっていません。ソフト化もされていないし、お世辞にも出来がいい映画とも思えないので、それは仕方ないことでしょうが、私は、岡本の演技というのを意識しては見ていないことになります。彼の最後の映画出演と思われる新藤兼人監督の『午後の遺言状』(1995年)で、そこではタクシー運転手の役で出演しているようですが、そして私もこの映画を観ていますが、観たのも前なので、確かにタクシーの運転手が出てきましたが、あんまりその演技他を記憶していません。そもそも運転手役の人が2人出てくるので、どちらが私が興味のある人か記憶にないのです。が、彼の演技はどのようなものかはずっと気になっていました。そう考えていましたところ、「時代劇専門チャンネル」で、彼の出演している1983年制作の「仕掛人・藤枝梅安 梅安針供養」というドラマが放送されることに気づいたので、ではと思い録画して観てみました。HPからあらすじをご紹介します。
まだ新人なので、クレジットではさほど上位ではないですが、しかしドラマのキーパーソンとなる人物の役ですので、わりと期待された立場だったのかなと思われます。
ただ演技に関しては、上のあらすじにもあるように記憶喪失状態という役なので、役柄のせいもありちょっと魅力に欠けたかなという気はします。ややもっさりした演技になっています。これは、役柄についてはご当人のせいではないですが。
また、タイトルでも書いたように、このドラマで主人公の藤枝梅安を演じる小林桂樹は、この翌々年に公開された映画『泰造』で岡本と共演しています(一ノ瀬の父親役のもよう)。これは私の勝手な想像ですが、たぶんこの共演は、小林主演の時代劇に岡本がゲスト出演したということと無関係ではないのでしょう。『泰造』は、映像素材としては岡本にとってたぶん最初で最後の主演ものでしたが、彼はそこから飛翔することができませんでした。私が確認できた彼の芸能活動の終わりは1995年の前掲の映画ですが、十何年映画やドラマをやってきて、どうもパッとしないということを認めざるを得なかったのでしょうか。そういっては身もふたもないですが、そんなにひどい見当違いということもないでしょう。
ところで同じドラマに、殺害される敵役で、織田あきらが出ていますね。
彼は、『新幹線大爆破』で高倉健、山本圭とともに犯人役を演じています。沖縄からの集団就職で本土にやってきた青年という設定でした。
高倉健の右にいるのが織田です。その右は山本圭、そのまた右は、郷鍈治です。映画では、犯人グループの計画を知ったゴロツキの役でした。一応書いておきますと、先ごろ亡くなった宍戸錠の弟で、ちあきなおみの夫でもありました。彼の死がショックで、ちあきは芸能活動をやめたという話もあります。これは冒頭の、主人公沖田(高倉健)の回想シーンのものですね。
織田のWikipediaによると、80年代半ばまで活動したとありますので、この作品は芸能活動もかなり後の方のものであろうかと思います。この人も芸能界を去ってからの消息はあまり伝わっていませんが、お元気でしょうか。そうであれば幸いです。たぶん彼も、岡本同様自分の芸能界での立ち位置にいまひとつ納得できずに違う人生を送ることにしたのでしょう。
なおこの番組は、5月1日に再放送されますので、興味のある方はご覧になってください。たぶんこれからも再放送されると思います。また一番上のパンフレットの写真は、前記事で使用したものの使いまわしであることをご了解ください。ほかの写真を使いたかったのですが、あいにく使えそうなものを見つけられませんでした。