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ガソリンを使った放火はきわめて危険だ

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何をいまさらながらガソリンを使った放火はきわめて危険です。記事を。

>36人も死ぬと思わなかった」京アニ放火殺人事件 容疑者供述
2020年5月28日 20時41分

36人が死亡した「京都アニメーション」のスタジオ放火殺人事件で、青葉真司容疑者が逮捕後の警察の調べに対し、犠牲者について「2人ぐらいと思っていた」などと供述していたことが捜査関係者への取材で分かりました。

去年7月、京都市伏見区にある「京都アニメーション」の第1スタジオが放火され、社員36人が死亡、33人が重軽傷を負った事件では発生から10か月余りがたった27日、やけどの治療を受けていた青葉真司容疑者(42)が、ガソリンをまいて火をつけ多数の死傷者を出したとして、放火や殺人などの疑いで逮捕されました。

捜査関係者によりますと、警察は入院先で逮捕状を読み上げた際、初めて本人に36人の死亡を伝えたということで、その後の調べに対し青葉容疑者は、犠牲者について「2人ぐらいと思っていた。36人も死ぬと思わなかった」などと供述したということです。

その一方で、「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」とも供述していて、反省や謝罪のことばはなく、取り調べには落ち着いた態度で応じているということです。

また、当時、現場で見つかった6本の包丁については、自宅のあるさいたま市から持ち込み、当初は包丁で襲うつもりだったと供述していることも分かり、警察は、青葉容疑者が強い殺意を持って犯行に及んだとみて捜査しています。

また、京都弁護士会によりますと、大阪拘置所で取り調べが行われている青葉真司容疑者の国選弁護人に刑事事件に詳しい遠山大輔弁護士が選任されました。

遠山弁護士は46歳。12年前、京都府舞鶴市で女子高校生が殺害された事件で、殺人などの罪に問われ、無罪が確定した被告人の男性の弁護を務めるなど、これまで多くの刑事事件を担当しています。

ご当人の供述がほんとなのかというのは疑えば疑えますが、それは議論してもしょうがないので、確かに容疑者は、2人くらいの犠牲者だと考えていたとして記事を書きます。

ガソリンを使った放火がきわめて危険なのは、過去の刑事事件などからもわかります。21世紀になってからの事件をみてみましょう。武富士弘前支店強盗殺人・放火事件です。詳細はWikipedia他をご覧いただくとして、端的に事件を解説しますと、2001年5月8日に弘前市の武富士弘前支店に男が強盗目的で押し入り、カウンター越しに混合油を撒き、「金を出さねば火をつける」と脅迫したものの、支店長に拒否され110番通報されたため店内に放火して逃走しました。支店は全焼し、5人が焼死、4人が重傷を負う惨事となってしまいました。まいた油はガソリンをふくむ混合油だったとのことですが、犯人は2002年に逮捕、07年に死刑が確定、14年に執行されています。犯人は、Wikipediaから引用すれば

>ガソリンは脅すために持って行ったもので火をつけるつもりはなく、殺意はなかった

と主張しましたが、「未必の故意」が認定され、死刑になったわけです。まさにお話にもならないひどい事態です。どうも本人、逮捕されてからですらも、自分が死刑になるとは考えていなかった節もあったようです。

そしてもう1つ、20世紀最後の年に発生したガソリンを使っての大量殺人となったのがこちらです。

宇都宮宝石店放火殺人事件

Wikipediaの冒頭の部分を引用すると、

2000年6月11日栃木県宇都宮市江野町にあるジュエリーツツミ宇都宮店で、産業廃棄物処理会社相談役を自称する男(以下、S)が指輪など293点約1億4000万円相当を奪った上、店長を含む当時店内にいた従業員全員を拘束した上で店内に放火し、6人全員を殺害した事件。

です。この事件でも犯人は

>脅すつもりでライターの火を付けたところ、突然爆発した。殺すつもりはなかった

と裁判で主張したとのことですが、2007年に死刑が確定、10年に当時の千葉景子法相立ち合いのもとで死刑が執行されました。

またこちらの事件は、爆発の瞬間が撮影されていたのでご記憶の方も多いでしょう。2003年に名古屋であった名古屋立てこもり放火事件です。この事件では、事務所内に犯人がガソリンをまき人質1名と立てこもり、揮発したガソリンに、犯人が点火したライターが引火して爆発、犯人、人質、警官の3名が死亡、38名がけがをする事態になってしまいました。犯人が自殺するつもりだったのか脅しのつもりだったのかは不明ですが、ともかくこのようなことになってしまったわけです。動画をどうぞ。

愛知・名古屋での爆発事件

京都アニメーションの事件の容疑者がこれらの事件について知っていたかは定かでありませんが、ともかくガソリンは、常温でも容易に揮発するので静電気などでも引火することがあります。Wikipediaの「ガソリン」から引用しますと、

>実際にそれによる爆発事故も発生している(例:https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000232532.html)。また大量のガソリンによる火災は爆燃現象が発生し消火や避難が間に合わないこともある(例:京都アニメーション放火殺人事件[2]交通事故などでガソリンエンジンのエンジンルームや燃料タンクなどを損傷した場合は、消防隊員や警察官、自動車整備士等が許可した場合を除き、絶対にエンジンを再始動したり、ハザードランプや発炎筒を使用してはならない。衝突事故に伴う車両火災を防止する観点から、バッテリーや配電盤、電気配線を潰れやすい位置に配置したり、エンジンの制御プログラムに緊急停止機能を実装することで、衝突と同時にエンジンを停止させられるような構造になっている車種もある。

としたうえで、わざわざ太字で強調しているくらいです。そういえばエンジンの損傷とはまた違いますが、アルフレッド・ヒッチコックの『』で、ガソリンスタンドでガソリンがもれているのにもかからわず煙草を吸っている男性がいて、その火が引火して爆発するシーンは強烈でした。そもそもガソリンスタンドで煙草を吸ってはいけません。

自治体のHPなどにもガソリンの危険性を啓発する記事があります。たとえば大阪市の記事など。

それにしても前にも書きましたが、たとえば附属池田小事件で犯人がガソリンをまかなくて良かったと思いますね。

大阪教育大学付属池田小学校の事件で、ガソリンが使われなくてよかったと思う(一部の生活保護受給者のなかには、凄まじい異常人格者がいる)

上の記事での拙文を引用すれば、

>この事件では、児童8名(1年生1名、2年生7名)が殺害され、児童13名・教諭2名が負傷するという惨事でしたが、ガソリンを教室などに大量にまかれて火をつけられたらこれ以上の被害が出た可能性がある。教室の生徒のいる状況次第ですが、その可能性が高かったのではないか。

ということでしょう。危険きわまりない。

そう考えると、ガソリンの威力をよく知らなかったらしい容疑者がガソリンを使って放火しようと考えたことが今回の悲劇でした。包丁も持っていたようですからそれで大量虐殺があったかもですが、たぶんガソリンを使った放火ほどはひどい事態にはならなかったはず。たぶんですが、弘前の事件などは死刑になった人物は、当初放火まではするつもりはなかった可能性が高いとおもいますので、 まさにいろんな脅迫の方法の中でガソリンを選んだことがいろいろな人間にとって最悪の事態となりました。

犠牲者の方々のご冥福を祈ってこの記事を終えます。


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