Quantcast
Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

映画『ビッグ・ウェンズデー』に関する「どうもなあ」の話

$
0
0

先日俳優の岸田森についてWikipediaを読んでいまして、それで次のような部分に目が留まりました。

>『太陽戦隊サンバルカン』(1981年、東映、テレビ朝日)で実現はしなかったが、2004年に開かれた出演者のインタビュー[要出典]によると初代バルイーグル / 大鷲龍介役の川崎龍介の降板を気の毒に思った岸田が「俺が "帰ってきた大鷲龍介" という脚本を書いてやる」と意欲を示した。実現しなかった理由については不明だが、プロットもできていて後は書くだけの状態だったといい、実現していれば3本目の岸田の脚本になっていたことになる。川崎の降板後も、川崎と酒席を共にするたびに「龍介、帰ってこい」と声をかけていた。

このくだりを読んだとき、へえ、岸田森ってけっこういい人だったんだなと思ったのですが、ただ彼は間もなく亡くなってしまったわけです。

それで当の川崎という人について閲覧してみると(上の岸田とのエピソードも書かれています)、「え!?」と思いました。つまり彼は、音楽活動もしていたのですが(というより、俳優より歌手というべきだった模様)、次のような記述があったのです。

>こころに海を(1979年、ワーナー・パイオニア) - 映画『ビッグ・ウエンズディ』イメージソング

え! この人、あの悪名高いあの歌を歌った人!?

ビッグ・ウェンズデー 』(というのが正確な表記のはず)は、1979年に公開されたジャン=マイケル・ヴィンセント主演の映画ですが、この映画のラストに、日本の配給会社独自の判断で日本語の歌を付け加えて、これがきわめて評判が悪かったのです。

こちらの記事には次のような記述があります。

>『ビッグ・ウェンズデー』サーフィン映画の原点にして金字塔。そして衝撃の日本語主題歌
ビッグ ウェンズデー

2019.10.21斉藤博昭

>感動のラストの後、エンドロールでまさかの脱力

 そしてこの『ビッグ・ウェンズデー』には、ちょっとした「黒歴史」もある。それは、日本公開時の主題歌だ。

 現在も、洋画の日本語吹替版などで、エンドクレジットに日本人アーティストよる独自の曲が流れることがある。「イメージソング」として宣伝に一役買うこともあって、時に賛否両論が起こりながらも、一部で定着したスタイルだ。しかし、吹替版の公開すらなかった1979年当時、『ビッグ・ウェンズデー』のエンドクレジットで日本語の曲が流れたのである。

 それは川崎龍介という歌手の「こころに海を」という曲。歌詞に「オー、ビッグ・ウェンズデー」と入っていることから、明らかにこの映画のために作られたのだとわかる。川崎龍介は当時、ほとんど無名(「第2の加山雄三」として売り出そうとしたらしい)。『ビッグ・ウェンズデー』の怒涛のクライマックスが終わり、しみじみと感動が漂う瞬間に、いきなり日本語の曲が流れ出す。この異常な状況に、観客はざわついた。はっきり言って「興ざめ」である。ネットも存在しない時代なので、その話題が広がるのには時間がかかったが、今で言う「炎上」案件。映画ファンの間では、長らく語り継がれることとなった。

実は川崎という人は、加山雄三の付き人だったんですが、それはともかく、いやはやここまで書かれるかというくらいひどい書かれ方ですが、ともかく非常に評判が悪かったわけです。

私はもちろんこの映画を劇場で観る年齢ではないので、この映画のラストに、日本独自の変な歌が流れたということを知識として知っていただけですが、どんな歌かは知りませんでした。

ではどんな曲だったのか、ご紹介。

こころに海を 川崎龍介

うーん、ちょっとねえ(苦笑)。失礼ながら素人さんの歌のような気すらします。前にご紹介した原田知世の歌は、あれは素人さんの歌以上のものではないですが、しかしこれ最初から歌手活動をしている人の歌ですからねえ。

が、映画、および川崎氏のWikipediaを読んでも、彼の歌の評判がきわめて悪かったということは書かれていません(この記事執筆時点)。

それで彼のWikipediaの記述は、2016年の「日刊ゲンダイ」の記事をネタにしているのですが、「日刊ゲンダイ」の元記事を読んでも、加山と松任谷由実の話(

>78年、松任谷由実作詞・作曲の「サマー・ブリーズ」でアイドル歌手デビューした。

「この曲、80年に松任谷さんがリリースしたアルバム『SURF&SNOW』のB面に収録されてる『サーフ天国、スキー天国』の原曲なんです。ボクが歌ったらパッとしなかったのに、歌詞とアレンジを一新して松任谷さんが歌ったら、ウインターソングの定番になっちゃいました」

とのこと))は出てきますが、この映画の主題歌については触れられていません。書いた記者がそれを知らなかったとは思えないので、たぶん書かなかったのは、川崎氏がそれについてどうしても触れてほしくないと言ったか、あるいは「日刊ゲンダイ」側が「武士の情け」(?)で触れなかったかのどちらかでしょう。

だいたいドラマだって、いきなり主演だったんですから期待されていたのだと思いますがね。なおこのドラマは、ほかの2人の主要登場人物も、本名と役名の名前が同じです。

「日刊ゲンダイ」の記事の中で川崎氏は、

>ボクの人生、数々のビッグチャンスに恵まれながら、それを生かしきれないまま年を重ねてきたように思えます。今後、もし機会があったら、加山さん、松任谷さんにいただいたご恩をお返ししたいですね

と語っていますが、たぶん彼の言う「ビッグチャンス」というのは、記事で触れられている加山、松任谷、ドラマ以外に、「ビッグ・ウェンズデー」の件もあるはず。いろいろな意味で、ビッグチャンスを生かすには何かが足りなかったのでしょうが、ただドラマを降板した際ほっとしたところもあったとも本人語っており、やはり性格が芸能界向きではなかったのかなと思います。そういう時に「悔しい」と夜も眠れないくらいでなければやっぱりだめだったのでしょう。

まだ店をやっているのなら、現在川崎氏が地元熊本で経営しているというカラオケ喫茶の店に行ってみようかな?


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4143

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>