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鹿児島県知事選挙に関するちょっとした雑感

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先日(7月5日執行)の東京都知事選挙に続いて、鹿児島県でも鹿児島県知事選挙がありました(7月12日執行)。旧聞ですが記事を。

>コロナ禍からの回復アピール 現職不人気も追い風―鹿児島知事選
2020年07月13日10時01分

 12日の鹿児島県知事選で、政党の推薦を受けない新人塩田康一氏が初当選した。新型コロナウイルスで県内経済が打撃を受ける中、経済産業省時代に積んだ中小企業支援や地域活性化などの実績をアピール。かねて広がっていた現職三反園訓氏の不人気も追い風となり、支持を広げた。
鹿児島知事に塩田氏初当選 現職ら6人破る

 今回の選挙には、4年前三反園氏に敗れた伊藤祐一郎氏も出馬しており、塩田氏は選挙戦で「今(現職)でもない前(前職)でもない、新しい県政が必要」と訴えた。当選確実が報じられた12日夜、「若さや行政経験への期待も大きかったと思う」と勝因を分析し、新型コロナ対策では医療体制の確保と共に「大変厳しい状況にある中小企業の事業の継続、雇用を守る」と強調した。
 一方、三反園氏は自民、公明両党の推薦を得て組織戦を展開したが、批判は根強かった。同氏は4年前、九州電力川内原発をめぐり、反原発団体のメンバーと「廃炉にする方向で取り組む」とする政策で合意。しかし知事就任後、県専門委員会の意見を踏まえ「強い対応を取る必要はない」として運転容認に転じた。こうした態度の変遷に加え、公務を直前でキャンセルするなど「知事としての資質が問われる」(県関係者)言動も目立った。
 そうした中で起きた新型コロナの感染拡大。クラスター(感染者集団)が発生し、日々対応に追われたが、挽回にはつながらなかった。
 三反園氏は12日夜、支援者に「全ての責任は私にある。観光・農業の方々と一緒に鹿児島を元気にしたいという思いで取り組んできた」と敗戦の弁を述べた。

結果は下のようなものです。NHKのサイトより。

>▽塩田康一、無所属・新、当選。22万2676票。
▽三反園訓、無所属・現。19万5941票。
▽伊藤祐一郎、無所属・元。13万2732票。
▽青木隆子、無所属・新。5万6297票。
▽横山富美子、無所属・新。2万7404票。
▽有川博幸、無所属・新。1万6832票。
▽武田信弘、無所属・新。5733票。

新人の塩田氏が、自民・公明両党の推薦を受け2期目を目指した三反園氏や、立憲民主党鹿児島県連が推薦した前の知事の伊藤氏らを破って、初めての当選を果たしました。

伊藤氏を、立憲民主党が推薦したというのも「どうもなあ」ですが、ここはまたあとで触れます。

前回(2016年7月)の選挙は、次のような結果です。

三反園訓426,471票55.5%

伊藤祐一郎342,239票44.5%

得票率で11%ほどリードしているわけで、新人の完勝といっていいでしょう。ちなみに最近の知事選挙で、新人が現職を破った選挙としては、2014年の沖縄県知事選挙が、現職に14.4%の差で勝利しています。

それで今回の選挙は、私個人としても非常に興味深いところがいくつかあります。以下それについて述べます。

まず現職が再選をめざす選挙にもかかわらず現職の票が非常に低かったことです。前回と比較して半分をはるかに下回る票数で、23万票以上も低くなっています。

そして今回は、保守系の候補が実に3人も出ています。1人は官僚出身の新人、もう1人が現職、最後に元職(前知事)です。これはなかなか壮観です(苦笑)。そして当選者、現職はもとより、元職もかなりの票数をとっているわけで、保守内部での票の取り合いも激烈です。

原則論としては、このように保守系の強い候補が複数出て、しかも現職が再選をねらう選挙では、現職が有利でしょう。ましてや今回、現職は、自公の推薦も受けている。4年前の初当選時は、自公の推薦を受けている現職を破って当選した人物が、4年後の再選時には自公の推薦を受けているというのも呆れますが、ともかく元職の出馬で反現職票が大きく割れたわけで、こ本来なられは現職にとっては非常に有利な選挙だったわけです。元職が出馬しなかったら、大差での現職落選となったのではないか。

Wikipedia2020年鹿児島県知事選挙によりますと、鹿児島市で塩田候補が92,740票、現職が48,828票で、ここで勝負がきまっちゃっていますね。ほかはむしろ現職のほうが票を取っている。鹿児島市での評価がきわめて低いということです。県庁所在地(県都)でここまでの差がついたということは、つまりは地元政財界、行政職員らもふくめて、有力者、主導的立場にある人たちから現職の評判がきわめて悪かったということでしょう。上の引用記事の指摘にもある通りです。

さてこうなると、やはり非自民および保守系の有権者の中からも一定数の票を取り込むことが可能な野党系の強い候補者が出てくれればなあです。一応共産党の候補(横山氏)も出馬していますが、やはり「強い候補者」とはいえない。今回、野党統一で強い候補を出せれば、当選はしなくてもそれなりの票数を取れたんじゃないんですかね。が、現実には、元職で官僚出身、そしてもちろんかつて自民党がおしていた伊藤候補を、最大野党の立憲民主党が推す始末(苦笑)。これではどうしようもない。その可能性は低かったでしょうが、仮に伊藤氏が当選したら、やっぱり自民党は伊藤氏につくんだろ!?(笑)

票数4位である青木候補の政治理念とかがどういうものなのか私は知りませんが、共産党系候補とあわせると83,000票を超える票数となります。当選は難しくても、10万票を超えるくらいの票数だったら、強い野党統一候補を擁立できれば、獲得も可能じゃなったんじゃないんですかね。強い候補が出れば、棄権した有権者の中でもたぶんその候補に入れる人が少なくないでしょうし(今回投票率が、前回選挙より低かったのは、前回三反園に入れて失望した有権者が棄権した側面が大きいはず。2009年と比較して12年の衆議院選挙の投票率が低かったのと同じ)、またある程度は保守有力3候補からも票を奪えたはず。

それでたとえば今年あった京都市長選挙だって、立憲民主党が共産党系候補とつながれば、もしかしたら現職を破れた可能性がある。昨年の参議院選挙で世話になったとかいう義理とか、幹部らのくだらん反共意識とか、共産党にヘゲモニーを握られたくないとかのつまらん問題なのでしょうが、(いくら政令指定都市で、日本の中でも別格な位置付けの都市とはいえ)たかだか京都市で、与党の1つとして現職を支持してどうするです。仮に負けても、それなりの意味はあるでしょうに。なお立憲民主党のくだらん反共産党の一端については、下の記事を参照してください。

なぜ「野党2議席」くらいのことが言えないのか(参議院京都府選挙区での、立憲民主党の福山幹事長の暴言)

現実には、旧民主党の議員から自民党に鞍替えする議員も最高幹部クラスもふくめて複数いるわけで、そういう連中は成り行きで野党から立候補しているだけなのでしょうが、自民党から立候補不能の人が大多数でしょうから、それならもう少し野党共闘をまじめに考えてほしいなです。たとえば参議院選挙でいえば、2019年の選挙では、地方区では自公47.54%、野党無所属が52.46%と非自公のほうが票を取っています。現実には非与党系の候補の票は死票が多いわけですが、それでも共闘しているから、32の1人区で野党候補が10勝てたのです。自公といえども、勝ったとされる選挙でも、さすがに得票の過半数を取るのは難しくなっています。いろいろ大変ですが、野党だって与党に付け入る隙がないわけではないし、そこは頑張らないといけません。

なおこの記事は、一部bogus-simotukareさんの記事を参考にし、またその記事に投稿した拙コメントも手直ししたうえで本文に組み込んでいます。感謝を申し上げます。


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