先日こんな記事を書きました。
菅首相になったとして、拉致被害者家族会はどのように彼を評するのか興味があるそれで今回は、産経新聞と新首相との関係について、考えてみたいと思います。
べつに私がいまさら書くことでもありませんが、産経新聞は、きわめて熱心に安倍晋三を支持してきました。おそらく産経があそこまで安倍を支持していなければ、たぶん安倍政権の復活も難しかったし、また第二次安倍政権が7年半以上続くということもなかったのではないか。産経新聞としてもまさに社運をかけて安倍を支持したといっても過言でないでしょう。そして安倍自身また、産経にいろいろ便宜を図っていました。産経新聞に単独で取材に応じるということも何回もやっていました。そういった表立った部分でなく、私がこちらの記事でご紹介したようなことも重要です。
けっきょく安倍晋三が首相であり続けること自体がこの連中の利権になっているのだから、お話にもならないその記事で私は、次の記事をご紹介しています。
その記事を再引用します。
>10月初旬、産経新聞社の飯塚浩彦社長が、フジテレビの持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)を実質的に率いる日枝久取締役相談役の招きで、FMHの「社長会」に出席した。フジサンケイグループの関係者は「社長会はFMHの最高意思決定機関とされる。正式な取締役会などとは違い、日枝氏の意向がなければ、たとえ希望しても出席できない」と解説する。産経のトップが参加するのは初めてという。
この関係者は「社長会に飯塚社長が出席したことは、日枝氏がFMHとして産経を支援する方針を示し、産経からはFMHに“恭順の意”を示して子会社入りをお願いするという立場を示したと言える」と話す。なお、FMH広報は「社長会は意思決定機関ではない」としている。
そもそも産経とFMHは、よく知られる「フジサンケイグループ」という名称から関係が深いように思われがちだが、実際は「待遇面はもちろん、報道の姿勢も違うし、ほとんど関係はない」(産経若手社員)。
資本的にはFMHが産経株の39.9%を保有しており、産経はFMHの持ち分法適用会社に過ぎない。保有比率が40%を超え、経営に一定以上関与があれば連結子会社と定義される。
「FMHはあえて40%を保有せず、連結子会社にしないようにしているようだ。経営が苦しい産経を子会社化するのは、株主から歓迎されないのが目に見えているからだ」(関係者)
ただ、新聞業界の長期低迷を受け、産経も苦境にあえぐ。急浮上したFMHによる産経の子会社化は、産経にとっては強力な救済策となる。
産経は昨年来、大規模な希望退職を募ったり、支局の大半を閉鎖したりする大リストラを行った。また、報道姿勢の特徴だった嫌韓路線を抑えることや、自社サイトへの独自記事の積極的な出稿を促すことで、ネット広告収入の増加も目指している。
一連の改善策は「少しでも赤字を減らすことでFMHに支援してもらうためでは」との見方が社内外にあったが、飯塚氏の社長会の参加でこうした見方が裏付けられたと言えそうだ。
一方でFMHにとっては、産経の子会社化はほとんどメリットがないようにみえる。FMHは中核のフジテレビの苦戦が続いており、2019年3月期の売上高は1.1%のマイナスだった。関係者は「FMHの株価は、13年に発表し今も検討を続けている『お台場カジノ構想』への期待から、視聴率ランキングで低迷している割には高い。いま産経を子会社化すれば暴落するだろう」と話す。
では、なぜ日枝氏は産経支援の方針を示したのか。実は、日枝氏を動かしたのは安倍晋三首相の「一声」だったという。
FMH関係者によると、日枝氏は昨年7月、産経シンパで知られる安倍首相から直接「産経が潰れてもいいんですか」と支援を持ちかけられたという。そのため今回の動きについては「社長会に飯塚氏を招聘したのは、安倍首相へのポーズでは」という声も聞かれる。
産経が倒産したって、困るのは安倍とか櫻井よしこのような連中くらいだろですし、そんなことを頼む馬鹿な首相がどこにいるですが、まさに日本にいる、安倍がそれだです。まったくどうしようもない。
しかしそれはともかく、次に首相になるとされる菅官房長官は、このようなことをしますかね? さすがにしないんじゃないんですかね(苦笑)。ポスト安倍政権でも、当然産経は自民党にすり寄るでしょうし、でなければ産経に明日はありませんが、自民党の人間だからといったってみんながみんな産経に好意的というものでもさすがにないでしょうし、「自民党・右翼機関紙」として利用価値があると考えていても、その存続をフジメディアホールディングスのトップに頼みに行くということがあるのか。あったとしても、次の首相は? その次の首相は? たぶん時代を追って、だんだんにそういうこともなくなっていく公算が高いんじゃないんですかね。
逆に日枝、あるいはポスト日枝の人物はどうか。安倍晋三だったら話を聞いても、それ以降の自民党のトップや首相に言われても、無下には断らなくてもあんまり前向きな態度を示すことはないんじゃないんですかね。今の自民党に、安倍以上に日枝とか日本会議とかの連中になにがしかの影響力をもたらせる人間がいるのか。いないんじゃないんですかね。安倍以上に右翼のイデオロギーの持ち主はいても、産経や日本会議構成員が感じている(らしい)異常なまでの安倍へのシンパシーのようなものを持っている人間はいないでしょう。それでそうなると、次の記事で指摘したことがまた意味を持ってきます。
赤字の会社がそのような資金援助を行うのってのは、完全な背任じゃないのという気がするその記事でも引用しましたように、2015年に、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊が
>私は繰り返し申し上げている通りで、「2020年までにはフジテレビは3冠を取り戻している」と今でも思っています。
と主張していましたが、今年は2020年ですが、フジテレビの3冠なんて冗談にもならない状況です。もっとも12月までには、あるいはなっているのかもですが。それはいいとしても、同じ記事で長谷川が主張する
>さて、まとめておきますと、フジテレビの営業赤字は私はさほど気にしません。ちゃんと不動産業に着手しているし、内部にいた私は、そもそもあの局が「支払わなくてもいいお金」を支払いまくっていることを存分に知っているので、これでいい感じに支出を圧縮できるはずです。このニュースはネガティブなものではなく、ポジティブに受け取っています。
フジテレビは儲かりすぎていたのです。なので、色んな人々が群がってきました。その結果、本来であれば支払う必要のないお金が山ほどあるのです。今回のニュースでフジテレビは「こういう訳で赤字ですから…」と言ってそれらの金を切ることが出来るでしょう。
というのは、彼が記事を書いて5年たっている現在、さらに重大な意味合いを持ちますね。長谷川の書く支払う必要のない金というのは、その中に間違いなく産経新聞に対する支援も入っている。長谷川がイデオロギー的に産経新聞を支持しているのかどうかは私は知りませんが(維新とかかわりがあるのだから、そんなに遠い立場ではないのかも)、ともかくフジテレビにとって負担である支出が産経に対する援助であるのは確かです。
日枝などは、まだ産経を完全には見捨てられないようなところがあるのかもですが、亀山千広、宮内正喜、遠藤龍之介といった最近の歴代社長が、産経新聞に対してあまりいい印象を持っているとは思えませんね。あからさまに切るということはしない、できないとしても、積極的にこれからも関係を続けていきたいとはもっと考えていないでしょう。
それで次の記事でもご紹介した産経新聞の経営状態の悪さも気になります。
政治部長が早期退職したのだから、産経の経営の悪さも相当なものだその記事から再引用すれば
>>昨年から希望退職を募っていたが、180人の募集に対し200人を超す応募があったという。ぼくが親しい永田町の黒シャツこと石橋文登政治部長もやめてしまった。現役の政治部長が希望退職なんて前例があるまい。
>筆者の花田紀凱は極右ですからもちろん事態を心配、私はゲラゲラ笑っているという違いはありますが、認識は変わりません。現職の政治部長の希望退職なんて、聞いたこともない。やはり相当産経の経営は悪いということです。花田記事には、次のような指摘もあります。
>>売上高は前期比4・9%減、東日本大震災直後の23年3月期以来の大幅な減少。会社の実態を映し出す管理損益は10億8400万円の赤字。前期は2億5700万円の赤字だったから、赤字幅が4倍位以上に膨らんだことになる。本業の儲けを示す営業損益は30年ぶりに赤字。
というわけで、産経の経営状態は大変よろしくないところにあります。で、いくら安倍晋三ほか政府高官、自民党幹部が産経を助けようと思っても、できることはフジテレビに産経への助けを求めることしかありません。安倍晋三が首相の際は、安倍も動いてフジの側もそれなりに動いた、あるいは話を聞いてくれた。しかしポスト安倍ではどうかです。助けてくれるかもしれないですが、将来的にはフジが見捨てる可能性もあります。
そう考えると、私見では、たぶん5年以内くらいに、フジテレビの主導のもとに、何らかの産経に対する最終的な解決策が取られるんじゃないかという気がします。つまり上の記事にあるように、株価暴落を覚悟で産経を子会社化するか、でなければどっかに売却するか、あるいは倒産させて、あとは知ったことじゃないという態度にするか、さもなければ第4の道を取るか。子会社化する可能性が一番高いのかもですが、そうするとこれ完全な背任ものですね。株主の利益を非常識に損なうわけで、まさに株式を公開している会社の風上にもおけません。また子会社化しても、フジテレビもさすがに抱えきれなくなり、売却、清算される可能性もなくはない。
しかしそれにしても産経新聞ていうのも迷惑なところだよね(苦笑)。名誉棄損、デマ記事連発で、敵である(と連中が考える)自民党リベラル派(なんてものは、すでに実体はないのかもですが)、左翼(? 立憲民主党なんて、別に左翼じゃないけどね)、自治体(どうやら産経は、いまだに革新自治体の亡霊を見ているらしい)、まあほかにもいろいろあるでしょうが、そういうところばかりでなく、嫌韓デモとかで、フジテレビにも迷惑をかけているんだから、お話にもならないとはこのことです。それで莫大な金をそのフジテレビから融通してもらっているんだから、古今東西ここまで図々しい新聞社もないでしょう。たかりにもほどがあるというものです。
いずれにせよ、そうなるとは予想していませんが、新首相におかれましては、ぜひ産経を見捨てていただき、速やかに産経を倒産に導いてくれればと思います。これも社会奉仕の1つです。産経のような迷惑な新聞がなくなれば、社会も少しは良くなります。