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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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浪費癖というのは、人間にとって本当に困ったことだと思う(抗酒剤のようなものもない)

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もうすでに1年たったのかと思いました。1980年代後半ごろに人気予備校講師として2億円の年収があったという佐藤忠志氏が、孤独死した姿が発見されたのが、2019年9月24日です。当時彼は、生活保護を受給していまして、家族もなく(佐藤氏のめちゃくちゃな金銭感覚に奥さんが愛想をつかして逃げてしまったのです。お子さんはいなかったとのこと)、死後日数が経ってから発見されたようです。デイケアセンターの職員によるものだとのこと。その時は、死の直後に書いた記事と、それからしばらくして書いた記事の2つを発表させていただきました。

これも、大金を稼いだ人がくだらん散財で財産を失う典型だと思う(複数の追記あり) ちょっと正直絶望的な気分になってしまった(元予備校講師である佐藤忠志氏の死について)(10月9日発表)

それで私が本気で驚いたのが、当時の記事から引用するとこちらです。

>CMC社のティファニークラシックを「人生最後の愛車に」と購入した。

 「1億。めったにないですよ。日本で1台しかない車ですから。米国で1億3000万って言っていたのに、目の前で1億積んだらOKというのでね」

それでその1億円をどうやって調達したかというと、

>ついには「死ぬまで住み続けていい」という条件のもと、知人に自宅を売り払い、そのカネで高級外車を買おうとした佐藤さんに妻の怒りは限界に達した。'17年のある日、突然家を出ていってしまう。

ですからねえ(呆れ)。

いや、それで普通の生活が営めれば別にいいけど、それから2年くらいで生活保護受給、まもなく孤独死です。孤独死と言ったって、実際には金はあるのに孤独死する人もいますが、彼の場合まさにほんとに金をなくしてのものだから、お話にもならないにもほどがあります。

(大)金持ちが、理由はともかく愚にもつかない散財をしてそれで1文無しになるなんて話はこのブログでもいくつも記事にしていますが、浪費癖というのはちょっと常人の創造を絶するところがあります。たとえば、佐藤氏ほどではないですが、天地真理なんぞも、2015年取材の「週刊新潮」のサイトによれば、

>19歳でデビューするとすぐブレークして、月給300万円もらっていたんです。渋谷区の松濤に5LDKのマンションを6000万円で買って、ひとりで住むのが寂しくて、数年後に売っちゃいましたけど。お金は母に渡していましたが、頼めば高いお洋服も買ってくれるし、外食にもよく連れていってもらっていました。それにデビュー時のマネージャーさんが“自分への投資に衣装をいっぱい買え”と言っていたので、値段を気にする習慣もなかったんですね

>浪費癖は治らず、お金に困るようになりました。86年にはロマンポルノに出演しましたが、あれはすべてお金のため。でも、ギャラの200万円は毛皮のコートを買って、使い果たしてしまいました

>浪費癖は止まらなくて、30万円するサンローランの服を買ったり。お金を貯めなくちゃ、という思いはあっても、通帳にお金が残っていると使っちゃうんです。

とのこと。ただし、この取材に関しては、天地真理のサイトでは、取材の趣旨の説明がなかったなどのことが記されています。もっとも書いてある内容が、事実無根だとはありません。

勤め人、大企業から中小企業にいたるまでの実業家、あるいは芸能人やプロ野球、サッカーなどのスポーツ選手、物書き、画家などの芸術家ほか、個人事業主、あるいは昔よく使われた言葉でいうフリーランサーとでもいう人たち、みな金をわりともらえる時期もありますが、やはり年齢とともにそうでもない時期もあります。昔は、プロ野球なんて、現役の時より解説者などをしている時期のほうが金になるということもありましたが、いまは現役をしているほうがずっと金になります。江川卓とかが早く引退したのは、現役よりもその後のほうが金になるという計算が働いた部分があるのは、たぶん間違いないでしょう。しかし今は、そういう時代ではない。

江川も事業で失敗したという話もありますが、そのあたりの詳細はともかく、やはりもらえる金の額も頂点の時期というものがあり、それから先は頂点の時期と比較すればあまりもらえない状況になるのは確かなのであり、そういう時期を見定めて将来的な計画を立てる必要があります。またその話かと思う方もいるかもですが、夕張で(よせばいいものを)多数の労働者を火事で焼き殺して(ついでに消防士の殉職まで出てしまいました)1億を超える保険金を手にした暴力団組長夫婦がいましたが、

>夫婦はこれらの保険金も1か月ほどでほとんど使い果たしたという。

始末で、おまけに逮捕されて、昭和天皇が死ぬので恩赦を期待して控訴を取り下げたのに恩赦なしで、めでたく同日に夫婦そろって死刑を執行された男女もいます(夕張保険金殺人事件)。この夫婦は、北炭夕張新炭鉱ガス突出事故で多額の保険金を手に入れて(しかし愚にもつかないことに浪費してすぐになくす)、それに味をしめてこの事件を起こしたようですが、しかしこれも何回も書くように、1984年の1億3,800万円って、今より価値はありますし、何に使ったんですかね。不動産でも買ったか、くだらん投資にでも出資したのか。どんだけ馬鹿でクズでキチガイなんだよと思いますが、極端な場合では、ここまでの馬鹿でキチガイのクズ野郎もいるわけです。

死刑になった夕張の夫婦はあまりにひどすぎるとして、同じような人間は、決して世の中少なくありません。昔日曜夜の番組で受験勉強をしていた坂本ちゃん

>2015年7月の日刊ゲンダイの取材で、親との金銭トラブルが起き、仕事はファストフード店でのアルバイトが主体で芸能活動は小休止の状態としていることが明らかになっている。これにより家族とは絶縁状態になっている。特に最盛期は年収が8000万円程度にまで上り、当時だと高級焼肉店に頻繁に通うなどして月に食費として100万円程度を費やし、海外旅行航空機ファーストクラスを使い、高級ホテルに宿泊するなどの散財が影響した。

という状況のようですからね(Wikipediaより。注釈の番号は削除)。もっとも日刊ゲンダイでのインタビューで本人が自称するところによると、

>親に頼まれて数千万円貸してしまい、もう残ってないんです

だそうですが。事実かどうかは(当然)不明。どっちみち同じことです。

それで、アルコール依存症治療には「抗酒剤」みたいなものもありますが(ただし飲まない人、飲むのをやめる人ほか多数)、買い物依存症とか浪費癖というのは、そんなものはありませんからね。ご当人が自覚することにより何とかしないといけません。プロスポーツの世界などでは、金銭管理の講習などをしているようですが、しかしそういったものもなかなか効果はないようです。小室哲哉など、高額納税者番付で90年代に4位になったことまであるのに、2008年に5億円の詐欺で逮捕される始末です。後に執行猶予付き判決とはいえ、有罪が確定しています。

投資に金を回すというのも確かにそうなのですが、一般人は生活のダウンサイジングを必要とするでしょうが、これもなかなか難しいものはあります。これができれば、一般人の浪費癖はその多くは何とかなるのですがね。

さてそこで、これも何回も書きますように、私たちが参考にしなければいけないのがケイリー・グラント先生です。先生は、Wikipediaによれば

>スターでありながら大変な倹約家で、レストランではなく撮影所内の食堂で食事をした。また、撮影でホテル住まいになると、会社が用意した高級ホテルをキャンセルし、格下の普通ランクのホテルに滞在。その宿泊料の差額を正確に要求した。

というわけで、このような方こそ私たちが尊敬しなければいけない人物です。だから私は、彼のことを「ケイリー・グラント先生」と呼ぶわけです。

そういうわけで、私もグラント先生を見習い、浪費癖で人生を壊さないようにしていく所存です。読者の皆さまも、ぜひ同様に。


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