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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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農水省元事務次官の殺人事件と同じような事件であり、たぶん予備軍はとても多いのだと思う

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またまた「どうもなあ」の殺人事件を知りました。記事を。

>2020/11/09 10:00
精神疾患の息子から暴力、反省日記を強要され… めった刺しで殺した70代父むせび泣き「家族だから」苦悩の日々

 〈人間スクランブル かごしま法廷傍聴記〉

 「あなたは息子の悪いところばかりを言っている。いいところはありませんでしたか」。精神疾患を抱えた50代の息子を刺し殺したとして殺人の罪に問われた70代の男は、検察官から取り調べを受けた際に掛けられた言葉を口にし、むせび泣いた。

 上下スエット姿。日頃からジムに通っていたためか実年齢より若くみえ、受け答えもしっかりとした印象だった。「息子なりにいいところもあった。取り返しがつかないとの言葉があるが、全くその通りだと思う」と後悔の念を表した。

 息子は退職して東京から鹿児島に戻ると引きこもった。70代の妻の病院や買い物に付き添い、家族3人でDVDを見ることを楽しみにしていた。男に「誕生日おめでとう」とメッセージを送る優しい一面があった。

 ただささいなことで怒り出すことが多く、男や妻への暴言や暴力が度重なった。親子のいさかいがしばしば警察沙汰になり、医療保護入院(強制入院)を繰り返した。

 食事中にくちゃくちゃ音を立てないようにします-。男が息子に無理やり書かされた念書を部屋に貼った様子や、日々の反省を記した日記を強要されていたことなど異様ともいえる生活の一端も明らかになった。息子は幼い頃、男から厳しくしつけられていたといい、意趣返しだったのだろうか。

 証拠として示された近隣住民の調書に「ほぼ毎日、大声でけんかをする声が聞こえてきた。いつ(事件が)起きてもおかしくないと思っていた」とあった。検察官から「たまっていたものが爆発したのでは」と問われ、男は否定しなかった。

 妻への暴言が事件の引き金になった。「家を燃やしてやろうか」。激高し、暴れる息子を注意しようとした男が危害を加えられそうになり、身を守るために持ち出した脇差し(刃渡り約45センチ)で突発的な犯行に及んだと弁護側は主張した。

 玄関先から路上まで追い掛け、めった刺しにした凄惨(せいさん)な犯行。男には懲役6年の判決が言い渡された。殺意が認められ、息子から暴行などを受けたことによる過剰防衛も成立しなかった。

 求刑は同12年だった。「被害者との生活で苦労を重ね、動機に同情すべき面がある」と情状が考慮された。最後に裁判長から「絶望せずに刑期を全うし、妻との静かな生活に戻ってください」といった裁判員らのメッセージが読み上げられた。

 判決から数日後、男は面会に訪れた弁護人に控訴しない旨を伝え、こう告げたという。

 「これまで息子が家庭内で問題を起こす度、『事件にならないと警察は動けない』と言われた。でも家族だからこそ、事件にしたくないと思う気持ちがある。同じように抱え込んでしまう人がいたら助けてあげてほしい」

記事では、具体的な犯行日時や固有名詞などは伏せられていますが(判決の日すら書かれていない)、確認したところ事件がわかりました。すでに多くのサイトで記事が消えているので、こちら様から引用します。

>77歳の父親が、ひきこもり状態になっていた53歳の息子を殺害した罪に問われている裁判員裁判で、検察が懲役12年を求刑したのに対し、鹿児島地方裁判所は「同情に至る面はある」として懲役6年を言い渡しました。

鹿児島市田上台3丁目の佐藤勉被告(77)はことし1月、自宅前の路上などで、同居していた53歳の息子を日本刀で切りつけるなどして殺害した罪に問われています。

これまでの裁判では、被告が引きこもり状態の息子から暴言を浴びせられたり暴力を振るわれたりしていたことや、犯行当時、「殺されるかもしれない」と考えて日本刀を持ち出していたことが明かされ、弁護側は殺意は無かったと主張していました。

17日鹿児島地方裁判所で開かれた裁判で、岩田光生裁判長は「被告は被害者を追いかけて切りつけたうえ、倒れても切りつけることをやめなかったことなどから、殺意があったと認められる」などと指摘しました。

その一方で、「息子から長い間暴言や暴力を受けていたことを考慮すれば、同情に至る面はある」と述べ、検察側が懲役12年を求刑したのに対し、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。

裁判の終わりに岩田裁判長は「被害者のことで苦労してきたことは理解できました。絶望することなく刑を全うし、社会に戻って奥さんと暮らしてください」と被告に語りかけました。

NHKの報道の抜粋とのことですが、NHKの報道には、引用もとのnoteの作成者の方もコメントをしているようですね。

さすがにこの事件では、裁判所も相当に同情したようで、情状酌量をじゅうぶんにくんでいるように思います。それにしても悲惨な事件ですね。この記事のタイトルにもしたように、これを読んで私は、昨年世間の大きな話題となったこの事件を思い出しました。

元農水事務次官長男殺害事件 - Wikipedia

事件の際の、被告の年齢も、元事務次官が76歳で、鹿児島の佐藤被告は77歳だそうですからほぼ一緒、言い渡された刑も、懲役6年で一緒です(元事務次官の方は控訴中)。求刑は、鹿児島の被告が12年、元事務次官が8年です。被害者の年齢については、鹿児島の事件は53歳、元事務次官の息子は、44歳です。

違う部分もいろいろあるのは当然ですが、基本的な部分はやはりかなり共通していますね。単身者の息子が、実家に戻り、両親に暴力や暴言をぶつけ、ついに父親が息子の殺害にいたった。殺害方法も、2人とも刃物で息子を複数回刺している(元事務次官も十数回刺したとのこと)というのも共通しています。

新聞記事を引用した記事ではありますが、以前にこのような記事を私は発表しています。

「やってられん」となれなかったから、こうなったのかもしれない なかなかすさまじい内容だ

老親が、精神疾患の娘(わがままで非常識で浪費癖がある)に対応しきれなくなり、殺害したという事件です。物理的な暴力というより暴言とリストカットや自分の頭を机にたたきつけるといったような自傷行為の行動ですが、いやー、まったくどうしようもないとしか言いようがありませんね。その記事でも書いたように、親が

>自殺、心中とまではいかずとも姿をくらましたって、正直法的にはともかく道徳的に批判する気にはなりません

と思います。なおこれは話題になったのでご存知の方も多いでしょうが、元事務次官の家では、息子の妹(娘)が自殺したとのこと。そういった親以外のきょうだいにもはかりしれない迷惑が生じます。ほんと、inti-solさんもコメントしていただいているように

>残念ながら、こういう事例は解決不能というしかありません。

ということになろうかと思います。なお、上に引用したnoteの筆者の方の文章を最後に引用してこの記事を終えます。

>今回の事件で父親は、「これまで妻と2人で分かち合って頑張ってきた。神様が与えた試練だと思っていた。しかし、その試練を乗り越えられなかった」と話していた。

私はどのような子育てにも、そのような試練など無いと考えている。

私たち一人ひとりが、この社会をどのように変えていかなければならないか、あらためて考える機会にして欲しい。


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