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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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世の中自殺をふくむ極端な行動をとる人は、発達障害や精神障害の場合が多そうだ

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過日ちょっと気になる出来事がありました。なお当方死刑反対論者ですが、それはこの記事では無関係です。

>寝屋川中1殺害、被告の控訴取り下げ有効 大阪高裁

2015年に起きた大阪府寝屋川市の中1男女殺害事件で、一審で死刑判決を受けた山田浩二被告(50)本人による控訴取り下げについて、大阪高裁第6刑事部は26日、有効とする決定をした。今後、同高裁の決定が取り消されなければ、山田被告の死刑が確定する。

山田被告は、18年12月に大阪地裁で死刑を言い渡され、弁護側は即日控訴した。その後、2回にわたり控訴取り下げを求める書面を自ら提出。弁護側が取り下げの無効を申し入れていた。大阪高裁第6刑事部は19年12月、取り下げの無効を決定。だが、同高裁第1刑事部が審理を差し戻していた。

この日の決定理由で、村山浩昭裁判長は「2度目の取り下げであることは軽視できない」と指摘。「取り下げ書提出の帰結として死刑判決が確定することを明確に意識していたと考えられ、無効と考える余地はない」と判断し、2回目の取り下げを有効と判断した。

被告の弁護人は「コメントはない」としている。大阪高検の畝本毅次席検事は「当方の主張が認められ、妥当な決定である」とのコメントを出した。

刑事訴訟法は控訴や上告の手続きについて、被告の意思だけで取り下げができると定めている。いったん取り下げると再び上訴することは認められていない。

私もこの件は注目しておりまして、最初の控訴取り下げにも驚きましたが、次の2回目の控訴取り下げについては本当に唖然としました。特に2回目の取り下げというのは、本当に正気の沙汰ではありません。

それでどういう理由で山田被告(現段階)が控訴を取り下げたかというと、次のようなもののようですね。

>取り下げ後に面会した篠田博之氏(月刊『創』編集長)が語った山田被告の言葉では、山田被告は大阪拘置所で刑務官と険悪になっていたらしい。そして5月18日、貸出されていたボールペンを時間内に戻さなかったとかで刑務官にとがめられ、山田被告が反論したために、喧嘩になったらしい。その挙句、懲罰処分を食らいそうになって、山田被告曰く「パニックになってしまった」。そんな問題になるようなことはしてないじゃないか、などと彼も強く反発したらしい。そしてパニック状態のまま、控訴取り下げをしてしまったとのことである。
 2019年5月30日付で弁護人が、取り下げ無効を求める申し入れ書を大阪高裁に提出した。
 2019年12月17日、大阪高裁第6刑事部の村山浩昭裁判長は、取り下げを無効として控訴審を再開する決定をした。決定は、死刑囚が控訴を取り下げた経緯について、拘置所内で貸し出されたボールペンを時間内に返却しなかったことを刑務官にとがめられて口論になった末、懲罰になると困ると考えて自暴自棄になったと指摘した。そのうえで、こうした軽率な態度が直ちに精神障害の影響だったとみるのは困難だとする一方、死刑判決が命を奪う究極の刑罰であることを踏まえ、「死刑判決に対する不服に耳を貸さずに、ただちに確定させてしまうことは強い違和感と深いちゅうちょを覚える」などとして、取り下げを無効と結論づけた。大阪高検は12月20日、取り下げを無効とした12月17日の大阪高裁決定を不服とし、最高裁に特別抗告した。刑事訴訟法には取り下げ無効に関する手続きの規定はなく、高検は再び高裁の判断を求める異議申し立ても行った。
 2020年2月25日付で最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は、取り下げを無効とした大阪高裁決定に対する検察側の特別抗告を棄却する決定をした。小法廷は「高裁に異議申し立てができるため、最高裁への特別抗告は不適法」と述べた。
 3月16日、大阪高裁第1刑事部の異議審(和田真裁判長)は、「判断には誤りがあり是認できない」として、審理を差し戻す決定をした。和田裁判長は、第6刑事部決定について「(無効とする)合理的な根拠を示していない」と指摘。「法解釈の枠を超えるといわざるを得ない」として、決定を取り消すとともに審理を第6刑事部に差し戻すべきだと判断した。山田死刑囚側は23日付で特別抗告した。
 しかし山田死刑囚は3月24日付で、2度目の控訴取り下げの書面を提出した。その直後に山田死刑囚は弁護士の説得を受けて再び「控訴取り下げ無効」を高裁に申し出た。5月14日付で弁護人は、2度目の取り下げも無効とするよう大阪高裁に申し入れた。
 6月17日付で最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は、控訴取り下げを無効とした大阪高裁の判断を覆して審理を差し戻すとした別の高裁決定を支持した。
 11月26日、大阪高裁第6刑事部は、控訴取り下げを有効とする決定を出した。決定で村山浩昭裁判長は2度目の書面を中心に、被告の精神状態などを検討。被告が拘置所職員から「このまま高裁に届けることになるがいいのか」と念を押され、「このままでいい」と返答した経緯などを踏まえ、「不備を承知しながらあえて出した」と弁護側の主張を退けた。そして「2度目の取り下げであることは軽視できない」と指摘。1回目の取り下げの効力については判断せず、2回目を有効と判断した。そして「取り下げ当時、自分の思い通りにならない拘置所内の生活への焦りやいら立ちなどは認められるものの、訴訟能力に疑問を抱かせるような異常は認められない」と指摘。「拘置所側の措置が不快だったから取り下げたのであって、意思表示の効力に影響を及ぼすようなものとはいえない」とした。

それ死刑判決を受けている重大な事態での行動かよと思います。死刑判決を受けていてあまりに尋常な精神状態でないということはあるのでしょうが、それにしてもです。

それでどうも私の素人判断でしかありませんが、この山田被告という人物は、たぶん相当強い発達障害があるんじゃないんですかね。最近次のような本を読みました。

発達障害チェックノート: 自分が発達障害かもしれないと思っている人へ

それでその本の中でこのような発達障害の特性として次のような記述がありました。

以下目次から引用します。ページ数は省略、また便宜上数字を各項目につけます。

>B:衝動性

①すぐカッとなる

②熱しやすく、飽きっぽい

③酒、薬、ギャンブル、買い物、性的なものにはまりやすい

④欲しいものがあるとすぐに買ってしまう

⑤お金をすぐに使ってしまい、貯金が出来ない

⑥物をよく壊す

⑦計画を立てて行動ができない(思い付きで行動する)

山田被告について考えると、①や⑦はまるっきりそうだよなあという気がします。拘置所に拘禁中の身分ですので詳しくはわかりませんが、ほかもあてはまるところがあるんじゃないんですかね。

それで上を読んでいて、あ、あの人これにぴったりじゃんと思う人物がいました。何回か拙ブログでもとりあげている元予備校講師で昨年困窮した状態で孤独死した佐藤忠志氏です。

佐藤氏は、こちらの記事によれば

>おカネの管理がまったくできない人

>仕事以外のことはまるで何もできない

>近所の飲食店に行くにもタクシーを利用するような佐藤さんの暮らしぶり

>知人に自宅を売り払い、そのカネで高級外車を買おうとした

>朝から晩まで大量の酒をあおる

ひどいチェーンスモーカーだったようだし、まさにどうしようもないとは彼のような人物です。

仕事ができないとか、金の管理ができない、浪費癖がある、衝動的な買い物をする、煙草や酒にひどく依存している、どれも気持ち悪いくらい一致します。これも私がしょっちゅう取り上げるよせばいいものを配下の従業員を放火で焼き殺して保険金を奪った後夫婦そろって死刑になった夕張の暴力団夫婦(夕張保険金殺人事件)も、Wikipediaによれば

>作業員の遺族に支払われた分を除いても、H夫婦の手元に残った金は1億円以上に上ったという。思いがけず大金を手にしたH夫婦は、Hが刑務所から戻った後、夕張市南部青葉町の夕張川を望む地に白亜2階建ての自宅兼事務所を新築。子供たちにポニーを買い与えたりするほか、妻が経営するスナックの改装やアクセサリー店・ダイエット食品店の開業、さらに高級車リンカーンをはじめとする数々の奢侈品を買いあさるなど浪費を重ね、わずか2年足らずで保険金を使い果たしてしまった。

保険会社はこの認定に基づき、全焼した宿舎にかけられていた火災保険金および死亡した作業員4人にかけられていた死亡保険金の合計1億3,800万円をH夫婦に支払った。これにより再び多額の保険金を得たH夫婦であったが、夫婦はこれらの保険金も1か月ほどでほとんど使い果たしたという。

という始末でいったいどんだけ馬鹿でクズでキチガイなんだと思いますが、たぶんこの夫婦も相当強い発達障害、あるいは精神障害なんでしょうね。これも上で言えば①~⑤、⑦などが当てはまります。たぶんですが、⑥もあるんじゃないんですかね。

さてさて、夕張の犯人は、ずばり発達障害というより精神障害のレベルになるかもだし、またたとえば自殺したねこぢるは、かなり重い精神病だったのではないですかね。彼女のWikiepediaによると

>嫌いなものは嫌い
交友のあった『危ない1号』編集者の吉永嘉明によると、ねこぢるは基本的に殆どの人間や対象にまるで関心がなく、それらに対する口癖も「つまんない」「嫌い」「相性が悪い」「興味がない」「関心がない」「波長が合わない」など嘘がつけない体質だけに極めてストレートなものだったという。“特殊漫画家”の根本敬は彼女について「他人の正体や物の本質をパッと見抜けてしまう人。またそれを素直に口にしてしまう正直者」と評している。

一方で興味のある対象には非常に積極的であり、とくに“波長”の合う人物には熱狂的な好意を抱いた。また好意を抱いた人物には「追っかけ」とも言える行動に出ることもあり、夫・山野一と結婚した経緯も、ねこぢるが山野の住むアパートにまで押し掛けて、そのまま上がり込んでしまったからだという[3]。吉永いわく山野はねこぢるの「お母さん」のような存在でもあり、彼女の自殺についても「あそこまで生きたのも山野さんがいたからだとも思う」と語っている。

山野一とねこぢるの関係性について1998年当時『月刊漫画ガロ』の編集長を務めていた長戸雅之も「仲が良く、波長が合っている二人」「お互いに心を許せるパートナーと思いました」と語っており、雨の日に喫茶店で待ち合わせした時も、夫妻は相合い傘をしてやってきて、帰りも一つの傘で一緒に帰って行ったと回想している。

自閉的な性格
吉永嘉明の証言によれば、ねこぢるは鬱病で精神科に通院しており、出会った頃には既に自閉的な性格が完全に確立していたという。吉永は彼女の自閉について「精神的に孤立して自分の内面にこもる傾向が育まれたのかもしれない」と推察している。

また『月刊漫画ガロ』の担当編集者であった元青林堂・現青林工藝舎の高市真紀の証言でも、ねこぢるは殆ど外出せず、喫茶店も嫌いで、お世辞や社交辞令にも敏感に反応してしまい、世間との付き合いは苦手だったという。その一方で高市の姉で漫画家の山田花子が1992年に投身自殺した時には、高市が山田の後追いをするのでないかと心配して「何でも相談するんだよ」と親身に話を聞いてくれたと述べている。また「心を見抜かれそう」と緊張していた高市に対して「大丈夫、緊張しないで」と声をかける一面もあったという。

といった具合であり(注釈の番号は削除)、精神科に通院していたのですから間違いないのでしょうが、上の記述を読んだ限りでは相当重度の精神病だったようですね。これでは生きていくのも大変だったろうし、そしてやっぱり生ききれずに自殺したわけです。

自殺してから50年というので最近いろいろ取り上げられている三島由紀夫も、明らかに精神障害か、そうでなくても強い発達障害があったように思います。三島はかなり重症だったのでしょうが、そうでなくても世間から見ていろいろ不審な行動をする人、極端な行動をする人、自殺する人というのは、程度はあれ精神病や発達障害をかかえているひとがおおいのでしょう。三島やねこぢるの時代はそういうことがよくわかっていなかったのでしょうが、佐藤氏や山田被告なら、そういったことを認識したうえで人生を送ることもできた可能性はあったんじゃないかなと思います。特に山田被告は、彼が殺めた人間が複数いるわけで、その犠牲者にとっても山田被告にとっても非常に残念なことだと思います。

以上、あんまり安易に「発達障害」という言葉を振りかざすのも問題ですが、上の人たちはその可能性が非常に強いと思うので、記事にいたしました。


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