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『WiLL』の広告の入り方を解析する(2020年10月号)

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過日こんな記事を書きました。

『正論』の広告の入り方を解析する(2020年10月号)

産経新聞が出している極右雑誌『正論』に、どのような会社のどのような広告がどれくらい出稿されているかを調べた記事です。過去に何回か『正論』の広告の状況について調べていまして、それから10年たって、当時と比較しての広告の状況は、出している会社といい量といい、だいぶしょぼくなっているように感じました。過去には、つぎのような記事を発表しています。2009年~2010年に発表しています。

『正論』の広告の入り方を解析する 『正論』の広告の入り方を解析する(2) 『正論』の広告の入り方を解析する(3)その1 『正論』の広告の入り方を解析する(3)その2

月刊WiLL (ウィル) 2020年10月特大号

そうなると、『正論』と同工異曲といっていい2つの極右雑誌である『WiLL』とそこからの派生雑誌といってもよいであろう『月刊Hanada』の広告の入りぐあいはどんなもんかいなという疑問が生じます。よって、それを確認することとしました。サンプルは、せっかくだから『正論』と同じ2020年10月号としました。なぜこの号を選んだかについては、『正論』での記事をご参照ください。地元の図書館から取り寄せました。本日の記事では、『WiLL』での調査結果をご報告します。

まず裏表紙が、飯田産業です。現在は、飯田グループホールディングスの完全子会社ですが、以前はこの会社が東証一部上場でした(現在は、ホールディングスが上場企業です)。この会社がなんでこんな雑誌に広告を入れいているのか知りませんが、不動産会社というのは右翼系の企業であることがままあるので、そういう関係ですかね?

表表紙の裏面の広告が、これはいかにもという感じで、DHCの2ページ広告です。そういえば、『正論』の10月号には、この会社の広告はありませんでしたね。こんな非常識な会社なのだから、『正論』にだって広告を入れればいいじゃんという気もしますが、どんなもんなのか。

目次のあと、靖国神社遊就館における「靖国神社と刀剣」(広告では、「国」は本字)の広告です。前期が、今年の2月23日、後期の展示が3月6日~12月5日までとのことですので、興味のある方はいかれてもいいかもです。私も行ってみようかな。入場料は払いたくないですが、それくらいは「社会勉強」の経費ということでしょう。

そのあと鹿島の1ページ広告です。鹿島建設がこの雑誌に広告を掲載するメリットはあまり感じないので、たぶん協賛広告のたぐいなのかなと思います。もっともこれはここに限らないでしょう。

さらに潮書房光人新社の1ページ広告です。知らなかったのですが、ここ現在産経新聞出版の100%子会社なんですね。この会社の沿革を書きますと、1956年創業の潮書房が雑誌『丸』とともに書籍も発売していましたが、『丸』に特化するため出版社としての1966年に「光人社」を設立しました。これが2012年にまた合併して潮書房光人社となり、それがさらに2017年に産経新聞出版がこの会社の事業部門を買収、完全子会社化として、現社名になったわけです。産経だって金がなくて大変なはずですが、こちらは金もうけが見込めるという判断があったんですかね。そのあたりの詳細は知らないので、情報は今後も仕入れていきたいと思います。私も戦記物や軍隊関係で、光人社の本は読んだことがあります。出版社も所詮は中小企業ですから、事業の継続も大変だし、経営がうまくいかず「新社」として会社を立て直すことも間々あります。中央公論新社河出書房新社など。

ここまでが、カラーグラビアです。ここから記事ですが、札付き極右の筆者らによるコラムのあとの最初の記事が、阿比留瑠比による「安倍総理を貶めたい性悪=朝日・毎日」なる記事です。いや、てめえのようなデマ記事連発で複数回名誉棄損で敗れている(にもかかわらず勤務先の新聞社が出世させている)デマ野郎のほうがよっぽそ「性悪」じゃんと思いますが、上でリンクしたAmazonによるとこの雑誌の発売日は2020年8月26日のようですから、安倍辞任の直前であるわけで、そうとなるとなんとも無様で無残な話ではあります。阿比留は、死ぬまでこういうクズなことをし続けるのでしょう。呆れた馬鹿です。もちろんこれは、阿比留だけでなくこの雑誌の問題でもあります。

それでこの記事の最終ページである39ページに、1/3広告で、展転社の広告があります。最新刊として4冊紹介されていまして、1冊が「決定版 NHK契約・受信料対策マニュアル」なる本です。やっぱり右翼系の連中って、NHKは反日であるという認識である人間が多いんですかね。NHKは、世界的にも公共放送としてはかなり国営放送の性質が強い放送局と思われますので、NHKが「反日」であるわけもありませんが、全くどうしようもない認識ではあります。全く関係ないですが、これは出版が2021年になってからのものですので、この広告に掲載されているわけもありませんが、この会社のこの記事執筆時点での「最新刊」が、「捏造と反日の館〝ウポポイ〟を斬る」ですからねえ(呆れ)。どんだけ非常識なのか。だいたいこれは、安倍内閣で進行したのですから、だったら安倍を批判しろですが、こんなことにしつこく絡む連中というのも全くくるっているとしか言いようがない。著者は、この手の本を散々出している人物です。あ、上の2書については、Amazonとかにリンクする気が起きないので、興味のある方はご自分でお探しください。

そのあと118ページ、119ページにカラー広告で、「台湾ボイス」というYouTubeチャンネルの広告があります。林建良という人と、藤井厳喜が運営しているものです。藤井は有名な極右ですが、林という人は良く知りませんでした。台湾出身で、本業は医者ですが、台湾独立建国連盟日本本部国際部長、日本李登輝友の会常務理事だそうですから、政治活動家としても相当熱心な人物の模様。藤井は、この号の記事の部分でも登場しています。江崎道朗との対談ですからまったく常軌を逸しています。

それでその次の120ページもこの2人が登場していて、書店では販売していないという「台湾を知ると世界が見える」という書籍の宣伝です。この広告出稿時点では、送料のみで送るとのこと。

ここからしばらく広告がなく、次の広告が、319ページの1/3広告で、「渡部昇一ブックス アングロ・サクソン文明落穂集〈10〉辞書の新版は進歩とは限らない」という本の紹介です。リンクは省略。出稿したのは、発行した会社が広瀬書院というところで(滋賀の会社のようです)、発売元が丸善です。丸善が、発売を請け負ったのですかね。こんな過去の人物の書籍(の広告)をいまだに出すかという気がしますが、なにしろ安倍晋三も首相在任時に弔問に訪れたくらいですから、やっぱりそっちの方面では余人に代えがたい人物だったのかもです。

そのあとは、この雑誌の出版元であるワック出版の書籍広告が369ページから373ページまで、著者が極右連中ばかりなので呆れかえりますが、374ページがインターネットテレビ版の「WiLL増刊号」の宣伝、375ページが「Daily WiLL Online」の宣伝と雑誌の定期購読の案内、最後に裏表紙の反対面の広告が、DHCテレビジョンの「ニュース女子」の広告で、これですべてです。なおこの広告には、「タテマエや綺麗ごとは一切なし! 本音だらけのニュースショー!!」とありますが、いや、デタラメ、嘘、デマ、誹謗中傷だらけのニュースショーじゃねえのと思います。「ショー」はともかく、「ニュース」の名に値しませんし、「本音」というのは、「デマ」とか「嘘」とは別でしょう。ところで出演者の中に、須田慎一郎氏がいまして、彼の書いている経済系の本てわりとまともな本だったと思うのですが(そんなにたくさんは読んでいません)、こんな番組に出演するとは、そうとう一線を越えているなと思います。どういうことなのか。

以前の『WiLL』って、たしかJR東日本も広告を入れていたと思いますが、撤退したんですかね。結論からいってここも相当広告がしょぼいですね。しかしそれでも『正論』よりは相対的にはましだと思うので、『正論』の広告のひどさもかなりなものです。また、広告がこの2誌でかぶっていないのは、何らかの協定があるのかな? ここは、『月刊Hanada』とも照らし合わせてみます。

それはそうと、上でご紹介した阿比留記事ばかりでなく、発売からたかだか数か月しかたっていない拙記事執筆時点でみても、「どうもなあ」「トンデモじゃん」としか言いようのない記事が目立ちますね。

・李登輝が安倍晋三に「もう一度、首相になりなさい」 河崎眞澄

・何度でもいう。コロナは無症状の風です 上久保靖彦 小川榮太郎

・日本のコロナ対策はベストだった 篠田英朗 上念司

・親中企業は米の制裁も覚悟せよ 藤井厳喜 江崎道朗

・「中国から離れる」国民的覚悟を 村井友秀

・中国をあてにしなくても日本経済は全然OK 新宿会計士

『WiLL』にまともな経済論説や保健論説があるわけもありませんが、そもそも特に小川なんていう野郎を起用している時点でお話にもなりませんね。このような金銭トラブルを起こした人物を懲りずに起用すること自体まともな人間や組織のすることではない。それで一番ひどいのが、

・ミネアポリス暴動検証 黒人男性は警察に殺されたのか 渡辺惣樹

という記事です。日本の右翼雑誌が、こんなことで米国をかばってどうする(苦笑)。いつものことながら、ほんとどうしようもないクズ連中です。


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