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Channel: ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
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情報(祝!!! 幻の映画であった篠田正浩監督『夜叉ヶ池』が鑑賞できることになった)

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昨年こんな記事を書きました。『夜叉ヶ池』という篠田正浩監督による1979年の作品についての記事です。

未ソフト化、CSをふくむテレビ放送なしだが、封印作品ではないようなのでチャンスを待って観てみたい(篠田正浩監督作品『夜叉ヶ池』)

たまたま読んだ本にこの映画のことが書いたあって「封印作品」であるとのことで、それならぜひ観てみたいと思ったのですが、実際のところは「でも私が生きている間に鑑賞するチャンスがあるかなあ」くらいの気持ちでいました。完全封印作品というのでもないようなのですが、YouTubeにゲリラ的にアップロードされるのを観るか、映像を持っている人から譲ってもらうくらいしか、鑑賞するのが難しかったということです。

Wikipediaから引用しますと、

>劇場公開後はテレビ朝日系の「ゴールデンワイド劇場」で1回放送(1981年11月2日放送)されただけで、それ以降一部の権利者がソフト化を拒否する等、権利関係の調整が難航しているため、DVD発売等の二次利用の見通しは立っていない幻の映画(封印作品)となっていた

のですが、

>2020年に篠田と坂東が再会、現代を生きる人々に観てもらいたいという思いが一致したことで、2人の全面協力による監修のもと音や映像のきめ細やかな修復作業を何度となく行い、4Kデジタルリマスター版が完成、2021年3月にCSの衛星劇場で篠田の生誕90年を記念しての2K放送を皮切りに、今夏に篠田監督特集上映として東京・ユーロスペースでジャパンプレミア上映されることが決定した。その後、全国で順次公開を予定しているほか、同時期にはブルーレイが発売される予定である

ということになったわけです。前の記事で私は、

>実際篠田監督も、すでに90歳近い(1931年生まれ)ですからね。彼がご存命のうちに、ぜひソフト化が実現できればいいのですが。

と書きましたが、正直ほとんど期待はしていませんでした。上の引用での「坂東」とは、もちろん坂東玉三郎のことですが、最初は「一部の権利者」とあるのに、下の引用では「篠田と坂東」とあるわけで、玉三郎がこの件で再上映、ソフト化を渋ったのが明らかになっちゃったわけです。もちろん公然の話でしたがね。前の記事でも書いたように、

>玉三郎と加藤剛のキスシーンがやばいとか(玉三郎は言うに及ばず、加藤氏もLGBTネタにはこと欠かない人物だしね)

とかいろいろあるのですが、このあたりは、玉三郎も篠田監督に敬意を表したということもあったのですかね?

1月28日付の記事を引用します。

>篠田正浩監督×坂東玉三郎主演「夜叉ヶ池」4Kデジタルリマスター版で42年ぶりによみがえる
2021年1月28日 13:00

配給大手の松竹は、松竹映画100周年記念プロジェクトの締め括りとして、1979年10月20日に封切られた篠田正浩監督、坂東玉三郎(5代目)主演作「夜叉ヶ池」を4Kデジタルリマスター版で42年ぶりによみがえらせることを発表した。

(中略)

しかし、劇場公開後はテレビ朝日系「ゴールデンワイド劇場」で1度放送されただけで、現在までDVD発売などのソフト化されておらず、幻の作品と言われてきた。それだけに、100周年記念プロジェクトを契機に多くの映画ファンの目に触れる機会を得たことになる。

(後略)

まずは3月に、衛星劇場で放送されます。しかし洪水シーンなどはやはり劇場で観たいものです。とりあえず衛星劇場での当該作品の紹介ページはこちら。3月3日、13日、25日の3回放送されます。いずれにせよ大変楽しみですね。いやー、生きててよかったと思います。旅ですごいところへ行った時と、すごい映画を観たときの喜び、これはまさに人生の最高の瞬間ですね。というわけで読者の皆様も、ご興味があればぜひぜひご鑑賞を。最後に篠田監督と玉三郎のコメントを。

>篠田正浩監督
この新作「夜叉ヶ池」を観る人は、坂東玉三郎が、山崎努・加藤剛を相手に緊迫した現代劇を演じ、その果てに魔性の姫に変化する見事な<女形>と、世界を圧倒した大洪水の<特撮技術>のお家芸が出会った日本映画の奇跡を、その目で確かめてください。90歳でデジタル技術でよみがえった「夜叉ヶ池」の初日を迎える冒険を楽しみにしています。

坂東玉三郎
昨年の夏に篠田正浩監督と再会して「夜叉ヶ池」のデジタルリマスター化のプロジェクトが始まりました。デジタル化の作業で映像を確認して、撮影当時の1つ1つの出来事を鮮明に記憶していたことに気づきました。それだけ思いを込めて撮影に臨んでいたのだと思います。泉鏡花「夜叉ヶ池」の世界をデジタル化により美しくよみがえった映像で皆さまに是非ご覧いただきたいと思います。


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